宣伝会議賞は、「賞」ではありません。――勝浦雅彦

第57回「宣伝会議賞」の募集が始まりました(応募締め切りは11月6日)!
本日から、第57回「宣伝会議賞」の審査員の方々のコラムをリレー形式で掲載していきます。
第1回目は勝浦雅彦さんです。

勝浦雅彦氏
電通 コピーライター/CMプランナー

質庫ぜに屋本店、東芝LED、inゼリー、ラグビーW杯CM等を制作。コピーに、LOFT「去年より、恋がうまくなった。なんだかつまらない。」大牟田スイミングスクール「お母さんの声援が聞こえるから、息つぎが好き。」自殺予防週間「明日も、「ただいま」を聞かせてください。 」お仏壇のコガ「お母さん、お母さんになったよ。」など。TCC賞、ADFEST FILM最高賞、Spikes Asia、Cannes Lions、クリエイターオブザイヤーメダリストなど受賞。「つくる人の会」主催。

 

今年もはじまりましたね、宣伝会議賞。

昨年、ファシリティーターとしてお声掛けいただいた、

こちらの「宣伝会議賞受賞者とのトークセッション」がついこないだのように感じるのに。

 

これが「ジャネーの法則」ってやつでしょうか。

さて、審査員コラムのトップバッターをご依頼いただきまして、

かつて私が応募者だった頃の思い出などは動画でも語っているので割愛して、ずっと考えてきた事をいきなり書くと、

宣伝会議賞は、「賞」ではありません。

「え?」と面食らった方もいるでしょう。

ギラギラとした賞獲りマニアの方は、梯子を外された思いでしょう。

では、宣伝会議賞とは何か。

宣伝会議賞は賞のかたちをした、「日本最大の表現コミュニティ」です。

もちろん、アワードなので仕組み上、入賞者がいて、表彰式があり、一部の勝者が生まれます。

それによって大多数の人は悔しさや嫉妬にさいなまれることもあるでしょう。

私としても「賞に入ること」は目指してほしいし、狙ってほしい。

ですが、確率上、ほとんどの人が入賞できないですし、審査員がすくいあげることのできなかったコピーや企画はデジタルの海に眠ったままです。

それでも、あなたが毎年応募をやめないのは、あるいは知人・友人とのイベントに宣伝会議賞を選ぶのは、中学生や高校生の貴重な青春の時間を費やして参加しようと思うのは、あなたが生み出した言葉やアイディアが自走して、波紋のように広がり、賞に入る以上のものを連れてきてくれるからだと思うのです。

言葉が好きで誰に言われるでもなく鉛筆を握り、キーボードを叩きはじめた自分、10000本チャレンジを公言して書ききった自分、その存在すら知らなかった商品をとことん調べて愛せた自分、真剣にチャレンジしているあいだに同じ境遇の仲間たちに出会えた自分、そして表現にどっぷり浸かりいつしかそれを生涯の仕事と決めた自分…。

これらの無数の「自分」たちを宣伝会議賞というコミュニティが見つけ出し、受け入れながら、約60年間その「場」が脈々と続いてきたことにこそ、価値があるのではないでしょうか。

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第57回「宣伝会議賞」審査員
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