コラム

世界の小売から。 オランダ在住クリエイティブディレクターと仲間たちが見つけた、小売の現場の消費トレンド

中国の小売から――中国の消費の現場に何が起きてるのか?【前編:市場理解】

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【前回コラム】「フランスの小売から見えたヒント
——「非計画購買」を拡大させる視点」はこちら

(タイトルロゴ&イラスト制作:山野良介 チーフデザイナー@フェズ )

著者:
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/コピーライター)

特別ゲスト:吉野壽人(シープラス 代表取締役)

第6回:中国の小売から【前:市場理解編】ー中国の消費の現場に何が起きてるのか?ー
はじめに:中国の小売の現場から、消費の未来を読み解きたい
1:13億人の巨大市場である中国の小売の現場から
2:中国の市場を理解する2つの視点
  ①ビジネス慣習の違い
  ②市場規模や成長段階など環境の違い
3:中国の特殊なインターネット事情とは?
4:EC化が加速する中国
前編まとめ:違いを理解し、EC化する中国を読み解こう。

中国の小売の現場から、消費の未来を読み解きたい

あなたが「中国」と聞いて浮かぶイメージはどんなものでしょうか? 万里の長城や、卓球など古き良き伝統的なイメージだけでなく、テクノロジーや学術の分野などにおいても日本を抜いて、世界に大きな影響力を発揮しています。2021年のWorld University Rankingsによると、中国の清華大学が世界で初めてアジアの大学で世界トップ20入り(注1)を果たしました。また清華大学だけでなく、近年中国の大学の躍進は止まりません。一方、日本の最難関、東大は36位です。またAIに関する特許の申請の7割以上(注2)が中国だといわれており、アメリカのシリコンバレーを脅かす存在になっています。

そこで今回は、元リクルートで中国でビジネスを行い、現在は起業して中国マーケット専門のマーケティング会社を経営している吉野さんに、コロナ禍でさらに進化した中国の小売の現場についてレポートしていただきます。

今回の前編である市場理解編では「中国の消費の現場になにが起きているか?」について理解を深めていきます。中編の実践編では、発展が目覚ましい「中国EC市場」にフォーカスし、具体的に抑えるべき領域をレポートしていきます。後編では、応用編としてリテイルテック・スタートアップで働く筆者(堤)が、今回の中国の躍進を読み解き、日本の小売やメーカーのマーケティングに活かすヒントをお伝えしたいと思います。

3回に渡る怒涛の中国特集。それでは「中国の小売から」スタートです。

注1:2021年:Times Higher Educationによる、World University Rankingsより
注2:中国のAI特許出願件数が世界の7割超;「中国AI発展報告2020」より

 

本日の案内人

吉野壽人 氏

1988年神戸大学卒。1988年 リクルート入社し、ホットペッパー事業を2001年の創業期から担当。2012年株式会社リクルートを退職し、中国へ渡航。現地の日系広告会社で副総経理として約5年間、中国人に対するマーケティング&プロモーション事業を担当。2016年に帰国し、中国に本社を置く赛博企業集団(サイバーグループ)の日本法人の代表としてインバウンドマーケティング事業を創設。2018年赛博企業集団を退職し、C-Plusを起業。中国におけるデジタルマーケティングを軸にプロモーション、越境EC支援、中国進出コンサルティング事業を展開。著書に「リクルートOBのすごいまちづくり」がある。

 

13億人の巨大市場である中国の小売の現場から

近年大きな成長を遂げた中国経済。13億人の市場が鈍化したとはいえ、それでも年間5%を超える勢いで成長している様子は、ものが売りづらくなっている日本市場と対比するととても魅力的に思えます。

一方で、一党支配体制、国際協調の在り方、香港ウイグル問題、などの政治的な影響が懸念されるうえに、インターネットの情報隔壁や商慣習の違いなど、経済面だけにおいても確かな情報が少なく難しい市場です。

私(吉野)は2011年より約10年に渡って中国に対する日本企業のマーケティングサポートを、現地および日本から実践してまいりました。その学んだ知見を共有させていただきながら、現状の中国の小売、特にECの状況を考察できればと考えます。

次ページ 「中国の市場を理解する2つの視点」へ続く

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