【前回コラム】「新型コロナの影響で米国の「ブラックフライデー」が長期化、「ブラックノーベンバー」に」はこちら
長かった2020年のホリデーシーズンが、ようやく幕を閉じました。日本でお正月の松の内が終わるころ、アメリカでもちょうどカラカラに乾燥したクリスマスツリーを片付け、楽しかった家族の時間を名残惜しみながら、オフィシャルにホリデーが終わるのです。
クリスマスが12月24日に盛り上がって、その後すぐに年末年始の空気に包まれる日本とは異なり、アメリカのホリデーシーズンは、10月末のハロウィン期から11月の感謝祭、12月のクリスマスと続き、新年の声を聞くまでの長い期間を指します(今年は2021年1月になってもそのままAfter Hliday Saleが続いている店もあります)。
この期間は、最大の購買パワーが展開される最も重要な商戦期間です。通年売上の50%以上をホリデー期間にあげるブランドもあるほどですから、今年はパンデミックのロックダウン規制が、アメリカ経済に大きな痛手を与えました。
通常であれば、感謝祭直後のブラック・フライデーが年間で一番バリューの高いセール日とされて(つまり一番割引率が高い)きましたが、コロナ禍では、ブラック・フライデーやサイバー・マンデーが、「ブラック・ノーベンバー」と呼ばれるほど、いつもより何週間も長いホリデー・セールやプロモーションが繰り広げられました。
eコマースへシフトしながらも、対面販売の需要は消失せず
2020年のホリデーシーズンは、「パンデミック・ホリデー」と称されました。私は、毎日来るリテールやオンラインショップのセールのメールに半ば飽き飽きしながらも「パンデミックだから特別安いのではないか?」とデジタルクーポンやメールのお知らせに踊らされて、すべてのホリデーショッピングをオンラインで済ませました。すっかりECの上顧客となってしったのです。ちなみに、ホリデーショッピングの対象は、主にはクリスマスギフトと年末のセール対象品です。
さて、1月も半ばに入ったころ、昨年のホリデーシーズンのセールレポートが各所より提出されました。この記事では、大きく期間が前倒しされた異例の2020年ホリデーシーズンの、主要3店舗(Nordstrom、GameStop、Target)のパフォーマンスを見てみます。結果は2020年全体の傾向を踏まえると予想可能ではありましたが、eコマースへ大きくシフトしながらも、対面販売の需要が消失していないことは大変興味深い事象でした。
ホリデーシーズンが終わりを迎えた今、多くの企業が、ホリデーセールスの目標に対してパンデミックがどのような影響を与えたのかについて分析しています。以前ご紹介したように、多くの小売業者がホリデー・セール期間を長く設定することで、2020年の最後の数カ月間での売上増加を計画していました。通常は数週間しか続かないセール期間が、11月、場合によっては10月まで前倒しされ、週替わりのセールや、1カ月にもおよぶイベントなどが行われていたのです。
ほとんどの小売業者にとって、ホリデーシーズンの見通しが厳しいことは当然想定内だったため、2020年のトレンドである「人との接触をできるだけ避けるためにオンライン化する」という流れに沿い、eコマースへのシフトが大々的に行われました。しかし、自宅にいながらにして買い物ができるという手軽さはあっても、経済的な不安感が蔓延し、衝動買いが減ることで、売上が上がらないのではないかと心配する専門家もいました。
結果として、ホリデーシーズンの収益の伸びがあったのは大変嬉しいニュースです。2020年のホリデーシーズンは、実店舗での収益の伸び率が3.6%(2019年は4%)という結果でした。オンラインショップでの収益増が前年比32%だったことから、人々はどこかしらでこのホリデーショッピングを楽しんだのだと分かります*¹。
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