10月26日、東京コピーライターズクラブ(TCC)の2018年贈賞式およびパーティが開催された。審査委員長の澤本嘉光氏は総評として「今年は『好きなものを選ぶ』を基準に各審査員に審査をしてもらった。受賞した作品は、みんなが好きだと思った気持ちの結晶だと思っている。僕はグランプリが一番好きだったので、個人的にとても嬉しい。新人賞にもいいコピーがたくさんあった。それもとても嬉しいことで、広告の仕事が若い人たちにとってかっこいいものに見えたらいいと思う」と話した。
「いい作品には、世界動かす力があると実感」—UHA味覚糖 山田泰正社長
「さけるグミ vs なが〜いさけるグミ」のWebムービーでグランプリを受賞したUHA味覚糖 代表取締役社長の山田泰正氏は、シリーズの始まりを振り返って以下のようにコメントした。
「井村さんの自主提案からスタートした企画です。実は、なが〜いさけるグミは開発したものの、売れない商品で実は困っていた。もう難しいかと思っていたところに、『SNSでこれだけコアなファンがついているのだから可能性のある商品だ』と提案をしてくれたのが井村さんだった。最初の提案はもっとえぐいものだったのですが(笑)、そこからここまで一緒にやってきた。井村さんの執念はすごくて、このCMシリーズは細部までこだわり抜いている。最後の方は私がOKを出しているのにまだ修正をかけてきて、正直うんざりしたこともあったのですが(笑)、おかげで海外まで届く力のあるものになった。中国の成都の山奥の代理店から『この動画は人気がある。我々もあの商品が売りたい』と言われた時には、これはすごいと思った。いい作品を作ると、世界を動かす力がある。これからも、こういう作品をお願いしたいと思っています」。
「プレゼンで『嬉しいですよ』と言われてグッときた」—グランプリ受賞 井村光明氏
「プレゼンの頃、49歳の誕生日の目前だったんです。長いことやっていると、プレゼンの後沈黙が続く時には、大体どんな結果になるかわかります。このCMのプレゼンの時もそうでした。沈黙が続くので、おそるおそる『いかがですか?』と聞いて見たんです。すると社長が『(こんな案をもらえて)嬉しいですよ』と言ってくれた。それを聞いて、グッときてしまって。それがこの仕事の始まりでした。嬉しいと言われたからにはがっかりさせるわけにいかないと、自分だけでなく営業も周りのスタッフも俄然やる気を出して、頑張った仕事です。グランプリ、本当に嬉しかったです。定年までもうひと頑張りしようという気になりました」
「抜擢に全力で応えようと思った」—最高新人賞受賞 坂本美慧氏
「ゼクシイ」の広告「結婚しなくても幸せになれるこの時代に私は、あなたと結婚したいのです。」、およびサントリー烏龍茶のWebムービー「菊池選手に会ってきた」シリーズ(広島東洋カープ・菊池涼介選手が出演)で最高新人賞を受賞した博報堂の坂本美慧さんは、以下のように語った。
「実は、私も、ここにいる井村さんも大のカープファンなんです。3連覇を成し遂げた今年、ゆかりのある企画で受賞できて嬉しく思います。ゼクシィの仕事は、時代性とよく言っていただきますが、そんな大それたものではなく、結婚をしてもしなくてもいい時代に、ゼクシィはすると決めた人を全力でサポートするブランドである、とクライアントとの話の中で聞き、それを表現したものです。コピーを書いたのは2年前で、メインコピーライターとして起用されたのは、実はこの時が初めてでした。その抜擢が嬉しくて、全力で応えたいという気持ちで取り組みました」
会場では、完成したばかりの『コピー年鑑』も披露された。書店では11月12日頃から発売予定。
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