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今回の「伝説の授業採集」は、みなさんを過去にお連れする。タイムスリップ型の遠足、である。
出発するにあたりまずは、遠足と言えば…の、しおりを配りたい。しかし、そこに書いてあるのは、旅程でも注意事項でもなく、次の問題である。遠足なのに抜き打ちテスト! まあとにかくやってみよう。やった後の方が、今回の旅の意味は増す。
即答ですよ、即答。答えました?
この問題は今回の遠足の行き先で、実際に過去出題されたものである。場所は鹿児島。当時はまだ薩摩と言った。時は、江戸時代後期である。
歴史なんて、若い頃は正直好きじゃなかった。それがいつからか、いつも歴史に注目するようになり、いま好きかと言われれば好きと答えるだろう。
それは別に歳を取ったからではない。歴史がインスピレーションの宝庫だと気づいたからだ。
西海岸のテクノロジーの情報や海外のデザイン賞の事例などと等価、いやむしろ、みんなが忘れ去りないがしろにしている過去の情報の方が企画に活きると実感したからだ。
そんな風に様々なヒントを過去から、特に幕末~明治維新から探っていたある時。薩摩藩のとある町の存在を知った。
西郷さんの生誕地。そこは鹿児島の加治屋町という町らしい。大久保利通はというと、なんと彼も加治屋町出身らしい。大山巌は…、えっ、加治屋町?!東郷平八郎はまさか…、加治屋町出身?!?!
この加治屋町って何?
というわけで、この遠足の最初の行き先は、加治屋町である。新幹線を降り、鹿児島中央駅から歩くこと15分足らずで、その謎の町、加治屋町に到着する。
さて。なぜ同じ町内からこんなにもスーパースターが乱立したのか?
行けば謎はすぐに解ける。鹿児島の歴史の資料館には全てそれがらみのコーナーがあるし、すでに上の看板にも書いてある。
答えは、教育にあった。薩摩藩特有の「郷中教育(ごじゅうきょういく)」である。
郷中とは、地域の自治組織。今で言う町内会みたいなものとのこと。薩摩の教育は主にその郷中単位で行われていたらしく、郷中の先輩たちがその地域の後輩達を文武両道で鍛錬、教育した。



