【前回】「イノベーションを生み出す「ビジネスデザイン」とは? 濱口秀司【前編】」はこちら
今回の電通デザイントークのゲストは、世界初のUSBフラッシュメモリーやイオンドライヤーなど、数多くのイノベーティブなコンセプトを生み出したことで知られる世界的ビジネスデザイナーの濱口秀司さんです。聞き手は、2017年10月に電通に新組織として発足した電通ビジネスデザインスクエアの牛久保暖さんになります。多くの企業が様々な環境変化に直面し、新規ビジネス創出や業態転換を迫られる現代において、イノベーションを生み出す「ビジネスデザイン」について考えます。
デザインビジネスはフロンティア
——ビジネスデザインの需要が盛り上がり、そこを狙って参入する企業が増えています。現在の状況を、どのようにご覧になっていますか。
濱口:
ビジネスデザイン自体は、そんなに流行しているわけではないと思います。それよりも「イノベーション」という言葉に対する需要が、世界中で拡大していると考えています。その背景は、先ほど言ったバリューチェーンにおいて、最初の部分の価値が高く、ビジネス的なうま味が理解されるようになったからでしょう。
AppleやFacebook、Amazonを見ても、初期の発想の重要性が分かりますよね。そういうえも言われぬ雰囲気が「イノベーション」と表現されています。
僕は、これまで様々な企業の提案書を見てきましたが、はっきり言ってイノベーションを起こしたコンサルティング会社は存在しません。ビジネスデザインやイノベーションは非常に複雑で、単にアイデアを思いつくだけでは意味がないのです。
イノベーションの重要性が理解されてきたため、これから面白くなる領域ではないでしょうか。
——ビジネスデザイン業界は、フロンティアと呼べる状況にあるのですね。そういう中で、電通と仕事をして見えてきたことはありますか。

