コラム

スポーツ経営に学ぶ 常識を超えるマーケティング発想法

泡が必ず弾けるように、ブームも必ず弾けるもの — 2020年の終焉を見据えたスポーツマーケティング

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【前回の記事】「2020年東京五輪の先を見据えたマーケティング戦略ー横浜DeNAベイスターズ前社長 池田純」はこちら

スポーツマーケティングコラムの最終回は、開催まで1000日を切った2020年の東京オリンピック・パラリンピックのその後についてです。ブームをブームで終わらせないために必要なこととは。

スポーツマーケティングコラムの最終回は、開催まで1000日を切った2020年の東京オリンピック・パラリンピックのその後についてです。ブームをブームで終わらせないために必要なこととは。

日本のスポーツブームは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでピークに達し、そして弾けることになるはずです。

泡が必ず弾けるように、ブームも必ず弾けるものです。問題はブームが去ったあと、マーケットがシュリンクしていく中で、どのようにしてブームの前と後で違う景色をつくることができるか、右肩上がりの成長曲線を描くかということです。

ブームが弾けるのが避けられない以上、そのときになってあたふたと騒ぐのではなく、今から“タネ”を撒き続けておく必要があります。そして、その“タネ撒き”というのは、第1回に「もし、野球のことを本当に考えるのであれば、子供たちが野球をやる環境を整え、20年後の未来までつくり出さなければいけません」と記したように、ひとつの具体的なこととしては未来に向けた子どもたちへの投資になります。

泡が必ず弾けるように、ブームも必ず弾ける。
版権: solerf / 123RF 写真素材

統計やデータ分析の結果としても、これから子どもの数が減っていくのは明らかです。とはいえ、子どもの競技人口を増やしていかなければ、未来の選手たちも生まれませんし、観客が増えることもありません。横浜DeNAベイスターズにおいても、急成長を支えたのは30代でした。当然、今のままでは20年後には危機的状況が訪れることになります。

一方でサッカーを見ると、子どもたちに対するマーケティングを数多く仕掛けています。もちろんすべてが正しいわけでもなく、失敗もありますが、野球よりも戦略的かつ総合力で“タネ”を撒いていることは確かです。

野球も日本のNo.1スポーツという状態にあぐらをかいている場合ではなく、目の前のマーケティングとともに、未来に向けたマーケティングを戦略的かつ総合力で行っていく必要があります。そして、これは日本市場全体にとっても同じことが言えます。

いくら団塊の世代の人口が多いとしても、確実に食欲が衰えて食べる量も減っていかざるをえないのは致し方ないことです。しかし、子どもは人口が減っていくとはいえ、まだまだ食べる量が伸びていきます。さらに、子どもたちの稼ぎは現状0円ですから、成長するにつれてお金を今より確実に稼ぐことになります。マーケティングとして、伸びていく層に働きかけることは必然のことです。

最後に、日本のスポーツビジネスの現状ですが、スポーツビジネスを深く理解している人材、実際にスポーツチームを経営したことのある人材は、非常に少ない状態です。特に私の年代になると、ほとんどいません。野球では、私が2011年に35歳で史上最年少の球団社長に就任したわけですが、6年経った今も次世代の経営者は出てきていません。

そう考えたとき、自分自身のスポーツビジネスに対するモチベーションは使命感のようなものだと感じるようになってきました。

今も私のところに、「どうやったらスポーツビジネスに関われますか」という相談を数多くいただきます。そういう方々が集まり、具体的かつ先進的なスポーツビジネスのキーパーソンに数多く出会うことができて、それらについてみんなで議論し、私も回答できる場として「Number Sports Business College」を開講しました。さらに、今後のブームに乗ってスポーツビジネスを謳った書籍が多数出版されると思われますが、間違った考えに惑わされないように、スポーツビジネスに関わる方全員に読んでもらいたいという思いを、自著「スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド」に込めました。

今後、自分の使命としてスポーツビジネスに携わっていく中で、もしも出会いに恵まれることがあるならば、もう一度思い切りのめり込むこともあるかもしれません。そのときは、さらなる大きなことに挑戦したいと考えています。

池田 純 氏

1976年1月23日、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事、博報堂を経て、2007年にDeNAに入社。執行役員マーケティングコミュニケーション室長を務める。2010年にNTTドコモとDeNAのジョイントベンチャー、エブリスタの初代社長として事業を立ち上げ、初年度から黒字化。2011年に横浜DeNAベイスターズの社長に史上最年少の35歳で就任。5年間で数々の改革を行ない、売上は倍増、観客動員数は球団史上最多、24億円の赤字から約10億円の黒字化に成功。2016年10月16日、契約満了に伴い、横浜DeNAベイスターズ社長を退任。現在はJリーグ特任理事、明治大学学長特任補佐や複数の企業のアドバイザーを務める一方、Number Sports Business College(NSBC)を開講するなど、10以上の肩書を持つ実業家として活躍している。著書に『空気のつくり方』(幻冬舎)、『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド』(文藝春秋)ほか。
HP→http://plus-j.jp/

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