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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

天才である必要はない。「普通の人」だからこそ、企画ができる(ゲスト:グランジ)【後編】

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澤本さんが舞台やマンガを積極的に見る理由

澤本:単純に面白いからというのもありますけど、見ておくとその話がしやすいのと、どこかで蓄積していたものが全く違うものと出合ったときに、これとこれを掛け合わせると違ったものできるというのがあったほうがいいかなと。舞台の場合は役者さんを見たいんですよ。キャスティングするときに、今回自分が書いたものがあの舞台のあの役者さんに合うなと。それこそラジオCMと一緒で、声を誰にするかによって全然違うじゃないですか。

五明:はい。

澤本:とするとある程度知っていたほうがいいなと思っているので、見に行ってますね。

遠山:掛け合わせるってやっぱすごいですね。そこに全然知らない要素をぶち込むことによって、新しいものが生まれて。あまり僕はそれ思ったことなかったので、めちゃめちゃ勉強になりました。

澤本:でもたとえば、それを強制的にやることも可能で、遠山くんは漫才に詳しいじゃないですか。そういうネタがある人に「味噌汁のCMを考えて」というと、味噌汁と漫才は関係あるわけじゃないけど、それがうまく合わさると良かったり。「味噌汁だけど、途中で絶対にコンビニに寄るシーンを入れて」というと、1個制約が増えるじゃない。そうすると、フリーで考えるよりは、考える範囲が狭くなるんですよ。結果、逆に自分の中にもってるものを組み合わせだすので、面白くなる確率は上がるんです。

五明:澤本さんや権八さんは、制約、これを入れてくださいというのは嫌じゃないんですか?

権八:僕は正直に言うと、えーって思うわけですよ。僕ら企画をしていく段階でよくあるのは、たとえばタレント、女優さんがこのセリフは言いたくないと。ここでこのセリフ言わないと話が合わない、でも嫌だと。そういうときにどうしようと、そうじゃない言葉だけど面白くするには・・・と頭を考えるわけです。

遠山:その場で考えることもあるってことですか?

権八:その場のこともありますよ。当日現場で揉めちゃって。クライアント通っちゃってるんだけど、というところから、どうしようと。その場で一所懸命考えることもよくあるし。でも意外とその場で一所懸命考えたりしたことのほうが上がりがよくなったりね。火事場のバカ力じゃないけど。

澤本:そう、たとえば、この『全米は、泣かない。』という本の広告をするときに、「五明さん本人が出たい」となったら、それはものすごい制約じゃないですか。

遠山:そんなに嫌なんですか・・・いいじゃんね。

五明:出させてくださいよ(笑)。

澤本:でも、出たという前提の制約でどう面白くするかを考えるじゃないですか。そういうのに慣れてはいるんですよ。逆に「何やってもいいから広告して」と言われると、できない。

遠山:そっちのほうが大変なんだ。

澤本:何が広告の良い悪いを決める基準になるかわからないから。五明さんが出てるわりにはいいぞ、となると、五明さんが出てるフィールドの中で順位がつくじゃないですか。でも、フィールドがないと、どこまでで良い悪いが全くわからないんですよ。

五明:芸人は意外とそれはないもんね。ネタを好きにやってくれなので。これお願いしますと言われるのはちょっとね。本当に嫌だもんね。

遠山:チッとなる奴のほうが多いですね。

澤本:だから似た感じかわからないけど、「ネタ考えろ、絶対にお地蔵さんにしてね」と言われて、お地蔵さんは関係ないのを無理矢理お地蔵さんにしていく感じですよ。最初は面白くないけど、結び付けていったら飛躍ができて、面白くなったりすることがあるという。

五明:広告はほとんどそうなんですか?

澤本:広告というもの自体が制約のある制作物ですから。でも広告だけじゃなく、音楽もそうですよ。音楽だって、モーツァルトはお抱えしてくれているパトロンの教会に行くために、本当は暗い音楽をつくりたいんだけど、「うちの娘の結婚式の曲をつくって」と言われて、「えー」と言いながらつくったら褒められて、「俺つくったんです」と。

五明:へー! 勉強になるなぁ。

遠山:自分の中にあるもので、自分の好きなものだったらそれしか出てこないですけど、全く違うところから飛んできたものに相対したときに、自分の気づかなかったものが出てくるかもしれないですし。そういう刺激を与えていると考えたらいいんですかね。

澤本:よく考えればそうです。でも制約大好きというと、やたらいっぱい付けてくる人がいるけど、あまり多すぎても無理なので。解けないクイズになっちゃったりする。

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