コンセプターの坂井直樹さんが、今起きている社会の変化の中でも、少し先の未来で「スタンダード」となり得そうな出来事、従来の慣習を覆すような新しい価値観を探る対談コラム。今回は、ヤフーやIBMなどでBtoBマーケティングに従事し、パナソニック コネクティッドソリューションズ社へ移籍したエンタープライズマーケティング本部長の山口有希子さん。100年の歴史を持つ企業で、人材の多様化、ダイバーシティの推進や企業風土の変革に挑んでいます。培われてきた同質なカルチャーに甘んじず、異質なものと交じり合おうとすることで、組織やビジネス、教育にどんな変化が生まれようとしているのか、語り合います。
ティーンエイジャーのほうが僕より偉いと思っている
坂井:
初めてお会いしたのは、山口さんがIBMにいらした頃ですね。ダイバーシティをテーマで話を聞くなら山口さんが最適と聞いて。
山口:
IBMは、ダイバーシティをすごく推進している会社で、人材を多様にして生産性を上げていこうとしています。その前に在籍していたヤフーでも、私は1対1で部下の話を聞く1on1ミーティングを続けていて、いろんな背景とかキャリア観を持つ人たちを支援して、一人ひとりが持っている力を発揮できるようにしていました。
坂井:
僕は、中国が未来社会のモデルになると思っているから、頻繁に勉強しに行くんですが、女性の社長や副社長が事も無げにいますよね。もはやダイバーシティという言葉自体が必要ないような感じです。
山口:
日本だと女性の抜擢は、わかりやすい組織のダイバーシティですからね。中国の方と話していると、シンプルに成果を出す、稼ぐことに価値を置いている。強いです。
坂井:
中国の企業を見ていると、事業自体もオープンで、社内に資源をとどめずに外に開いているように感じます。
例えば、テンセントが出資している「猫眼娯楽」という映画チケットをオンライン販売している会社があるんですが、日本で言うとチケットぴあみたいなもので、中国のチケット販売の60%が、その会社を通して買われています。どの映画が今買われているかをリアルタイムでディスプレイに出していて、そのデータは分析して販売しています。

