共感より反感が多い広告は本末転倒
議論の過程で、個人的に興味深かったのは、ギャツビーの男性向け消臭剤やワコールの女性向け下着といった商品の広告では、どのような内容であっても、視聴者から何らかの批判的なご意見が必ず返ってきてしまうということです。
例えば、男性の臭いを強調する消臭剤の広告を展開すると、「臭いのは男性だけじゃないだろう」という意見がくるようです。すべての人が諸手を挙げて、賛成してくれる広告表現の実現が難しいことを象徴する逸話でしょう。
そこで、マンダムの上森さんが重要だと話されていたのが「共感の可視化」。再生数だけを目標としてしまうと、宮城県の動画のように炎上したことで再生数がどんどん増えても、「成功」と定義されてしまいます。
志布志市も、炎上した動画と、その反省をもとにつくり直した動画では10倍以上も再生回数が違うそうです。再生回数だけを見ると、炎上した動画の方が成功していたように見えてしまいます。
しかし志布志市のブランドイメージという観点から考えれば、炎上した動画が失敗だったことは明白です。つまり再生回数だけを目標に設定してしまうと、本来のネット動画の目的であるはずのブランディングや購入意向の向上とは、かけ離れた結果になってしまうリスクがあるわけです。
そういう意味で、上森さんが指摘していたように、共感のボリュームを何らかの方法で可視化することができれば、結果は違って見えてくるはずです。
本来、企業を好きになってもらうためのネット動画のような広告で、再生数や視聴数を追い求めるあまりに共感よりも反感をたくさんかってしまっているようであれば、それは明らかに広告としての役割を果たせていないはずです。
ネット動画で過激な表現に走って、再生数を追い求める前に、一度企業の「らしさ」の視点と顧客からの共感の視点で、立ち止まって考えてみることが大事なのではないかと感じます。
「アンバサダー視点のススメ」バックナンバー
- マーケティング4.0の「究極の目標」は、顧客を推奨者にすること(2018/2/15)
- 広告主の皆さん、2018年はネット上での「宣伝行為」を一度あきらめてみませんか。(2017/12/26)
- 広告予算や内部資源が足りないときこそ、ファンの重要さが分かる(2017/11/07)
- Wantedly騒動に学ぶ、ネットの悪評を削除するリスク(2017/8/30)
- 不適切な「ネット広告枠」を利用している広告主が、炎上してしまう時代を迎える(2017/6/27)
- テレビCMの炎上が拡大する要因はメディア環境の変化にも。企業はどう向き合うか?(2017/5/18)
- 三ツ矢サイダーの新CM中止から考える、「テレビCM」の社会的責任(2017/4/25)
新着CM
-
AD
チーターデジタル
改正個人情報保護法がデジタルマーケティングに与える影響とこれからのCRM戦略
-
広告ビジネス・メディア
ユーグレナ、ネット広告会社買収 はこを完全子会社に
-
クリエイティブ
社会課題にユーモアで挑む「世界の広告」を展示 アドミュージアム東京で6月4日から
-
AD
マーケティング
CRM活動成功の秘訣は 顧客をよく知る社内の“現場感”
-
クリエイティブ
森田剛が野村不動産のWebムービー主演、映画の手法で家族の大切な時間描く
-
人事・人物
プレミアム・プラットフォーム・ジャパン、社外取に博報堂DYMPの川上局長(22年...
-
特集
CMO X
-
販売促進
アサヒ、省資源6缶パック第2弾 第1弾から約1万ケース増
-
人事・人物
プレミアム・プラットフォーム・ジャパン、コンテンツ・プロモーション統括ほか(22...