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4人のCIOが「CIO不要論」を議論!? CMOとの連携の可能性とは ―Adobe Summit2019

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米国ラスベガスにて2019年3月26日~28日(現地時間)の期間、開催されている「Adobe Summit2019」。マーケティング、デジタルエクスペリエンスをテーマに世界中からマーケターやデジタル担当が集まる本イベントを現地からレポートする。

カスタマーエクスペリエンスが重視される時代のCIOの役割とは?

「Adobe Summit2019」では開催期間中、322のセッションが催される。来場者はマーケターの他、CIOなどのIT・システム担当も多く、CIOに関わるセッションも開催されている。

バックオフィス機能、社内に対するサポート機能を果たしてきた、従来のCIOの仕事においては顧客と接点を持つことは少なかった。それでは、カスタマーエクスペリエンスの質が企業の競争軸となる時代、かつその実現に際してテクノロジーやデータの活用が不可欠の現代の環境において、CIOはどのような役割を果たすべきなのか。また、そこにおけるCMOとの連携の可能性とは?

4名のCIOが「The Changing Role of the CIO at the Intersection of IT and Marketing」をテーマにディスカッションを繰り広げた。

写真右からCynthia Stoddard 氏(SVP & CIO, Adobe)、Andrew Wilson氏(CIO, Accenture)、Atticus Tysen氏(SVP & CIO, Intuit)、Peter High氏(Forbes CIO)。

モデレーターを務めるPeter High(Forbes CIO)氏からは「例えばクラウドが浸透したことでCIOの存在が不要になったのではないかと指摘する人がいる。しかし不要になっているということはなく、役割が変わっているのではないか」との問いかけがあった。

これに対してAdobeのCynthia Stoddard氏は「初日のキーノートでAdobeでは『DDOM(Data Driven Operation Model)』に取り組んできたという話があった。私たちはカスタマージャーニーのあらゆるステージにおいてデータを見ながら、体験の質をいかに高めることができるかを考えており、このチャレンジの中で私はAdobeにおいて、CIOはカスタマーの声を代弁する存在になっていると考えている」と自身の考えを話した。

「『CIOはチーフ・エクスペリエンス・オフィサー(CXO)になるべきだ、という議論もあったが、私はチーフ・オーケストレーション・オフィサー(COO)という役割にこそ、CIOの次なる役割があると考えている』と話したのはAndrew Wilson氏(CIO,Accenture)だ。

「私たちの組織が独自のアセットを保持しているわけではなく、社内の各部門が必要とするテクノロジーをつなぐインテグレーターであり、全体のアーキテクチャを描き、有機的に各テクノロジーが機能するような調整役を担うべきだ」(Andrew Wilson氏)。

さらに「CDOの方が華やかな印象を与えるし、CDOがいればCIOはいらないという指摘をする人もいる。しかし、企業のデジタル変革を促してきたのはCIOだと思う。CIOはオペレーターではなくデジタルトランスフォーマーであるのだということについて社内で理解してもらう必要がある」と続けた。
またそこでは、マーケティング、人事、財務の担当とともに、トランスフォーメーションの戦略を描いていくことが必要であるとの指摘もした。

データをもとにジャーニーを分析し、課題を解決していく

戦略を描いた後、実行の部分でもチャレンジが必要だ。
AdobeのCynthia Stoddard氏は、そのテーマについて「Adobeはサブスクリプションモデルのビジネスに移行し、自分たちのカスタマーは誰なのか、そしてそのカスタマージャーニーにおいて課題となっていることは何かを理解し、カスタマーの課題を解決するための提案ができるようになっている。次のチャレンジは、その課題を解決するプロセスのリエンジニアリングだ。以前は、そのプロセスはサイクルで動いていた。しかしリアルタイム、さらにパーソナライズが求められる現在のカスタマーとの関係においては、決められたサイクル通りの活動では十分ではなくなっている」と話した。

またAtticus Tysen(SVP & CIO, Intuit)氏は「私たちの企業もボックス製品の会社からSaaSの会社、さらにAI、プラットフォームの会社へと変化を遂げてきた。その過程では、チャレンジが必要で小さな失敗を許容する風土がなければいけない。失敗が決して深刻なインパクトを与えないよう、仕組みをつくればスピードをもって新しいチャレンジに取り組むことができるようになる」と続けた。

「CIOはテクノロジーに夢中になるのではなく、そのテクノロジーがどうビジネスにインパクトを与えるのかを語れないといけない。そして、そこでカギになるのはデータだ。データは企業内の潤滑油と言われることもあるが、私は酸素のような存在だと思う。データを活用することで、CIOはビジネスに対するインパクトを与えることができる」とAtticus Tysen氏。

今回の「Adobe Summit」では、DDOM(Data Driven Operation Model)というワードが頻出したが、CIOの仕事においても、リアルタイムにカスタマーに適した対応を実現していく上で、これまでとは役割はもちろん、ワークプロセスのイノベーションが求められていると言えそうだ。