広告会社の未来マーケティングの方向性

【前回】「転換期を迎える、日本のメディアビジネスを考察する — ➁紙媒体・ラジオ」はこちら

プラットフォームを所有し始めた広告主 進むインハウス化と広告会社の役割

本連載では、パーソナライゼーションというテーマをもとに昨今のメディア環境の変化を読み解いてきた。5回目となる今回は、メディア環境の変化が広告会社に与える影響について考察していきたい。著者自身20年以上、広告会社でメディアやマーケティング領域の業務を担当し、その後事業会社のCMOという立場で広告主としてもメディアに接してきた。そういう意味では、今回のテーマは自身が感じている「広告会社こうあるべき」という生々しい主観が一部入ってしまうことをご容赦願いたい。

逆に言えば、広告会社の酸いも甘いも理解しているがゆえの示唆にできればと考えている。メディア環境が大きく変化する中で、広告主企業の広告戦略のスタンスにも変化が生じている。従来、広告戦略は広告会社を活用し、基本的なコミュニケーションプランニングや広告のエグゼキューションを代行させていた。ところが、近年はGAFAなどのプラットフォーマーが消費者の行動データを豊富に蓄積してきたため、当該プラットフォーマーが提供する広告配信サービスを広告主が直接、利用するケースが増加している。

また一部の広告主においては、デジタルプラットフォーム自体をビジネスの中核に据えてビジネス展開しているケースもある。そのため自社で消費者や取引先と直接つながったプラットフォームを所有しているケースも出てきた。そうなってくると外部の広告会社や、さらにはプラットフォーマーを活用せずとも、自社のプラットフォームやオーディエンスデータを活用して独自の広告活動を行うことができるようになる。

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森井理博(PwCコンサルティング マネージング ディレクター /事業構想大学院大学 特任教授)
森井理博(PwCコンサルティング マネージング ディレクター /事業構想大学院大学 特任教授)

データベースをフルに活用した「バックキャスト・マーケティング」という新たなマーケティング方法論を提唱。1989年電通入社。マーケティング局で戦略プランニング、営業統括局でCS放送局の立ち上げ並びに中国プロジェクト(在任中に「アジアビジネススクール」修了)を担当後、世界最大の外資FMCG企業のアカウント責任者。2014年あきんどスシロー入社、取締役・執行役員 マーケティング本部長。2016年Peach Aviation 執行役員 データドリブン・マーケティング本部長。2018年9月より現職、事業構想大学院のマーケティング担当・特任教授も兼務。

森井理博(PwCコンサルティング マネージング ディレクター /事業構想大学院大学 特任教授)

データベースをフルに活用した「バックキャスト・マーケティング」という新たなマーケティング方法論を提唱。1989年電通入社。マーケティング局で戦略プランニング、営業統括局でCS放送局の立ち上げ並びに中国プロジェクト(在任中に「アジアビジネススクール」修了)を担当後、世界最大の外資FMCG企業のアカウント責任者。2014年あきんどスシロー入社、取締役・執行役員 マーケティング本部長。2016年Peach Aviation 執行役員 データドリブン・マーケティング本部長。2018年9月より現職、事業構想大学院のマーケティング担当・特任教授も兼務。

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