クリエイティブの視点vol.24 こやまたくや
アーティスト岡崎体育さんの楽曲「MUSICVIDEO」のミュージックビデオ(MV)は、2016年春に公開されると、すぐにSNS上で話題を集め、文化庁メディア芸術祭新人賞を受賞。「カメラ目線で歩きながら歌う」「泣かす・踊らす・音楽聴かす・窓にもたれさす・倒れさす」というように、日本のロックのMVにおける“あるある”が歌詞になっており、その歌詞に沿って岡崎さん自身が“あるある”をひたすら再現している。
同時に、わずか3人で、制作費6万円でつくったことも注目された。この作品をディレクションしたのは“寿司くん”こと、こやまたくやさんだ。大阪芸術大学映像学科在籍中に、アニメーション『寿司くん』を発表。岡崎さんのMVをはじめ映像ディレクターとして活躍する一方、大学の後輩と3ピースバンド「ヤバイTシャツ屋さん」(以降ヤバT)を結成し、2016年にメジャーデビュー。奇想天外な展開のヤバTのMVも、すべてこやまさんがディレクションしている。
こやまさんの代表作『寿司くん』は、大学2年生のときに生まれた。「映像学科に入学したものの、最初の1年は授業の課題以外、何もつくっていませんでした。このままでは埋もれてしまう、結果を残せる人にならないといけないという焦りから、意識的に映像をつくり始めたんです。幸いに大阪芸大は作品づくりを後押ししてくれる環境があったので、いろいろな映像をつくることができました。その中で、落書きで描いていた寿司のキャラクターをアニメで動かしてみようと思ったのが、『寿司くん』の始まりです」。YouTubeで公開後、その不思議なキャラクターは人気を集め、現在ではLINEスタンプやグッズも販売されている。
しかし、無名の大学生が公開したアニメが、なぜ注目されたのか。そこにはこやまさんならではのプロモーション戦略がある。映像公開前に、こやまさんは「寿司くん」名義のツイッターアカウントをつくり、そのキャラクターとして発信。存在が認知されたところで、満を持してアニメーションを公開。その結果、ツイッターの寿司くんフォロワーから人気に火が付いたのである。
「今は誰でもYouTubeで映像を公開できるけれど、つくったものを見てもらえなかったら意味がない。だから、僕は映像をつくるのと同じくらい、見てもらうためのプロモーションにも力を入れています。自分がつくったものは自分たちで発信して、広めていくことが一番効果的で強い方法だと思っているので、デビュー後も、そのやり方は変えていません」。
2017年10月には、新曲のMVでサントリー「デカビタC」とコラボ。タンクトップ破り選手権と激しいバンド演奏の間に、唐突にデカビタCを飲むシーンが挿入される映像がSNSで話題となった。「今後、機会があれば、MV以外の映像もつくっていきたい」と、こやまさん。2018年は1月にはヤバTの2枚目となるアルバムが発売となり、全国ツアーもスタート。アーティストとして、映像作家として、ますます注目を集める1年になりそうだ。
こやまたくや
映像作家/ヤバイTシャツ屋さんギター・ボーカル
編集協力/大阪芸術大学
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