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コラム

48歳のピボット・ターン 〜広告会社のCDが、テックベンチャーに入ったら〜

広告は必要か?ニュースが教えてくれた答え

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【前回コラム】「広報と映像を同時に手がけた3週間。震災体験に耳を傾ける社内イベントの話」はこちら

広告をつくって24年、ニュースを支える広告の意味に気づく

私が広告会社から、スマートニュースに転職したのは、広告というものをもう一度根本的に考え直してみた結果でもあった。長くマーケティング・コミュニケーションの世界にいたせいで、広告のマーケティング機能面に自分の意識が行きすぎていた。そんな反省とともにたどり着いたのは「広告なしではニュースは存在できない、広告とニュースは表裏一体」という視点だ。

ニュースのない世界を想像できるだろうか?もちろんニュースの質やあり方には、一人ひとり意見があるだろう。それでも、私たちはニュースによって政治の動きを知り、経済の兆しを知り、社会に困窮している人がいることを知り、好きだったアーティストの再結成を知り、タレントさんの恋愛話に共感したり怒ったりしながら、毎日を生きている。ビジネスパーソンとしての自分にも、生活者としての自分にも、ニュースが必要だ。

“フィルターバブル”という言葉がある。これは、情報テクノロジーの進化によって、ユーザーが関心を持ちそうな情報をリコメンドできるようになったが、その仕組みが効きすぎると、その人が見たい情報ばかりが届けられることになり、それぞれが全く違う世界を生きているような–まるで、一人ひとりが情報フィルターのバブルの中に閉じ込められているような–状態になっているのではないか?という警告を込めた言葉だ。特に近年のアメリカの大統領選挙では、保守派とリベラル派それぞれの人々が、全く違うニュースを見ているのではないか?ということで話題になった。

ニュースは本来「NEW」+「(複数形の)S」、つまり、新しいことの集まりのはずだ。そしてそれは、新しい出来事はもちろん、新しい視点を与えてくれるはず。自分の日常生活では出会わない、自分と違う世界で生きている人の物語に出会い、自分と違う意見や考え方に出会い、耳を傾けるということを含んでいるのではないだろうか。その出会いは、民主主義のあり方にもつながっている。

スマートニュース東京オフィスのロビーには、ニュースのあり方を考える本棚があり、ゲストをお迎えする

ニュースは、民主主義に必要なインフラ

民主主義とは、自分と意見が異なる人に耳を傾けるプロセスだ。なぜなら、意見の違う人やグループに耳を傾けて、対話し、説得し、逆に相手に共感したりしながら、妥協点を探るというプロセスが民主主義だから。そうでなければ、お互いに自分たちの意見を主張し続ける、分断と対立ばかりの世界、憎しみと暴力がぶつかりあうだけの社会になってしまう。そのためにも、世の中の出来事、多様な視点、異なる立場の人生や考え方を知ることができるニュースは大事な存在と言える。

そんなニュースは、どうやってつくられ、成り立っているのか?当然、取材をするにも、編集するにも、届けるにもお金がかかる。つまりマネタイズしなければならない。ビジネスとして成り立たせるには、簡単に言えば2つの方法がある。1つは、購読料をユーザーからもらって成立させる方法。もう1つは、広告をクライアントから入れてもらって成立させる方法。スマートニュースは後者の方法、つまり、広告によってユーザーが無料でニュースを読める仕組みをつくっている。それによって、多くの人が政治や経済や社会の動きを知ることができる。誰もが水道を利用できて、誰もが道路を利用できるように、誰もが世の中の動きを知ることができるようにすること。いわば、ニュースは民主主義のインフラだ。民主主義を支えるニュースがあり、ニュースを支える広告がある。そんな仕組みの重要性に気付き、ニュースメディアでもあり広告メディアでもあるスマートニュースに貢献したいと思ったことが、僕がこの会社に転職した1つの理由だ。

スマートニュースは、広告の仕組み自体も自社でつくって、それを販売している。そう、広告もまた、スマートニュースのプロダクトなのだ。広告プロダクト・ディレクターのOgoshiさんは、エンジニアやデータサイエンティスト、プロダクトマネージャー、そしてセールスからなる広告プロダクトチームをまとめあげ、性能を改善し新機能を開発している。彼に、スマートニュースの広告プロダクトをつくるやりがいを聞いてみた。

Director of Product, Ads のOgoshiさん。肩の上にいるのはスマニューのキャラクター「地球くん」です

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