—お二人にとって広告とは?社長というよりも一広告人としての考えを聞かせてください。山本:
僕にとって広告は仕事で、最大の関心事。僕が考える広告の機能は、昔も今も、そしてこれからも変わりません。広告の対象物は商品やサービスや企業、非営利団体、時には考え方や意見など、いろいろとあります。個人や社会の、その広告の対象物における価値や評価が前よりもよりよく変わること、それこそが広告の機能であると考えています。
知らなかったものを知ってもらうことが広告の第一歩ではありますが、知っているけれど自分とは関係ない、知っているけれど自分にとっての価値がそんなにイメージできないなと思っている。あるいは自分には関係ないと思っているものであっても、自分にとって価値があるのではないかと、新しい価値を発見してもらうこと。そして、その価値を高めることが広告にとっての大事な機能。
水島:
市場をつくったり、価値をつくることは、広告にとって重要な役割。山本社長の話を受けると、自分にとってそれがどう関係するのか、自分ごと化する回路が広告だと思います。平たく言うと、人の心を動かし、商品を動かすことが広告の重要な役割だと思っています。商品が売れることで世の中が動いていくわけですから。
もう一つに、広告の重要な機能としてつなげていくということがあると思います。長年、営業という職種についていたこともありますが、企業と商品と生活者をコミュニケーションでつなげていくことが広告の役割。さまざまな企業による研究など、サイエンスとアートをつなげることもある。時には広告主と媒体社をつなげることも。ブランドをつくることも生活者の気持ちにつなげていくこともそうです。気持ちや商品を動かすこと、さまざまなものをつなげること、これが自分がこれまでやってきた広告と言えます。
