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コラム

世界の小売から。 オランダ在住クリエイティブディレクターと仲間たちが見つけた、小売の現場の消費トレンド

中国の小売から――中国ECで戦うマインドと4つの重点領域【中編:実践】

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(タイトルロゴ&イラスト制作:山野良介 チーフデザイナー@フェズ )

著者:
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)

特別ゲスト:吉野 壽人(シープラス 代表取締役)

第6回:中国の小売から【中:実践編】ー中国ECで戦うマインドと4つの重点領域ー
中国のEC市場で戦うためのマインドセット
 ①「日本Brand」の優位性の徹底活用するというマインド
 ②「ECで勝つ努力」を日本市場と同じ水準でやりきるというマインド
実践①:中国大手モールでの戦い方を抑える
実践②:中国アプリ内での戦い方を抑える
実践③:「非正規流通」と「偽物」を侮らない
実践④:貿易自由区のトレンド「海南島」を注視しておく
中編まとめ:日本の強みを活かし、4つの領域でやり抜こう。

前回に引き続き、「世界の小売からー中国編ー」では元リクルートで中国でビジネスを行い、現在は起業して中国マーケット専門のマーケティング会社を経営している吉野さんに、コロナ禍で進化した中国の小売の現場についてレポートいただきます。

前回の「市場理解編」では、中国の消費の現場の特殊な環境について学び、特にEC化が加速する様子が見えてきました。続く今回は「実践編」として発展が目覚ましい「中国の越境ECで日本が戦うためのポイント」について具体的に論じていきたいと思います。

中国のEC市場で戦うためのマインドセット

あらためて、今回も筆者(吉野)が、お届けします。中国EC市場で勝つためには、まず市場理解が重要です。この点については前回の記事をご覧ください。13億人を相手にする、日本の約10倍の人口規模の成長市場、ここに大規模な中国マネーが注がれています。投資規模では到底かなわない中で、どんなマインドセットを持てばよいでしょうか。それは、下記の2つです。

「日本ブランド」の優位性を徹底的に活用しながら
「ECで勝つ努力」を日本市場と同じ水準でやりきること

当たり前に見える2つの思考ですが、どちらも中途半端なまま撤退するケースが多いのです。

①「日本ブランド」の優位性の徹底活用するというマインド

幸い日本には中国市場で利用されている製品と比較して優位に立てるものが多くあります。

・丁寧で細やかな製造管理から生まれた「安心安全の担保力」
・低成長時代に適用することで得た「コスパの実現力」
・成熟化する消費者ニーズをとらえた「商品開発力」

特に3番目については中国人消費者のライフスタイルの変化に対応する商品が求められていて、日本製品の優位性が発揮できそうです。例えば、中国では健康志向の高まりと美への意識変化により、ナチュラルビューティー志向の高まりなどのニーズが生まれています。そこでベネフィットが明確なアイテムや、デザイン性が高くトレンドになるアイテムや、性能の高いアイテムなどが有効と考えられます。

②「ECで勝つ努力」を日本と同じ水準でやりきるというマインド

数年前に制度緩和した越境ECでの出店、もしくは自社法人を現地で設立しての一般貿易型での出店が選択肢として有力です。さらに最初に手掛けるのは税制面でも優遇された越境ECが着手しやすいかと思います。それは大手ECモールに出店することがスタンダードな方法となります。ショップ開設から運用にあたっては、税務・貿易・EC運用・プロモーションこれらすべてを自社でまかなうことも選択肢としてはありますが、やはり有力なパートナー企業を選定し事業提携したほうが早いでしょう。

本当に有力なパートナー企業や人材は非常に限られます。また委託側にほとんど知識がなく丸投げしたり、もしくは適当な指示を出して停滞していたりするケースも見受けられます。まずは自社側で中国越境ECについて一通りの情報収集を重ね、見識を持ったうえでパートナー選定を行うことが重要です。

このプロセスを丁寧にやらないとショップ開設後の方向修正が困難になります。そこで、ここからは具体的な実践として、これから抑えておくべき4つのポイントについて紹介していきます。

次ページ 「実践①:中国大手モールでの戦い方を抑える」へ続く