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ヤングカンヌPR部門の日本代表に聞く 「PR目線の企画」とは?

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カンヌライオンズで30歳以下の若手が参加できるコンペ、Young Lions Competition(通称:ヤングカンヌ)。世界中から各国代表がペアで参加し、現地で出題された課題に対して定められた時間内に企画書・映像などを提出し競われるというものだ。

ヤングカンヌのPR部門国内代表選考をコンペ形式で始めて今年で4年目。今年もその他のカテゴリーに比較してダントツの173組のエントリーがあったが、その難関を突破し、本戦に臨んだ石倉一誠氏(TBWA\HAKUHODO・28歳)、内田翔子氏(博報堂・27歳)に国内代表選審査委員長の電通パブリックリレーションズ 井口理氏が現地で話を聞いた。

(左から)博報堂 第二クリエイティブ局所属 コピーライターの内田翔子氏(27歳)、TBWA\HAKUHODO Digital Arts Networkクリエイティブチーム クリエイティブテクノロジスト/ユーザーエクスペリエンスデザイナーの石倉一誠氏(28歳)。

社会全体を巻き込むPR

—今回のお題は?

石倉:アムネスティ・インターナショナルの人権問題への取り組みが大きなテーマです。その中でも人種差別に関しての問題を、現在関与度の低い若年層に対して訴求し、活動への参加意識を高めることが課題でした。

内田:アムネスティ・インターナショナルに対する認知率や好意度を上げ、支持基盤を作ること。そのステップとしてメールアドレスの登録を促進するという細かい設定でした。予算は規定されませんでしたが、できればリーズナブルにとのことでした。

—今回参戦するに当たって留意したことは?

石倉:これは国内予選でも同様でしたが、PR的タイムラインや実施後のサステナビリティ、また社会全般を含め、様々なステークホルダーをいかに巻き込んでいけるか、といったところを常に意識していました。

内田:事前の予習としては、とにかくこれまでのカンヌライオンズやD&ADのPR部門受賞作をひたすら見ました。グローバル視点、それから最新のPRの視点で何が評価されるのか、その感覚をしっかり刻み込みたいなと思って。結果、現地でアイデア出しを行い2人で議論するときには、「あれっぽい感じとかどうかな?」「あれもいいよね、でもこっちの方が少し近いかも」と、共通言語をもってディスカッションすることができました。

—結果はどうでしたか?

石倉:すみません! 残念ながら入賞叶わずでした。

内田:自信はあったのですが、結果発表後に審査員からの指摘を受けて自分たちに足りないものが少しずつ分かってきました。

石倉:企画の詳細は割愛しますが、今ある人種差別を認知させることと差別の存在を肯定することの紙一重さに気付かされた感じです。もっともっと人種差別そのものへの深い洞察や、人種差別問題に取り組む方への理解を持たないといけなかったんだと反省しました。

希望に満ちた「大きなビジョン」のある企画を

—勝ち残ったチームとの差異は何だったのでしょうか?

石倉:実は受賞作はゴールド(中国)とシルバー(フランス)の2カ国だけとのことです。その2組だけがオリエンにしっかりと応えた企画になっていた、と言われました。

内田:オリエンを自分たちなりの解釈に置き換えはしたものの、それがズレてしまっていたのかもしれません。

石倉:もちろんそれだけではないと思います。
ゴールドをとった中国のペアにあとから話を聞けたのですが、もっと違う観点で、ゴールドを獲った理由が見えました。

内田:審査員にはPR会社の方とともに、実際にアムネスティの方がいらっしゃいました。彼らは長年これらの問題に関わってきているわけで、その分、まとまりの良いキレイな企画というよりも、もっと希望のある、大きなビジョンを描かせてくれる企画を目指すべきだったのかもしれません。

生活者を「発信者」に変える

—それでは最後に来年のヤングカンヌに向けてアドバイスを。

石倉:いえ、来年も私たち代表になるつもりなんで!笑

内田:私もそのつもりです! でもあえていうなら、当たり前ですが「相性のいいパートナーを見つける」ということですかね。すでに私は来年の石倉をリザーブしています(笑)
ちなみに私は今年、PR部門以外にプリント、デザイン、サイバーと全部で4つのヤングカンヌ国内予選に応募しました。それぞれの部門で最適な役割分担ができるペアを組んだつもりだったんですが、思ったのはやはり考え方が近しいことは大切だなということ。英語ができるとかデザインができるとか、物理的に役割分担ができることも大切ですが、相手の好きなクリエイティブを自分も好きだと思えていると、コンペってすごく盛り上がるし楽しいなと。

石倉:来年もPR部門に挑戦したいです 。現在の所属は Digital Arts Networkというところにいて特にPR専門というわけではないのですが、やはりオーセンティックな広告よりも生活者を発信者に変えることで大きなムーブメントを作れるPR的な企画にどうしても気持ちが行きますね。常にPR目線で全ての企画を組み立てるように日々取り組んでいますが、そういった実地訓練が一番効くのではないかと感じています。

若手PRパーソンの息吹を肌で感じる

敗退とはいえ、非常に晴れ晴れとした表情でその戦いぶりを語ってくれた2人に今後の輝かしい可能性が感じられた。賞を獲ることが最終目的ではなく、各国の若手PRパーソンの息吹をリアルに感じることこそがその後の自身の成長には一番効果があるのではないだろうか。

すでに今年のカンヌライオンズ本戦のPRカテゴリー受賞作も発表されているのでぜひみなさんご覧いただき、PRならではの「胸アツ」を体験してほしい。ちなみにヤングカンヌの激闘報告会も近々開催予定。お楽しみに。

電通パブリックリレーションズ
執行役員/ビジネス開発局局長
井口理

カンヌライオンズ、スパイクスアジアのPR部門など、アワード審査員を歴任。カンヌライオンズ2017ではMobile Lions Grand Prix,、日本で初めてGlass Lionsを 受賞したほか、2018 Gunn 100 受賞。
Holmes Report主催のアワードでは「世界のPRプロジェクト50選」、「The Innovator 25 Asia-Pacific 2016(アジア太平洋地域のイノベーター)」に選出された。

 

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