LIFULLの社内クリエイティブチームが考える“社内制作部署”ではない。ブランドパーパスを達成するための役割とは。

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不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」を中心にさまざまな事業を展開するLIFULLのクリエイティブ組織を率いるチーフクリエイティブオフィサーの川嵜鋼平さん。社内組織という特性を強みに、社会を巻き込みながら手つかずの問題の解決を目指す。

(左から)シニアアートディレクターの三宅太門さん、執行役員/チーフクリエイティブオフィサーの川嵜鋼平さん、シニアアートディレクターの増田貴哉さん。

ブランディングからイノベーションの研究開発までを担う

LIFULLは9月26日、自社の1階にある飲食店「LIFULL Table」でイベント『視点のセッション』を開催し、2つのセッションを実施した。そこで語られたのは、これまでの当たり前や常識を疑う視点。従来の職種の枠組みや領域にとらわれないデザインの在り方や働き方、従来の常識から解放されてクリエイティブをどう飛躍させていくかなど、活発に議論が交わされた。

なぜ、不動産住宅情報サイトを軸に暮らしや人生にまつわる事業を展開してきたLIFULLはいま、このイベントを開催したのだろうか。

「あらゆるLIFEを、FULLに。」。それがLIFULLのコーポレートメッセージだ。年齢や性別、言語、国も超えて、世界中のすべての人に安心と喜びで満たすソリューションを提供し続けることを事業の根幹にしている。

LIFULLは2018年、「既成概念、社会課題や手つかずの問題を、視点を変える発想で豊かさに変える。そして、あらゆる人が当たり前に無限の可能性の中から自分の生きたいLIFEを実現できる社会へ。」をブランドパーパスに掲げ、社内にクリエイティブ組織を作った。内容は、ブランド戦略立案からマーケティング、ブランドデザイン、プロダクトデザイン、コミュニケーション、そして研究開発と多岐に渡る。

LIFULLは今年9月、LIFULLのブランド価値を最大化するために、「しなきゃ、なんてない。」プロジェクトとして、LIFULLの企業CMの放映やアンバサダーによるTwitterキャンペーンを開始した。

責任者を務める同社執行役員/チーフクリエイティブオフィサーの川嵜鋼平さんは「キャンペーンでは性別や年齢、人種などに関して、普段から疑問を感じている既成概念や社会課題について、合計フォロワー2,500万人を超えるアンバサダーの方々にハッシュタグ『#しなきゃなんてない』をつけてツイートしてもらいました。その動きは一般の方々にも派生し、世の中を巻き込めていると感じています」と話す。

LIFULLは9月5日に、このようなクリエイティブの力によって実現したプロジェクトを紹介するデザインポートフォリオサイトを公開。「視点のセッション」は、それを記念して開催したものだった。

LIFULLの企業CM「しなきゃ、なんてない。」。

経営から逆算したデザイナーの育成体制

9月26日には自社の1階にあるラウンジ「LIFULL Table」でイベント『視点のセッション』を開催。当日は、BASS DRUM 清水幹太さん、Noiz Architects 豊田啓介さん、monom小野直紀さん、H inc. 長谷川弘佳さんの4名を招き、川嵜さん、アートディレクターの三宅太門さんも参加した。

LIFULLのクリエイティブチームには現在、UX/UI、グラフィックデザインを中心に約30人のデザイナーが所属しており、継続的にインハウスデザイナーが成長できるよう育成体制を強化している。

「育成方針は“Think & Make & Do”です。ビジュアルコンセプトやコミュニケーションプランニングなど、マーケティングまできちんと考えられる“Think”のスキルと、いわゆる“デザイン”だけでなく、UIや映像、コンセプトモデル、コピーのディレクションなども越境して表現できるようにす“Make”のスキル。さらに“Do”として、スケジュールや品質管理、外部のアワードの受賞なども評価基準の一つにしています」(川嵜さん)。

その能力を鍛えるべく、外部のデザイナーを講師に迎えて、UI、グラフィック、フィルム、コピーライティングなど、さまざまな領域に関するデザインスクールを月に1回程度開講している。

LIFULLがその先に見据えるのは、デザイナーがゆくゆくはアートディレクターに、ひいては経営者となる未来だ。そのため、デザイナーは組織の戦略策定や予算管理などのスキルも求められている。

「その他、国内の事業会社では新しい取り組みですが、ブランドキット、プロダクトキットなど、ブランドのデザインガイドラインを設けています。非デザイナーでもデザインをできるようにすることで、既存のデザイナーが『0→10』の部分にコミットできるようになる。結果、これまでにない試みが生まれやすい体制が整ってきています」(川嵜さん)

環境問題を“食べる”試み

「地球料理 -Earth Cuisine-」で三宅さんが担当した“間伐材から生まれたケーキ”「EATREE CAKE」。

そこから生まれた取り組みの1つが、社会実装前提のオープンイノベーション型の研究開発を行うLIFULL Labが主導するプロジェクト「地球料理—Earth Cuisine—」だ。地球上でまだ目立たない、社会問題や環境破壊を引き起こす素材にフォーカスし、その素材を“食べる”ことで持続可能な社会を目指す。

昨年実施した第1弾では「間伐材」に着目し、奥多摩の間伐材の森の中で一夜限りのレストランをオープン。今年9月に行われた第2弾は「竹害」をテーマに、東京都現代美術館にて「BAMBOO SWEETS—竹害から生まれた和菓子—」を発表し、試食会を開催した。第3弾も2020年中に実施予定で食材研究を進めている。

今後のクリエイティブチームの在り方について川嵜さんはこう話す。「2025年には100個の社会課題を解決するべく、100社をつくろうと話しています。そのためにも、引き続きクリエイティブの力を用いた社会課題の解決にチームで取り組み続けたいですね。社内のクリエイティブ組織だからこそ、スピード感をもって意思決定することができる。LIFULLならではの一貫性のある力強いメッセージを、社会に発信し続けていきます」

増田さんが担当した“竹害から生まれた和菓子”「BAMBOO SWEETS」。

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LIFULL DESIGN

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