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コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論

意外すぎるブランドの正体! 実務者のための泥臭いブランド定義とは?

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1.ブランド(妄想)は何もしなくても、自然にできるもの。

梅干しがブランドをつくるために能動的に、積極的に活動しているというわけではありません。梅干しさんには、ブランド戦略はありません。ブランドプロミスもないですし、ブランド広告、ブランドロゴ管理をしているわけでもありません。つまり、ブランドというのは、そもそも自然に、何もしなくてもできるものなのです。

ブランド戦略、ブランドプロミス、ブランド広告、ブランドロゴ管理がないとブランドができないというのは間違いであることがわかります。

一方で自然に、勝手にできるものですから、よほどのことがなければ「自らが持っている特徴や個性」が妄想(ブランド)になっていくともいえます。

梅干しは、すっぱい。だから多くの日本人はこの梅の写真をみてすっぱいというイメージ、つまりは“妄想”が生まれたのです。ブランドは人の頭の中に勝手にできるので、企業・商品とその人との接点(タッチポイント)を通じて自然に人の頭に貯まっていくその企業・製品がもつ特徴や個性が妄想(ブランド)となることが多いのです。

だからこそブランドは、その企業・製品が本当にもっているものからつくらないと絶対にだめなのです。

3回目のコラムで「人と地球が大好きで、イノベーションで、未来にチャレンジする企業」というブランドアイデンティに何の意味もないと断言したのはこの理由です。

本当にその会社が、人と地球が大好きなのであれば問題ありません。社員の多くがイノベーションで未来にチャレンジしていれば大丈夫です。実体がそうであれば、このブランドプロミスは多少役に立ちます。

でもその企業の実体がそうでないのであれば、実体と異なるブランド(妄想)を生活者の頭の中につくりだすのは、不可能です。

だって多くの会社は、人と地球が大好きなんて、あまり考えたことなどなくて、未来にチャレンジしたいと思っているけど、目先のことで手一杯な中で一生懸命頑張っているのが実体ではないでしょうか。

2.ブランド(妄想)は実体と違うこともありえる。自然にできるもの。

自らが持っている特徴や個性がブランドになりやすいのですが、それは必ずしも実体や事実がブランドになるということを意味していません。
ブランドは自然につまり、勝手にできてしまいます。そこで宿命として、実体・本当の姿と異なる場合も当然ありえます。

梅干しでいうと『塩分が多くて健康に悪い食べ物』というイメージを持った人もいました。

最新の研究では梅干しに含まれる酢酸は健康に良いということがわかっています。健康に悪い食品というのは、梅干しさんの真の姿・事実と異なります。あなたの勝手なイメージ(妄想)です。梅干しさんにとっては、この誤解ははとても不本意で迷惑な話のはずです。ブランドは(妄想)は勝手にできるものです。梅干しさんの意思や願い、本質に反していたり、違うものになってしまうのは仕方がないことなのです。

よく、「我がブランドがこんな間違った受け止めになっているのはおかしい。何をやっていたんだ!」とか「なんとなく本来の自分たちの目指すブランド像と違う」という話を聞きますが、ブランドは勝手につくられてしまう妄想なのですから、当然です。

次ページ 「3.知らないものは、ブランドではない。」へ続く