コミュニティから全国へ
—本書は発売前の予約段階で大きな話題になりました。ヒットのきっかけや、プロモーション戦略について教えてください。
発売前まではこんなに売れるとは思っておらず、4000部を恐る恐る刷った程度でした。でも、蓋を開けてみると、Amazonで予想をはるかに超える数の予約が入っていて驚きました。それだけヒットした一番の要因は、嘉村さんが2015年ごろからティール組織の概念に興味を持って、草の根的に広めてきたことにあります。嘉村さんが本の出版を告知したところ、興味を持っていた人が反応してくれて、そのコミュニティの力で広がっていったという感じです。
予想以上の反響に、プロモーション戦略を大幅に見直しました。ビジネスパーソンをターゲットに日経新聞のサンヤツ広告や車内ステッカー広告、Facebook広告などを打ち、次第にネットメディアにも取り上げられるようになりました。やがてコミュニティ外にも広まっていき、2018年1月の発売から約1カ月で3万部を売り上げました。ちょうどその時期、自社でも出版記念の読書会とパーティーを開いたのですが、チケットはすぐに売り切れ。皆さんからの反響をリアルに感じる機会になりました。
—今では、全国各地でも読書会が開かれていますね。
そうなんです。嬉しいことに読者の方々が各地で自主的に読書会を開催する動きも出てきました。
2月に実施した読書会では、多人数で同時に読書・対話を行う「Active Book Dialogue(ABD)」を行ったのですが、これは嘉村さんが元々取り組んでいらっしゃった方法なんです。一冊の書籍を、章ごとに分割して参加者らが手分けして読み、それぞれがまとめた内容をみんなで共有する方法です。これなら約600ページある『ティール組織』もわずか数時間で読破できるという、1人であれば絶対になしえないような読書体験ができるんです。この本にぴったりな方法ですよね。
読書会での反響がよかったので、もっと多くの方に気軽に読書会を実施してもらおうと、読書会の種類や当日の流れなどを解説した「読書会ガイド」をつくってウェブサイト上で無料公開しました。大人数でABDを行うグループには、ゲラの提供サービスも行っています。みんなで手分けして読むときに本を分割するのは大変ですから。我々がこういった「材料」を用意したことで、読書会はじわじわと全国に広がり、今では50カ所以上で開催されています。
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