【前回コラム】「『ガラスの仮面』に学ぶマーケターのヒント④「発言の裏の本心を探る」篇」はこちら
デザイナーに依頼する前に完成イメージ、“見えて”いますか?
小説でも漫画でも好きな作品というのは、読み返す度に新しい発見や感動がありますよね。年末に大掃除をしながら『ガラスの仮面』を読み直していたところ、これは!?という発見があったので、今回はそれをご紹介しようと思います。
私はマーケティングやコミュニケーション・デザインという業界に入ったのは今から約20年前。制作会社のアシスタント・ディレクターとして仕事をスタートさせました。とある会社のWebサイト全体の担当ディレクターとして初めてひとりで設計書を描き、デザイナーさんにデザインを依頼しにいった時のこと。そのサイトの目的やコンセプト、設計意図などをひとしきり説明した時に、そのベテランデザイナーさんにこう言われたのです。
「絵、見えてる?」
さらに「あなたの説明を聞いても完成イメージが全く伝わって来ないから、あなたがどんなものをつくりたいのかが分からない」。「ディレクターなら完成イメージを伝えてほしい。デザイナーが勝手にイメージしてデザインしてもいいけれど、仕上がってから思っていたのと違うとか言わないでよ」と言われました。
絵=デザイン、だから絵を見るのはデザイナーさんの役割と思っていた当時の私にとっては驚きでした。しかし、その後ディレクターとして働くようになり、デザイナー、エンジニアなどに指示を出したり、クライアントと会話したりする経験をしていく中で、“絵を見る”ということの重要性を実感し、20年経った今でも私はこの言葉を大切にしています。ディレクションはもちろん、提案書・企画書をつくるのにも、まず“絵を見る”。つまりは完成イメージを固めてから取り掛かるということを心がけて仕事をしています。
それでは、この“絵を見る”ことのメリットとは何でしょうか。それを『ガラスの仮面』から学びたいと思います。
北島マヤは学芸会で初めて舞台で芝居をして、その情熱に火が付き、演技を本格的に学びたいと劇団「オンディーヌ」を訪れます。速水真澄のはからいもあり見学が許されるのですが、その時に研究生たちがやっていた練習が、部屋で逃げてしまった小鳥を捕まえ、もう一度カゴに戻すという一連の流れをパントマイムで表現するというもの。題して『逃げた小鳥』。劇団員の意地悪から、マヤもそれに挑戦することになります。
パントマイムを生まれて初めて挑戦し、オロオロして見えるマヤを劇団員は“でくのぼう”とバカにします。しかし、マヤはどうパントマイムをしていいのかが分からないからではなく、家具の上を飛び回り手に届かない場所に止まってしまった小鳥をどうやって戻していいのか本当に分からずオロオロしていたのです。そして姫川亜弓だけはマヤの目線に気づきます。目の動きだけで小鳥が部屋の中を飛び回っていることが分かる、彼女には小鳥が見えている、この子は本当に小鳥が降りてこないから困っている!とマヤの才能に驚くのです。
その後、小鳥を捕まえられないマヤのパントマイムの続きを引き受けた亜弓は、マヤにあっと言わせる方法で小鳥を捕まえてみせるのでした。
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