コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(花王上海産品服務有限公司 野原聡さん)

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海外に出て活躍する日本人マーケターにオンラインでインタビューを実施する本コラム。インタビューを通じてコロナ禍の今、さらにAfterコロナの時代に、ブランドはどう行動していくべきか、そのヒントを探っていきます。記念すべき1回目の“訪問”先は、中国。花王の中国にある花王上海産品服務という現地法人で、マーケティングとデジタルトランスフォーメーションを牽引されている野原聡さんに話を聞きます。コロナを受けて中国の人々はどう変わりつつあるのか、さらにデジタル大国の中国でどのようなマーケティングを展開しているのか。そこでの知見は日本のマーケティングに生かせるのか?などお話を伺いました。

花王上海産品服務有限公司

野原聡氏

2006年花王入社 ハウスホールド事業本部 主に「アタック」など衣料用洗剤を担当。
2010年より、営業を経て、2014年から、再度、「アタック」のマーケティングを担当し、2019年より、花王中国で、デジタル・ECを中心としたマーケティング業務を行う。

 

「マーケティングが面白い」国に行きたかった

—野原さんのこれまでの経歴、そしてなぜ上海に赴任しようと考えたのかを教えてください。

野原:私は現在、花王に入社して14年目で、上海に来る前までは日本で主に衣料用洗剤「アタック」の国内のマーケティングに従事していました。新卒で花王に入社してから「アタック」のマーケティング担当になり、途中、一時は国内・国際営業を経験したこともありましたが、2019年まで「アタック」のマーケティングを担当してきました。2009年に衣料用濃縮液体洗剤「アタックNeo」のローンチに携わったり、上海にくる直前は「アタックZERO」という新製品をローンチ、商品開発から、5人の若手俳優を起用した「#洗濯愛している会」というコミュニケーションを手がけました。

「アタック」は花王にとって事業規模の大きなブランドということもあり、長く担当を変更する機会がありませんでしたが、数年前から海外で働きたいという想いが膨らみ、異動希望を出していました。会社側には日本から海外市場のマーケティングに関わるのではなく、実際に現地に行って働きたいと伝えていました。特に「マーケティングが面白い」国に行きたいと考え、それであれば、ロンドンかニューヨークか上海かな?、現実的に花王の展開国を考えると、上海かな?と思っていたところ、上海への赴任が決まりました。

希望を出してから異動になるまで2~3年だったので比較的、早かったと思います。ただ中国語が話せるわけではなかったので、現在も学習中。プレゼン資料は中国語がほとんどなので、とにかく読めるようにならなければと思っています。

ちなみに社会人になるまでに海外で生活した経験はありません。そのため、語学の面では苦労していますね。ただ語学力も大事ですが、ヘッドクォーターから上海に来ると、国内よりも昇進してマネジャー職になることがほとんど。マネージャーとして仕事のベースをつくれる経験を積むことを会社が優先してくれたのだと考えています。

アリババをパートナーに、D2Cの発想でブランド旗艦店にフォーカスする

「キュレル」の特設サイト。

—現在は、どのような業務に携わっているのでしょう。

野原:主に2つの業務に携わっています。1つがいわゆるマーケティング業務で、「アタック」などのブランドを含むファブリック&ホームケアカテゴリーと、「ビオレ」などのブランドを含むヘルス&ビューティカテゴリーの2つマーケティング部長を担っています。

もう1つが、Eコマースを含めたデジタルトランスフォーメーションの推進です。この2つの業務の対象マーケットは両方とも中国ですが、日本から見ても中国のDXは圧倒的に進んでいますので、そのノウハウやナレッジを日本をはじめとする他のマーケットに共有することも使命として受け持っています。そのためヘッドクォーターとは毎月1回以上、DXに関して報告の場を設けています。

—マーケティング業務ではどのような取り組みをしてきましたか。

野原:マーケティング業務で最近手がけたこととしては、2つめのDXとも関係するのですが、Eコマースです。まずは中国花王全体のEコマース戦略を定め、D2C推進を戦略の中心に据えると共にその実現に最適なパートナー選びを行いました。具体的にはアリババとのパートナーシップを決め、中国花王のフラッグシップストア(旗艦店)に注力することにしました。

それまでもEコマースは手がけていたものの、様々なプラットフォームを使用し、選択と集中ができていませんでした。それはリアルも含めて多様なチャネルをカバーすべきという意味での展開でした。この戦略を一転させ、資源投資のメリハリをつけるようにしたのです。それがD2Cの発想でブランド旗艦店にフォーカスする戦略でした。

Eコマースプラットフォームのパートナーとしては、中国にはアリババの他にテンセントもあります。しかしEコマース売上のスケールで言えば、まだ圧倒的にアリババの方が大きいので、ウィチャットにD2Cの旗艦店を出せるというテンセントの魅力もあったものの、アリババとのパートナーシップを優先することにしました。

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