コラム

スポーツ経営に学ぶ 常識を超えるマーケティング発想法

2020年東京五輪の先を見据えたマーケティング戦略ー横浜DeNAベイスターズ前社長 池田純

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【前回の記事】「横浜DeNAベイスターズ前社長が語る キャリア形成における2つの戦略」はこちら

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック。ブームになるのは遅く、そしてそのブームはすぐに弾けてしまう。
版権: portokalis / 123RF 写真素材

日本では、2019年にラグビーのワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピック、2021年に生涯スポーツの世界大会であるワールドマスターズゲームズが行われます。

スポーツの世界的ビッグイベントの3年連続開催は、偶然の産物ということは否定できません。しかし、開催に近づくごとに、日本ではスポーツが巨大なブームになることも間違いないでしょう。

いずれのイベントにも60代や70代の諸先輩方が関わられていて、2019年から2021年までの3年間を終えると、次の世代にバトンが渡されていくはずです。日本も現在は国を挙げてスポーツ産業に力を入れはじめ、兆円単位の経済効果があるという話も出てきています。

ところが、ブームに沸くことが確実な3年間の後、スポーツは本当に日本にビジネスとして、産業として、そして文化として根付いているのでしょうか。

実際のところ、ブームが弾けて、スポーツ業界が目標を失ってしまう可能性があります。先輩方からバトンを渡されたところで、スポーツビジネスを担える人材が見当たらないのが現状です。

日本という国は、マスメディアが一斉に情報を伝えた瞬間、その熱狂はすさまじいものがあります。一気に人気が高まり、大勢の人々がそのブームに飛びつきます。

とはいえ、個人の思い入れが大きな塊になっていくのではなく、あくまでマスメディアからの情報でしか世の中が動かないのも事実です。歴史を見ても、ブームになるのは遅く、そして、そのブームもすぐ弾けてしまいます。1964年に行われた東京オリンピックでも、開幕直前まで国内の盛り上がりは、今ひとつだったと聞きます。しかし、開幕に合わせて爆発的な注目を集めました。そして、そのブームも潮が引くようにサーッと終わる。

来たるブームに向け、スポーツに投資する企業も増えるかと思います。投資の意味は企業によって異なり、スポーツファンに自社の商品をリーチするためといった、マーケティングの役割もあると思います。投資の費用対効果を考えることも当然のことです。

ただ、スポーツには日本や地域、業界、企業を元気にする、爆発能力のある“元気玉”として大きな力があります。ただ、その爆発はいつ起こるかわかりません。もしかしたら、ブームのあとにやってくるかもしれません。

もしも企業として、スポーツやチームをスポンサードするのであれば、そのスポーツやチームがどのような理念やビジョンを持っているかが重要になってくるでしょう。理念やビジョンに共感できて企業のブランドやイメージを高めるような、win-winな関係になれる相手を見つけたとき、そのスポーツなりチームがいずれ“元気玉”になる可能性はあります。

その共感できる部分は、チームの経営者でも経営や選手育成の方針でも構いません。ただ、ブームに飛びついただけでは、“元気玉”になるどころか、すぐに“離婚”するはめになるはずです。相思相愛になれる相手をみきわめる必要あるのです。

池田 純 氏

1976年1月23日、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、住友商事、博報堂を経て、2007年にDeNAに入社。執行役員マーケティングコミュニケーション室長を務める。2010年にNTTドコモとDeNAのジョイントベンチャー、エブリスタの初代社長として事業を立ち上げ、初年度から黒字化。2011年に横浜DeNAベイスターズの社長に史上最年少の35歳で就任。5年間で数々の改革を行ない、売上は倍増、観客動員数は球団史上最多、24億円の赤字から約10億円の黒字化に成功。2016年10月16日、契約満了に伴い、横浜DeNAベイスターズ社長を退任。現在はJリーグ特任理事、明治大学学長特任補佐や複数の企業のアドバイザーを務める一方、Number Sports Business College(NSBC)を開講するなど、10以上の肩書を持つ実業家として活躍している。著書に『空気のつくり方』(幻冬舎)、『スポーツビジネスの教科書 常識の超え方 35歳球団社長の経営メソッド』(文藝春秋)ほか。
HP→http://plus-j.jp/

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