日本からエアリアル・パフォーマーを
エアリアル・パフォーマンスは歴史あるサーカスの演技の1つであるが、日本における認知度はまだ高くない。サーカス文化が浸透しているヨーロッパではシニア層もエアリアルに挑戦するほど一般的なものとして知られている。「命綱を付けず、時には10メートル以上に及ぶ高所で、長い布(ティシュー)1枚をさばきながら演技する。空中で行う演技には命をかけた美しさがある。
だから観て頂ける方達に伝わるものが大きいのだと思います。」と話すのは、日本におけるエアリアル・パフォーマンスの第一人者、若井田久美子さん。
幼少期にクラシックバレエを習い、その後はオリンピックに出るという夢をもって体操競技に打ち込んできた。しかし、大学生の時に大きなケガをして体操を断念。その後にジャズダンスに出会い、10年以上続ける中で“自分にしかできないダンスの形はないか”と模索し、アクロバット・パフォーマンスのチームを結成。そのチームを率いて国内外で活躍する中で、フランスでエアリアルを学ぶ機会を得た。「エアリアルの可能性と魅力を強く感じ、さらに自分達の表現を拡げる事が出来ると実感した」という。その後、渡仏を繰り返しエアリアルを学び、2002年にはエアリアルチームを率いて日韓共催ワールドカップ決勝前夜祭のオフィシャルコンサートに出演。そして2005年に「エアリアル・アート・ダンス・プロジェクト(AADP)」を設立し、日本初の空中パフォーマー養成所「エアリアル・アート・ダンス・アカデミー(AADA)」を開校する。
「当時はアスリートの引退後の道が教員かスポーツクラブのインストラクターしかありませんでした。でも高い身体能力を持ち合わせたアスリート達に次のステージとしてエンターテインメントの世界で活躍する道もあるということを示したいと思いました」。AADA 開校から14年目の現在は、100人近い卒業生の内4人がシルク・ドゥ・ソレイユの現役パフォーマーとして活躍するなど、そのビジョンを現実のものにしている。
とはいえ、日本でエアリアルを浸透させるにはまだ課題も多い。「日本では消防法の関係で演技できる場所が限られています」。一方で、若井田さんが教鞭を執る大阪芸術大学は、日本で唯一エアリアル・アートが学べる場。授業開始にあたり、特別な設備を新設した。またスタジオのある墨田区では、高齢者に向けて健康増進を目的に、エアリアルを取り入れたエクササイズを教えるなど、新たな動きも出てきている。「少しずつですがエアリアルが広がっていることを実感しています。AADPでは3歳から入れる幼児体操のコースがあり、エアリアルは8歳から教えています。大学でも教える機会を得たので、世界を舞台に活躍できる未来のエアリアル・アーティストをどんどん育てていきたいですね」。
若井田久美子さん
編集協力/大阪芸術大学
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