20年間支持される『情熱大陸』に学ぶ、“見てもらえる”動画コンテンツのつくり方

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福岡元啓氏(写真左)
1974年東京都出身。 早稲田大学卒業後、1998年毎日放送入社、ラジオ局ディレクターとして『MBSヤングタウン』を制作後、報道局へ配属。神戸支局大阪府警サブキャップなどを担当。2010年秋より『情熱大陸』5代目プロデューサーに就任し、東日本大震災直後のラジオパーソナリティを追った『小島慶子篇(2011年4月放送)』、番組初の生放送に挑戦した『石巻日日新聞篇(2011年9月放送)』でギャラクシー月間賞。水中表現家の『二木あい篇(2012年10月放送)』でドイツ・ワールドメディアフェスティバル金賞。『すし職人・工藤順也篇(2014年1月放送)』でニューヨーク・フェスティバル2015 ドキュメンタリー人物・伝記部門入賞など、受賞多数。番組に出演したアーティストらによる野外フェス「情熱大陸Live」や、文化人による講演イベント「情熱教室」などのプロデュースも手がける。著書に番組づくりの舞台裏を記した『情熱の伝え方』(2014年双葉社)。

レコメンドウィジェット、およびネイティブアド配信サービスを手がけるpopIn。同社が「Advertising Week Asia 2017」内で主催した「ネイティブアドフォーラム」では、現代の人々のコンテンツ消費傾向を解説するとともに、そうした環境下におけるブランド広告のあるべき姿が提示された。

popInの金谷徹氏。

記事、漫画、画像、音楽、動画……世の中に流通するコンテンツにはさまざまな形式のものがあるが、近年は通信環境の進化や、配信メディア・プラットフォームの普及に伴い、動画コンテンツへの注目が顕著に高まっている。

日々、膨大な量のコンテンツが生み出され、その多くがスルーされていく中、“見てもらえる”動画とはどのようなものなのか。それを考える切り口として、「ネイティブアドフォーラム」では、「人に伝えたくなる動画コンテンツのつくり方」と題し、多くの人に支持され続ける動画コンテンツの代表例としてドキュメンタリー番組『情熱大陸』(毎日放送)に注目。同番組の5代目プロデューサーである毎日放送東京制作室の福岡元啓氏を招き、popInの金谷徹氏が聞き役となって番組コンテンツづくりへのこだわりや、番組宣伝のコツについて聞いた。

時代に合わせて変化することで、ファンを増やしてきた

『情熱大陸』5代目プロデューサーの福岡元啓氏。

1998年から20年間続くロングラン番組『情熱大陸』。計950回の放送のうち、福岡氏がプロデュースしたのは実に300回以上にのぼる。5代目プロデューサーとして、自身に課されているミッションを尋ねられると、福岡氏は次のように答える。

「プロデューサーが担うべき役割は、過去と比較して確実に増えたと感じています。番組コンテンツだけをつくっていればいいという時代ではなく、コンテンツビジネスの川上から川下まで、あらゆるフェーズに関わる必要が出てきているんです。企画立案から、取材・撮影班の進行管理、編集立ち会い、原稿・ナレーション・音楽のチェックと修正、番組宣伝用の映像監修や、関連イベントの企画、海外配信のための品質管理まで、プロデューサーとして担っています。どんな企業にも『スタートアップ期』『成長期』『成熟期』という3つのフェーズがあると思いますが、『情熱大陸』も同じ。スタートから20年が経った現在は成熟期と言えます。そこでやるべきことは、①これからの時代を担う人的リソースの確保と、②バリューチェーンの変化に対応し今までのやり方を変えながら新しいものをつくることです」。

カメラが小型化したことで、これまでは撮影できなかった場所でコメントをとることができるようになる。デジタルテクノロジーの発展により、番組のWeb配信や海外配信が容易になる。情報が飽和する時代、番組宣伝の表現にも工夫が必要になる……こうしたさまざまな変化に対応しながら、『情熱大陸』はファンを増やしてきた。

「刀鍛冶」や「医師」のように放送時期を問わない対象者を取り上げることもあれば、旬のタレントや注目のアスリートにタイムリーにスポットを当てることもある。この構成は放送開始当時から変わらないが、放送前日や当日に撮影した映像を盛り込む演出は、デジタル技術の発展により可能になったことで、福岡氏は積極的に取り入れているという。

「各篇の放送タイミングは、世の中の“空気感”で決めています。テレビは、空気を読むことが何より重要なメディアですから。先々の放送に向けた撮影ももちろん粛々と進めていますが、そのときの空気ありきで企画を立て、一気につくり上げることもあります。逆に、放送タイミングを問わない普遍的な内容の回は、時間をかけて取材した“熱さ”で勝負します」

昨年5月には、海外配信もスタートした。フィリピンの三大ネットワークの一つで、高所得者層が多く視聴する「GMA News チャンネル」で金曜日の深夜0時に放送したところ、視聴率は13%超と、全局中3位を記録した。

「『情熱大陸』の認知は皆無でしたし、ドキュメンタリー番組のニーズもわからないまま試しにスタートした形でしたが、蓋を開けてみると大成功でした。今回は日本のコンテンツをそのまま放送しましたが、今後はフィリピンの方にスポットを当てた番組を制作し、現地で放送することも視野に、企画検討をスタートしたところです」

フィリピンに加え、東南アジア地域やロシア圏での放送も視野に入れているという。『情熱大陸』のコンテンツが、徐々に世界へと広がっていく。

次ページ 「広告もコンテンツとして“見られる”必要がある」へ続く


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