音楽ストリーミングサービス「Spotify」が、日本の広告市場に変革を起こす

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世界で1億人以上が利用している音楽ストリーミングサービス「Spotify」が2016年11月、日本で正式にサービスを開始した。Spotifyは月額制の有料プランと、広告付きの無料プランがある。無料プランの最大の特徴はSpotify独自のオーディオ広告が展開されていることであり、すでに大手広告主がブランド広告を出稿している。そこでSpotifyの日本における戦略について同社 日本法人 代表取締役社長 玉木一郎氏に聞いた。

オーディオ広告は生活のあらゆるシーンに溶け込む

—Spotifyがグローバルで支持されている背景は?

スポティファイジャパン 代表取締役社長 玉木一郎氏
SAPジャパンのバイスプレジデントとして製品・ソリューション分野を統括後、ミスミグループ本社執行役員として同社EC事業を推進。その後アマゾンジャパンのバイスプレジデントとして同社のハードウエア事業及びKindle事業を統括。2016年9月にスポティファイジャパン入社、同10月より現職。

Spotifyの創業の理念とは、違法ダウンロードのように違法状態に置かれている音楽の消費を、合法的な世界に連れ戻すことで、すべてのアーティストが公平に対価を受け取ることが出来るようにすることです。もし違法なサービスを圧倒的に上回る使いやすいサービスを合法的かつ無料で提供できれば、ユーザーの音楽消費はより活性化し、また音楽産業全体に貢献することができます。このような理念で生まれたのがSpotifyというサービスです。

ですから最大の特徴は、誰もが自由に、そしてたくさんの音楽を無料で楽しめることです。これが1億人以上のユーザーに支持されている理由です。

なぜ無料なのに合法的なビジネスが成り立つのかと言えば、Spotifyが企業にとっての広告プラットフォームでもあるからです。大手広告主からブランド広告を展開するメディアとして活用されることで、その広告費をアーティストやレーベルに還元しています。有料の月額サービスと合わせ、Spotifyは既にこれまで5000億円以上を音楽業界に還元できており、その流れはさらに加速しています。

2008年にスタートし、現在世界60カ国で展開する「Spotify」は、さまざまなデバイスを通じて、いつでも音楽を楽しむことができるサービス。Spotifyと連携したスピーカーやデバイス、家電製品なども広がっており、日本でも約100製品を超えるなど、生活のあらゆる場面でSpotifyを楽しむ環境が整い始めている。

—日本でSpotifyを、どのように広げていく?

我々の強みは、ビッグデータを使ったレコメンデーションと音楽の目利きによるヒューマンキュレーションを通じた、音楽発見の提案力です。前者については、たとえば私はジャズファンですが、ビッグバンドではなく小編成のコンポジャズが好きです。サックスやトランペットよりもギターソロに心地よさを感じ、ドラマチックな展開がある楽曲が好きです。Spotifyはこのような個々のユーザーの好みを深く理解して、適切に音楽をレコメンドすることができます。つまり、ユーザーが新しい音楽と出会う場を提供することで、それがアーティストとファンをつなげているのです。

—日本の音楽業界に貢献していくということ?

もちろんです。一例をあげると先日、ロックバンドの「ONE OK ROCK」が、日本人アーティストとしては初めてSpotify上での再生回数が1億回を突破しました。視聴者数が最も多い国は米国で、続いて日本、アジア各国が続きます。ユーザーの音楽的な嗜好を踏まえたおすすめや、音楽の目利きであるキュレーターが作成するプレイリストなどを通じ、アーティストの音楽が国を越えて適切なリスナーに届けられることで、Spotifyがアーティストの活躍の場を広げることに役立っているのです。そうした貢献もあって、世界中のアーティストからSpotifyは信頼されています。

すでに世界の音楽業界はストリーミングによって市場全体が再び成長軌道にあります。ストリーミング配信が既に音楽市場の5割を超えた米国では、音楽産業が再び成長軌道に乗り、昨年は遂に1998年以来最大の成長を遂げるに至っています。ストリーミングによって音楽と出会う場が増えていくことで音楽消費全体が拡大し、日本でもストリーミングだけでなく音楽市場全体が成長していくのは間違いないと確信しています。

次ページ 「広告会社や広告主に知ってもらいたいことは?」へ続く



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