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型破りな学校案内「ガツン!」 制作チーム座談会

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18歳人口の減少が進む今日、教育機関でもブランド戦略の重要性が高まってきている。今回は、数年で入学者数をV字回復させた修成建設専門学校と、長年パートナーとして関わるケシオンが、当時の話を振り返る。

写真左から修成建設専門学校 山下氏、ケシオン 岡本氏、村山氏

ケシオンと修成建設専門学校の始まりは熱い学校案内

—ケシオンは大阪に本社のある広告会社ですが、社内に学生募集プランニングチームを持っている点が極めてユニークです。

岡本:そうですね。かなり珍しいと思います。当社は、これまで200校以上との制作実績があります。特に、修成建設専門学校(以降、修成)とは学生募集から広報活動まで、長年幅広くパートナーとして関わることで、包括的な学生募集のノウハウも蓄積してきました。その結果として、専門のチームを結成することになりました。

—ケシオンと修成のお付き合いは、かなり長いそうですね。

山下:はい。15年ほど前から学校案内の制作をお願いしていますが、この8年くらいで付き合い方が大きく変わりました。当校は、創立108年という歴史があるのですが、リーマンショック後、不況の影響もあって学生数が最盛期の1/4という危機的状況になりました。そのときに、広報活動をどうすればいいのか、抜本的な解決策を求めて、ケシオンに相談しました。

—なるほど。そんな経緯があったのですね。ここに修成の学校案内がありますが、表紙には「ガツン!」というタイトルだけ。これはそのときに生まれたのですか。

村山:はい。相談を受けて、どうやれば学校の魅力をアピールできるのか、学校案内を手に取ってもらえるのか、そうした観点から出てきたキーワードです。「ガツン!」には古い慣習などにとらわれずにガツン!とやれよとか、ガツン!と生きろよといった願いが込められています。

—学校名よりも目立っていますね。

村山:もちろん校名は大切ですが、リブランディングにおいて、はじめに何を伝えたいかを考えました。

山下:教職員も当初はびっくりしていましたが、「ガツン!」というパワーは、すぐに受け入れられました。今では学生が、ものづくりに関わるクラブやプロジェクト名にも使われていますね。

—中の記事も一風変わったものが多い印象です。

岡本:学校案内あるあるなのですが、基本的に前年踏襲のものが多い。だから面白くならない。また、読者を高校生、その保護者、教師と三方向にしてしまうことも問題です。これでは、どこにフォーカスしているのか不明瞭なものになってしまいます。

村山:学校案内の制作を始めるにあたって、私たちが考えたのは、「高校生に伝える」というターゲットの明確化です。学校の歴史や学科紹介・学生のメッセージなど、学校案内として伝えるべき内容を、いかに高校生に興味を持ってもらえるコンテンツに仕上げるか、が大切ですので、デザイン面などで参考にするのは一般の学校案内よりも、むしろ雑誌、ファッション誌だったりします。さらに各コンテンツの表現は、毎年変えるよう工夫しています。というのも、最近は高校1年生から毎年資料請求をして、3回手に取る人もいるからです。

山下:当校は100年以上の歴史、校舎の免震構造などはもちろんですが、もっとも特長的なのは人だと思います。学生も先生も元気がある。そうした活気が「ガツン!」という学校案内を通して感じられるようになりました。

岡本:学生はもちろん、建設業界の人に出ていただくこともあります。高校生で将来に関して決めるわけですから、簡単に判断するというわけにはいきません。就職という出口を少しでもイメージできるようにしてあげる必要があります。

山下:そうですね。単純に就職率を提示するよりも将来像をイメージしやすくなります。

—一般的に、入学に際しては高校の先生、生徒の保護者の意向も大きく影響すると思うのですが、その点はいかがですか。

山下:高校の先生に関していえば、当校は広報部スタッフが、徹底して高校訪問を行なっています。派手さはないですが、訪問数や内容などには自信をもっていますね。

岡本:保護者に対しては、別にツールを用意し、ここに入ったらしっかり学べそうというイメージで安心してもらえるように意識しています。こうした、高校生をはじめ、先生や保護者との接点は、学校案内以外にも、WebやDMなど複数あります。ただそれらを無計画に作っても、効果は上がりません。全体を俯瞰し、適切な内容のものを、適切な時期に作る必要があります。そのために、大きく1年のスパンでプロモーション計画を立て、PDCAを回していきます。学校のことをより深く理解するために、オープンキャンパスにお邪魔させてもらうこともあります。

村山:さらに、近年高校生はスマホで情報をチェックするのが当たり前になっているので、特にWebでの展開に注力しています。先ほど触れた建設業界の方々にも、Web上の企画で出ていただいています。修成の「魅力」を伝えることに加えて、建設業界の魅力も伝えるということが目的ですから、人選には卒業生という制約を設けていません。企業側も協力的です。また、YouTubeを視聴する高校生も多いので、動画コンテンツもつくっています。

リブランディングで学校全体が活気づく

「ガツン!」をキーワードにした学校案内。

—なるほど。「ガツン!」をキーワードに、学校案内がこれほどの広がりを持ってきたのですね。

岡本:学校案内からはじまり、今ではWebからOOHに至るまで、あらゆるプロモーションを、この一貫したキーワードで展開してきました。これが出来たのは、当社が広告会社であるからだと思っています。進路を考えている高校生はもちろん、在校生も目にすることで、自分の学校に誇りを持ってもらう機会を設けることができました。一般的に、ブランディングは外に向けてという印象が強いと思いますが、学校内に関しても影響を及ぼします。今回は、その好循環が生まれたと感じています。

山下:ケシオンに協力を求めて以来、学生数はV字回復しました。そして学生数が増えただけでなく、教職員も含めて学校全体の雰囲気が以前と比べて明るく活気あるものになりました。活気がでることで教育面でも新たな試みができており、それがまた外部に発信できる。まさしく好循環ですね。

—ケシオンは200校以上の学校とのお付き合いがありますが、修成のように密に連絡を取り合って、プロジェクト全体に関わっているようなケースは他にもあるのでしょうか。

岡本:ここまで入り込んでやっているケースはそこまで多くありません。修成とパートナーとなれたのは、危機的状況にあって、その内容を包み隠さず開示してくれたから。私たちはその情報があったから対策を立てることができたし、パートナーとしてやっていく覚悟を持てた。もちろん他校から相談を受けることがあれば、同じように全力で取り組む覚悟はあります。

—最後に今後の展望をお聞かせください。

山下:2020年に創立110周年を迎えます。建設業界が元気じゃないと私たちも元気にはなれない。だから企業や団体と連携して建設業界を盛り上げていくようなことをしたいと考え、いま動いています。

岡本:高校生の将来の選択に関わる重要な仕事に関わっているという自覚、自負があります。修成との信頼関係を生かしながら、今後も真摯に仕事に向き合っていきたい。学生募集に苦労されているそのほかの学校の力にもなりたいと考えています。

学校案内だけでなくOOHでも積極的に展開。

山下 裕貴氏
Hiroki Yamashita

学校法人修成学園 修成建設専門学校
理事長

 

岡本 治樹氏
Haruki Okamoto

株式会社ケシオン
企画部 サブマネージャー

 

村山 健次氏
Kenji Murayama

株式会社ケシオン
企画部 Manager / Art Director

 



お問い合わせ
株式会社ケシオン
http://www.kesion.co.jp/