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SPIKES PR部門レポート「日本のPRと世界のPRは、日本のカレーとインドのカレーぐらい違った」

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2.「日本人のリザルト」問題

仲良くなった審査員にぽろっと言われました。
「日本人のリザルトは、リザルトの手前だね」
(正確な訳ではないですが。)

今年はロングリストの段階で日本はもっとも作品が残っていました。
日本祭りです。それが翌日一気に無くなりました。
いろんな理由がありましたが、一番大きかったのは、リザルトの「浅さ」です。

日本のPR部門のアワードムービーはほとんどが前フリ(日本の社会的課題)の紹介と、アイデア(こんなことやったぜ!イェーイ!)だけです。
肝心のキャンペーンの結果(リザルト)が、パブリシティや話題になった数字だけで止まっています。

リザルトで評価された事例:
Greenpeace Philippines「Dead Whale」(Silver)

アイデアは普通だし、アートで過去に事例があるが、戦略とリザルトがよかった。

フィリピン・カビデにあるビーチリゾートに打ち上げられた1頭のクジラの死骸。しかし実は、大量のプラスチックごみで制作された立体オブジェ。世界のプラスチックごみの6割が中国、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの5カ国で排出されていることを知らせ、ごみによる海洋生物の死亡事故を減らすよう訴えている。世界中で話題になり、ローンチの翌日には、来たるASEANサミットの首脳声明に盛り込まれることが決定した。

他の部門ではリザルトはおまけかもしれませんが、PRではそうはいきません。
PRとは本来、世の中の「社会的合意形成」のために生まれた技術であり学問。アイデアという手段よりも結果が全てです。

逆に言うとアイデアが他の国であっても、日本がそのキャンペーンで大きく変わったら、それはそれで評価されます。日本の場合は私企業のキャンペーンが多いため、当然ですが短期的な集客とか話題に目が向きがち。「ソーシャルチェンジ」には不向きかもしれません。

日本の中でリザルト(と戦略)が評価された事例:
ヤフー「It was this high / ちょうどこの高さ」 (Silver)
(アワードムービーはSpikesのページをご覧ください。)

ヤフーが今年の3月11日に合わせて銀座のソニービルに掲出した、津波の高さを体感できる屋外広告。震災のことを忘れつつある東京の人に向けたこのメッセージは、ニュースに触れた約9割の人が防災の必要性を再び意識した。

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