コラム

「ダメ出し」から「ホメ出し」へ コピーライター思考の実践

褒め言葉は、表現が1割。

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いよいよ表現の話です。
見返してみると、三回ぐらい前から、
「次は表現の話です」「次こそは」
と何回も予告していたので、
ツギツギ詐欺をしてしまっていたわけです。
すみません。

よく言われる話ですが、
コピーを含め何か表現するときには、
「What to Say(何を言うか)」 と、
「How to Say(どう言うか)」
の両方を
突き詰める必要があります。

ホメ出しも一緒です。
これまでの八回の連載では、
「What to HOME(何を褒めるか)」について
お話してきましたが、
今回は
「How to HOME(どうやって褒めるか)」
のお話です。
褒めはローマ字にするとホームになるから
ローマ字に適していないけれど
いいでしょう。進めます。

ただし出鼻をくじくようですが、
ホメ出しにおいて表現は
主役ではありません。
何故なら、「何を褒めるか」に時間と労力を
かける方がはるかに重要
だからです。
これまでの連載を、図で振り返ってみます。

 
そう、④の表現に至るまでが大切なんです。
料理で例えると、具材を選んで、切ったり、下味をつけたりして、
煮たり、焼いたり、蒸したりするまでが、「何を褒めるか」。
そして、料理をお皿に盛ったり、
最後パセリをひとつまみかけるのが「どう褒めるか」。
褒め言葉においても、
表現は最後の盛りつけのようなもの
です。
ですので、ホメ出しにおける重要性でいうと
全体の1割くらいです。

だからといって軽視していいわけではありません。
1割の影響は大きいです。
もしあなたの身長が1割減ったら、
体重が1割増えたら、
年収が1割減ったら、
家族が1割増えたら、
シャレにならない変化が起こるでしょう。

だから、「こういう表現の仕方があるんだな」
ということを、知っておくだけでも、
その後のホメライフが大きく変わります。
1割を笑うものは、1割に泣く。
何を言っているんでしょうか。
つづけましょう。

では、ホメ出しには、
どのような表現があるでしょうか。
ぼくなりに研究してきた内容を共有します。

 
この連載は、視覚に障害のある方も読んでいるので、
テキストでも補足すると、
直球、オーバー、例える、心の声だだもれ、
リズム、ポジ転、新足算、遠回りな近道、
競合との比較、韻を踏む、本質を2つ、みんなが天才、
と12個の表現法をご紹介しています。
これ以外にも無数にあるのですが、
これだけおさえれば十分です。
一生褒めることができます。

ではまず「直球」から。
これは、発見した相手の魅力を、
奇をてらわず、まっすぐ表現する、
一番王道的なやり方です。
さて、例のごとく、
キャッチコピーをお手本に見ていきます。

ホースの代わりって、ない。
(カクイチ)

どれだけ料理が上手でも、
水の味はつくれません。
(ダスキン/ウォーターサーバー)

表現としては直球です。
何のレトリックも使っていません。
だけど、やはりそこには発見があります。
確かにホースの代わりはないし、
確かに水の味はつくれません。

だれかを褒めるとき、
そこにはなんらかの発見が含まれます。
そして、発見とは、
それ自体にニュース性があるため、
伝えるときに過度な表現は不要です。
相手の魅力発見にフォーカスすべきで、
表現は二の次でいいでしょう。

でも、相手との関係性や、
状況によっては、
表現を入れた方が伝わり、
そして印象に残ることもあります。
例えば、「オーバー」という表現法。
こちらもコピーを参考にしてみましょう。

インド人もビックリ。
ヱスビーカレー(ヱスビー)

おおげさです。オーバーです。
でも、チャーミングで、
ニヤッとしちゃいますよね。

ちなみに、オーバーにホメ出しすることは、
ちょっと照れくさいときに有効なんです。
例えばもう何年も仲良くしている友人の
「約束は必ず守る」という
魅力を発見したときに
今さら恥ずかしいなと思ったら、
オーバーに言ってみる。
「本当にいつも約束を守ってくれるよね。約束のガード力が固い」
はたまた「後輩の面倒見がいい」という職場の後輩に対しては
「後輩の面倒見いいよね。ぼくも君の後輩になりたい」
オーバーに言う。ちょっとギャグっぽい口調でもいいです。
だけど、結果的に
「私って約束を守るんだな」
「僕は後輩の面倒見がいいんだ」
と、相手が自分のことを理解する一助になれます。
だから、「オーバー」という表現も、
ときと場合と関係性によっては、
強い味方になってくれるんですね。

つづいて、「例える」。
ストレートに褒めるのではなく、
何かに例えて伝える手段です。

それは、小さな栄養士。
(カロリーメイト)

「カロリーメイトさんって、栄養満点ですよね」
と褒める代わりに
「カロリーメイトさんって、小さな栄養士ですよね」
と例えているわけです。
例えることによって、一層印象的に伝わりますよね。
コピーライターって、伝えるプロだな、
と改めて思います。

例えるときのコツは、
「一番極端な対象物」を持ってくることです。
例えば、褒める相手が「雰囲気がやわらかい」という良さを
持っていたとしましょう。
世界が一番やわらかいものは何だろう?
と考えるのです。
なんでもいいのですが、
「オーガニックコットンみたいな雰囲気だよね」
と伝えてみる。
「雰囲気がやわらかいよね、オーガニックコットンみたい」
と、例えながらも、
より丁寧に褒めることもできます。

もちろん、直接的に「雰囲気、やわらかいよね」と
伝えてもいいです。
しかし、実は「例える」とは、
再発見系ホメ出しにおいて有効です。
つまり、相手がもう何度も「雰囲気、やわらかいよね」
と言われているであろう場合。
その魅力が自明で、相手が言われ慣れている場合。
例えを使ってホメ出しすることで、
相手の印象に残りやすくなります。

いかがでしょうか?
表現によってホメ出しの印象も
変わってきますよね。
だから、表現はあくまでホメ出しの1割ですが、
手持ちのカードとしていくつか
持っておいて損はないのです。

次回も、ホメ出しの表現について、
具体的に説明していきます。
また来週!

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