「モノからコトへ」の本当の意味~体験ブランディングの背景にあるもの(後半)

【前回コラム】「企業の「売る」から生活者に「選ばれる」へ~体験ブランディングの背景にあるもの(前半)」はこちら

「売る」から「売れたあと」にもたらされる体験/経験価値へ

新聞に20代で起業している若者たちのインタビュー記事が載っていたのですが、その中に興味深い言葉がありました。要約するとこんな内容です。

「僕たち平成生まれ(ゆとり世代)は物欲が希薄だと思う。

いい車やいい時計なんか欲しくないし、洋服もファストファッションで十分。

お金は趣味や経験のために使う。モノよりも経験や体験に魅力を感じるんです」

こうした消費行動は平成生まれの若者に限ったことではなく、30〜40代も同じように考える人が多くなっている気がします。大量消費社会、成長社会が陰りを見せつつある今、消費者のニーズは「モノの豊かさから心の豊かさに変わった」と言えそうです。

それは、若者を中心に「人はスペックや機能ではなく、モノが実現してくれるコトの豊かさや満足度で商品やサービスを選ぶようになった」ということであり、広告の世界で久しく言われていた「モノからコトへ」が、いままさにリアリティを持って社会を動かしつつある──そんな風に解釈することもできます。

「消費者×ブランド」が共創することでブランドの体験価値がつくられる

前回「機能やスペックで差が出ない成熟社会において、ブランドや商品の価値を決めるのは消費者である」「選ばれるためにまず必要なのは、企業主語で語るのではなく徹底した生活者目線になることだ」という話をしましたが、モノが売れる構造は大きく変化しています。顕著なのはインターネット登場以前と以後だと言われています。

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藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)
藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)

1999年から博報堂でインタラクティブクリエイティブを軸に統合キャンペーンを手掛け、その後グループ内ブティック、タンバリンに参加。2016年より同社代表に就き「ハッピーアワーズ博報堂」に社名を変更。

“これでいい…”という消極的選択が溢れる成熟社会で、「ブランド」と「生活者」の関係性をアップデートする“至福”の体験価値をクリエイティブし、ブランデイングとマーケティングの両輪を動かしている。

藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)

1999年から博報堂でインタラクティブクリエイティブを軸に統合キャンペーンを手掛け、その後グループ内ブティック、タンバリンに参加。2016年より同社代表に就き「ハッピーアワーズ博報堂」に社名を変更。

“これでいい…”という消極的選択が溢れる成熟社会で、「ブランド」と「生活者」の関係性をアップデートする“至福”の体験価値をクリエイティブし、ブランデイングとマーケティングの両輪を動かしている。

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