コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

勝手に作った1枚のポスターから、クリエイティブキャリアが始まった【前編】

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まちづくりコンサルティング会社の営業担当だったころから、制作スキルを独学で身につけてきた枌真太郎さん。さらなるスキルアップを目指し、コピーライター養成講座 専門コースを受講しました。元営業ならではの利益志向も武器に、枌さんは受講後、コピーライターの道を歩み始めます。

【筆者名】
枌 真太郎(コピーライター養成講座 先輩コース2017年、高崎卓馬のクリエイティブ・クリニック2017年、磯島拓矢クラス2018年、谷山・井村・吉岡・照井クラス2018年修了)

はじめまして。

トヨタ・コニック・プロという会社でコピーライター/プランナーをしております、枌 真太郎(ヘギ シンタロウ)と申します。

聞き慣れない名字かと思いますが、へぎ蕎麦の『へぎ』で覚えていただければ幸いです。

そしてトヨタ・コニック・プロ。こちらも聞き慣れない会社名かと思いますが、2021年1月にトヨタ自動車と電通による出資によって生まれたトヨタ・コニック・ホールディングスに属し、旧デルフィスを主な母体とする新しい会社です。

広告領域に留まらず、モビリティ社会での新しいビジネス創造にチャレンジしていく会社ですので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回大変僭越ながら広告業界外の営業職から広告会社のコピーライターに転職した私のキャリアについて、コラム形式で執筆するという機会をいただきました。

とはいえ、イレギュラーな方法かつ、自分自身まだ大きな何かを成し遂げたわけではないので、「こういうキャリアもあるんだな」程度にお気軽にお読みいただければと思います。

それではよろしくお願いいたします。

現状を変える 毎日2時間の独学

簡単に経歴をお話ししますと、私は新卒でURリンケージというUR都市機構グループのコンサルティング会社に営業職として入社しました。

会社の業務内容をめちゃくちゃ平たく言えば、行政が街(住宅や道路)をつくりたいとなったときに、課題の洗い出しから、具体的な計画や調査、設計、管理などを提案し、実務まで併走していくような仕事です。

その中で、ただ街をつくっても人が集まらなければ成り立たないので、土地をハウスメーカーに売って家を建ててもらったり、地域コミュニティを盛り上げるためのイベントを開いたり、できたマンションに住んでもらうために情報発信をしたり、といった業務があり、私はそういった関連の部署に配属されました。

企画や制作は基本的に外注だったのですが、業務の中で外部のクリエイターと仕事をさせてもらっていく中で、「つくってる人って、かっこいいな〜自分もいつかはつくりたい!」と思ったのが、クリエイティブ職を目指した最初のきっかけだったと記憶しています。

ただ、すぐにコピーライター養成講座や専門学校などに通うアクションを起こしたかというと、そうではありませんでした。

元々転職したいというよりかは30歳くらいで個人のスキルで細々と独立できればうれしいくらいの温度感だったのと、正直、コピー1本でいまの時代一生食べていけるのか? という疑問のようなものがあったのも否めませんでした。

なので、講座や学校に通うより先に、個人でAdobeの制作ツール(Adobe Creative Cloud)を契約して、Illustrator、PhotoshopやWeb関連のスキル(HTML、CSSなど)の勉強を、業務後に毎日2時間程度行うということから始めてみることにしました。

当時は働き方改革とかもそこまで叫ばれている時代ではなかったので、終電間際に家に帰り、そこから作業して、翌日は9時には出社するという、なかなかハードな日々を過ごしていました。

当時、立ったまま寝て頭突きをしてしまった東西線ユーザーの皆さま。その節は申し訳ございませんでした。

そんな日々を過ごしていく中で、毎日何か新しいスキルが身についていく感覚は楽しかったのですが、ただひとりで黙々と練習しているだけでは、人生は何も変わりません。

そこで、現状を打開するために考えたのが、「勝手に何かつくって会社に持って行っちゃおう」ということでした(若さって怖いですね)。

ちょうど、会社でマルシェを運営する業務に入れてもらったタイミングだったので、告知物を外部のクリエイターに外注する前に、土日に自分でポスターを制作して月曜日に会社に持って行きました。

本来の仕事もまともにできない新人がわけわからんものを持ってくるわけですから、当然、先輩には怒られます。

その日はまあまあ落ち込んで、『リク○ビネクスト』なんかをチラ見していたのですが、夕方再度先輩が声をかけてくれ、「積極性は悪いことではないから」ということで採用。

数回の校正を経て、無事に告知物として使用してもらうことができました。

その日の夜、先輩と飲んでいて言われた、「やりたいって口だけじゃなくて、すぐ動くその姿勢はずっと大事にしたほうがいいよ」という言葉は、いまでもたまに思い出して忘れないようにしています。

その後も内製化による利益率向上という名目で、営業×制作のような働き方を続けていったのですが、壁にぶち当たります。

当たり前といえば当たり前なのですが、
広告をつくれる ≒ 機能する広告をつくれる
なんですよね。

要は、「マルシェやりますよ〜」という事実をきれいにチラシやポスターにまとめることはできても、たとえば「生産者と消費者をつなぐ」といった思いを伝える。「うちの兄弟が野菜で取り合いなんて、初めて!」のようなターゲットを想像してコピーを書いたり、「家前マルシェ!」などとスーパーの利用客をこちらに集めるためにUSP(独自の訴求点)を伝えたり。戦略的に考えれば、さまざまな手立てがあることがわかるのですが、当時は、どうやって心を動かして、どこから人を集めるか、というビジネス視点が全くありませんでした。

そのほかの案件でも、制作の仕事を徐々にもらえてはいたのですが、どれも「ただつくりました!」の範疇を出ませんでした。マンションのコピーでも見よう見まねで書いた、“静謐な憧憬が邸宅に聳え”まくった感のコピーしか書けず、ビジネスとして提案できていませんでした。

そんな時期に転機となったのが、どの書籍だったかは忘れてしまったのですが、「すべての表現の核となるのはコピーである」という、一行の言葉でした。

最初は独学でいけるかなと思っていたのですが、しっかりビジネスとしてのものづくりがしたい、表現のスキルを身につけたい+ビジネスの戦略家として市場価値を高めたい、という気持ちがだんだん高まり、一度試しにコピーライター養成講座に通ってみようと決意するに至りました。

会社の帰りにコピーライター養成講座のポスターが空から降ってきた、みたいな運命的な出会いではなく、ある年齢までにどれくらいの人材になっていたい、そこから逆算すると、そろそろ何かアクションしなきゃという、だいぶロジカルなフローで通うことを選択したと記憶しています。

「やりたいことで会社に利益を出すには」をつづった後編は2021年7月8日公開です。

枌 真太郎
トヨタ・コニック・プロ
コピーライター/プランナー

URリンケージ新卒入社。自社のクリエイティブ責任者などを経て、トヨタ・コニック・プロへ移籍。主なコピーワークとして、トヨタレンタカー × 三代目J SOUL BLOTHERS『レンジョイしようぜ!』、URリンケージ企業コピー『いいまちつくろう』等。2級ウェブデザイン技能士。受賞歴はラジオCM賞など少々。

 

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