楽天デザインラボが取り組む「Unique, yet unified」なデザイン。 変化し続けることを前提としたデザイン戦略とは

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楽天は11月5日、オンラインセミナー「ブランドは生きている-変化し続けることを前提としたデザイン戦略-」を配信。数々の企業のデザイン戦略に携わるほか、渋谷区のフューチャーデザイナーも務めるEVERY DAY IS THE DAYのクリエイティブディレクターでCo-CEOの佐藤夏生氏と、楽天グループのブランドデザイン戦略を担う「楽天デザインラボ」マネージャーの河上洋樹氏が登壇し、変化や多様性を前提とした社会や企業活動の中でブランド価値に貢献するデザインについて議論を深めた。

~第3部の模様。変化し続けることを前提としたデザイン戦略について議論した~

“スモールストロング”な企業・ブランドに期待

第1部は「新しい可能性を創造するための、デザインの考え方」と題した佐藤氏の講演。元来ブランドは「変わらないように守り続ける一番大切なもの」であったが、社会や生活が急激に変化する今は、その変化に呼応しながらブランド自体も変化していかねば置き去りにされてしまう、つまり「ブランドは呼吸する」ものであると語った。

同氏によると、世の中が変わる潮目には新しい課題が生まれる。事業やブランドはそれに呼応して、社会をよりよい方向に導いていくべきであるという。「従来のように大きな利益を生むブランドだけが評価されるのではなく、小さくても人々の暮らしや社会の可能性を形にして、社会を前進させようと挑戦する“スモールストロング”な企業やブランドに人々の期待が集まる。今はブランドの価値そのものが変わってきている」と述べた。

リブランディングでロゴやフォントを刷新

第2部では河上氏が、「『らしさ』と多様性を両立するには?~楽天のブランドを高めるデザイン~」と題して、楽天のブランドづくりについて講演した。

楽天デザインラボは、楽天全体のデザインのクオリティを統一し、進化させてグループのブランド力をより強固にする目的で2018年7月に設置されたもの。インハウスのデザイン部門なので、コストを気にせずにトライアンドエラーを迅速に行うことができる点が特徴だ。河上氏は「経営層の近くに組織を配置しているため、経営層とディスカッションを行いながら着実に前に進む“ブランド力強化のブースター”になっていると思う」と話した。

~このようなデザインの進め方が、経営層とディスカッションを行いながら着実に前に進む“ブランド力強化のブースター”になっている~

楽天デザインラボでは、設立年にコーポレートならびにサービスロゴデザインのリブランディングを実施。また、注力事業のサポートとして、各事業の担当者やデザイナーと連携してサービスの課題をデザインという切り口から解決する取り組みを行ってきた。

楽天グループは国内外で70以上のサービスを展開しているが、各事業にはそれぞれの立ち位置やトーンがある。そのため、楽天デザインラボではそうした各事業の個性を担保しながら、グループ全体としての統一感を持たせる「Unique, yet unified(ユニークでありながら統一されている状態)」の実現をめざしている。

コーポレートロゴやサービスロゴのリブランディングもその一環だ。同社では、グローバルにおける事業規模拡大の中で、複数のパターンのサービス名やロゴが生まれていた。それらを2018年のリブランディングで「Rakuten ○○(サービス名)」に統一。ロゴのカラーは事業ごとに複数色の中から選択可能としたが、サービス名の部分は共通のルールを設けた。各事業部ごとに、一定のルールの中で自由に個性を表現してもらったのだ。

~2018年のリブランディングで「Rakuten ○○(サービス名)」に統一。ロゴのカラーは事業部ごとに複数色から選択可能としつつ、サービス名の部分には共通のルールを設けた~

河上氏は「ブランドロゴの統一はさまざまなメリットを生みました」と振り返る。同社は、スポーツチーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」「ヴィッセル神戸」を運営しているほか、「FCバルセロナ」や「ゴールデンステート・ウォリアーズ」などのチームとパートナーシップを結んでいるが、ユニフォームで掲げるロゴと各サービスのロゴが同じ見た目を保てるようになったため、投資効率の最大化が出来るようになったという。

~楽天の事業を知らない人でも、ロゴを発見し、ブランドとの新たな付き合いが始まる~

「FCバルセロナ」だけでも世界に約3億人のサポーターが存在する。河上氏は「彼らが楽天の事業を知らなかったとしても、何らかのサービスを使おうとした時にバルセロナのユニフォームと同じロゴを発見して、そこからブランドとの付き合いが始まる可能性も高い」と話す。グループ横断でデザインを管理しているアプリのアイコンは、それぞれのサービスの個性は持たせつつ、グリッドや使用する色、線の太さや曲線の扱い方などにルールを設けて統一感を出している。

~アプリアイコンのデザイン。スマホのホーム画面に複数の楽天のサービスのアイコンが並ぶことを想定してつくっている~

さらに河上氏は、ブランドをより強固にするツールとして開発した「楽天フォント」にも言及した。同社は2020年に、グローバルフォントのデザインを一新。4種類のフォントを開発し、それぞれにエネルギッシュ、エレガント、楽しさ・かわいさ、かっこよさ・スポーティーといった特徴を持たせた。これらを使用することで、楽天らしさを保ちながら各サービスの個性の表現に広がりを生むことができたという。「ルールがあれば新たなサービスが増えても全体のトーンを破壊することなくどんどん拡張できます」と、ルールを設ける有用性を強調した。

~社員一人ひとりもこの書体を使えるため、プレゼン資料や、名刺なども、「ブランドを体現するツール」へと変化することができた~

個別の事業の事例では、2020年に本格サービスを開始した楽天モバイルを紹介。「先進性」をキーワードに、旗艦店ではパンフレットやPOPなどの紙媒体をなくしペーパーレスを実現。商品スペックや特徴は展示端末の画面上で説明し、来店客が短時間で契約完了できる仕組みをデザインした。

~恵比寿フラッグシップストア。「先進性」というキーワードを研ぎ澄ますためにペーパーレスな店舗になっている~

時代に追いつくために必要なのは越境性とスピード

第3部のパネルディスカッションでは、こうした楽天の取り組みを通して、これからのデザインに求められる役割や、「Unique, yet unified」について議論を展開した。

佐藤氏は、「事業のスピードがどんどん加速するとデザインの領域も一気に広がります。その時に越境性とスピードを担保しなければならない。この2つがないと時代に追いついていけないということを今日のお話から学びました。楽天モバイルのペーパーレスには、いわゆる“デザイン”ということばに収まらない分野にデザインを感じました」と感想を述べた。


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