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部門を再編したACC賞、贈賞式を開催

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11月1日に、「2018 58th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の贈賞式が開催された。当日は、総務大臣賞/ACCグランプリ、ACCゴールド、クラフト賞、小田桐昭賞、第7回クリエイターズ殿堂の贈賞が行われた。

贈賞式ではまずクリエイターズ殿堂の表彰が行われた。「第7回クリエイターズ殿堂」において、殿堂入りしたのは大瀧詠一(故人)、市川準(故人)、杉山恒太郎、中山佐知子、中堀正夫、高橋靖子の6氏。殿堂入りを代表し、杉山恒太郎氏は受賞を受けて、次のようにコメントを述べた。

「いまCMが少し古い言葉のように聞こえています。私も一時期デジタル部門のリーダーを務めていたこともあり、(広告や世の中で)いま何が起こっているかはよく理解しています。でも、日本にはCMという映像文化があります。映像は、撮影、編集、照明などそれぞれの技術を学ぶ時間が必要です。僕から見ると、いまは仕掛けばかりのおもちゃのような広告ばかり。もう一度、世界に冠たる日本のCMを中心とした映像文化を、若いみなさんには必死に学んでもらいたい。先人が作った輝かしい歴史が衰退することないように、若い人たちにお願いしたい」。

マーケティング・エフェクティブネス部門、クリエイティブイノベーション部門の最終審査会が映像で紹介された後、メディアクリエイティブ部門 審査委員長 小山薫堂氏が講評を述べた。「六本木ヒルズが誕生したとき、テレビでずっと仕事をしてきた僕は「テレビは取り残された」と感じました。

東京にこれまでにない華やかな場所ができて、最先端の人たちが集まる場に足を運んだとき、テレビは完全に負けている。ここから発信される情報の方が価値がある、と感じました。場所がメディアになる時代となり、いまはSNSが誕生したことで、一人ひとりがメディアになる時代となった。

今回の審査で、テレビ、ラジオ、OOH、雑誌などあらゆるメディアはSNSを掛け合わせることによって、かつての勢いを取り戻せるのではないか。従来のメディアにもまだまだ残された力があったことに気づかされました。グランプリを受賞した「Play the gift」はOOHという原始的な広告手法を取っているけれど、そこにはアイデアとクライアントの勇気ある決断がありました」。

その後、ステージに登場したのはブランデッド・コミュニケーション部門Cカテゴリーにおいて、ブランド・フィルム「新しい地図」でゴールドを受賞した新しい地図 香取慎吾氏。トロフィーを受け取った香取氏は「今から1年ほど前に新しい道を歩むために、新しい地図を作りました。その時、僕らはゼロからのスタートであるという思いで歩み始めました。一歩を踏み出すことが難しかった時に、このムービーが僕らの背中を押してくれました。そして、1年たった今、こんな素敵な賞をいただけて、さらに先に進む力になります。本当にみなさんありがとうございました」と話した。

4年間続いたインタラクティブ部門を大きく改変し、新たに創設されたブランデッド・コミュニケーション部門。その提案をしたのは、本年度同部門の審査委員長を務めた菅野薫氏だ。「賞というのは特殊なもので、作り手はこうした賞があることで日頃の努力が報われている気がするし、何よりもこれまで知られていなかったアイデアや才能が発見される場となり、かなり重要な役割や機能を持っていると思います。その賞を多様な角度から、さらには幅広い領域で才能やアイデアを発見できる仕組みに変えたい。そう思って、部門を再構築する提案をさせていただきました」と、その思いを話した。

ブランデッド・コミュニケーション部門は4カテゴリーで構成されているが、初年度だったにも関わらず、応募数は従来のインタラクティブ部門の2・5倍となったという。また審査会の中で起きた議論の内容がとても有意義で意味のあるものと感じたことから、その内容をWebで公開すべく、現在準備を進めていることを明かした。

ラジオ部門 審査委員長 嶋浩一郎氏は「radiko、スマートスピーカーなどの登場によって、どこでもラジオを聴くことができるようになった。いろいろな場所でラジオを聴いている人の心にどう響くか」ということを審査基準にしたという。

「いまさまざまなシーンでIoT化した商品やサービスが増えていますが、それらは音声のインターフェイスを使っています。今後、企業が新しい生活者接点を作るべくコミュニケーションを図っていく上で、オーディオの力を使ったラジオCMはますます重要になっていくのではないでしょうか」。

フィルム部門 審査委員長 澤本嘉光氏は「今回、審査員は広告の中だけに閉じず、テレビ番組を作っている人や出演なさっている方、映画監督など、いろいろな映像を扱っている皆さんに参加していただきました。結果として、多種多様なものが選ばれたと思います。中でもAカテゴリー グランプリに選ばれた「さけるグミ」は、商品のことだけを語って、商品から逃げずにいるのに、これだけ面白いという、なかなかないCM。またBカテゴリーグランプリに選ばれたサイボウズは、長尺の時間の使い方がうまく、いまの時代を捉えた内容で、会話が秀逸でした」と話した。

全ての賞の発表後、総務大臣賞(各部門のグランプリ)の受賞が行われ、総務省 佐藤ゆかり総務副大臣から賞状が手渡された。

「12月1日から4K放送が始まり、これまで以上に臨場感あふれる映像によって表現の幅も広がっていくと思われます。クリエイターの皆様には、新しい技術も効果的に駆使してらい、ますます魅力的な作品を世界に送り出していただくことを期待しています。創意工夫の結晶である優れたCMは視聴している誰もが楽しむことができることが重要。すでに字幕付きCM普及推進協議会の活動などで聴覚障害者の方にもCMを楽しんでいただけるような取り組みが進められています。誰もがCMのメッセージを受け取れるよう、より一層の取り組みをお願いしたい」と、石田真敏総務大臣からのメッセージを伝えた。

最後に、総務大臣賞受賞企業を代表して、NTTドコモ代表取締役副社長 辻上広志氏が受賞のコメントを述べた。

「今回の受賞作品は5Gを使い、通信という形のないものにおいて、新しい体験をつくってもらいました。制作陣の皆さんから「距離をなくす」という魅力的な提案をいただき、ロンドン、ニューヨーク、東京3拠点を結ぶという難しいことにチャレンジしました。関係した皆さんの素晴らしいプロフェッショナルな仕事の中で賞をいただけたと思っています。今後も生活を豊かにするべく新しいサービスを出し、さまざまな産業界の皆さんとコラボすることで、新しい価値をつくることに一層努力したい。今回の受賞が、その取り組みにおいて励みになりました」。

ACC賞受賞作品は、現在ACCのオフィシャルサイトで一部見ることができる。また、入賞した作品の中から選りすぐりのCMを上映・公開する「入賞作品発表会」が、12月5日(水)イイノホール&カンファレンスセンター(東京)をはじめ、全国30ヶ所で開催される。