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大丸松坂屋にDtoC専門売り場 魅力伝達に注力

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大丸松坂屋百貨店は10月6日、ダイレクト・トゥ・コンシューマー(D to C)ブランドを集めた売り場を「大丸東京店」にオープンする。23年度までの中期経営計画で掲げた「店舗、コンテンツの魅力化」の一環。D to Cブランドと大丸東京店の来店者との接点とし、新規客の獲得や既存客への新たな価値提供を狙う。収益モデルはブランド側が払う出品料。

「明日見世」の外観。「大丸東京店」4階のイベントスペースにある

4階のイベントスペースに、「明日見世(あすみせ)」と名付けた売り場を設けた。「社会を良くするめぐりと出会う」をテーマに、19ブランドを集めた。店頭在庫を持たず、来場者は商品に添えられた二次元コードから各ブランドの販売Webサイトにアクセスし、決済する。Webサイトへの流入数は、大丸東京店と出品者とで共有する。

商品(写真左)にはパネルが添えられ、記載の2次元コードから、そのブランドのeコマースサイト(写真右)へアクセスできる。

〈アンバサダー〉と呼ぶ接客担当が常駐するのが特徴。アンバサダーは接客経験を積んだ「大丸東京店」の社員が務める。取り扱うブランドについて出品者らと勉強会を重ね、来店者への説明役を担う。接客時に得られた来店者らの感想や要望などはまとめて出店者に伝える。

ネオマーケティングの調査によると、D to C事業者・検討者の集客手段のほとんどがオンライン広告。ディスプレー広告や検索連動型広告、SNS広告がそれぞれ40%前後の利用率となっている。出稿先も数が多いわけではないため、その分、顧客に知ってもらえるチャンスが乏しくなりつつある状況だ。

「改めて、当社の強みは『人』と『店舗』と考えました」と話すのは、大丸東京松坂屋百貨店DX推進部の廣澤健太氏だ。

「『明日見世』で注力するのは、販売目標ではなく、いかに商品の魅力を伝えられるかにあります。いわゆるコロナ禍で再発見されたのは、人が伝えること、リアルでのコミュニケーションの価値ではないでしょうか。『明日見世』では店頭販売を行わないことで、アンバサダーはお客さまの疑問にお答えしたり、Webなどでは表しきれない魅力についてお伝えしたりすることができます。D to Cブランドを単に集めてWebへ送客するだけではなく、そこに人によるコミュニケーションの価値を加えている点が重要なのだと思います」(廣澤氏)

取り扱う19ブランドは、いわゆるミレニアル世代(1981年から1996年生まれの世代で、SNSやeコマースの進展と共に育った)社員が選定。そのうちの1人である比留間由依氏は、廣澤氏と同じDX推進部に所属。ふだんから地道に貯めていた約190ブランドのリストから、今回のテーマに沿う19ブランドの出品を誘致した。

「明日見世」店内の様子。出品者にとっても、通常のプロモーションスペースへの出店と異なり、特別に在庫を用意したり、多くのSKUを陳列したりといったハードルが低いのが特徴。1〜3品で出品するブランドもある。コスメや雑貨、アパレル、ビールなど陳列ブランドは多岐にわたる

「『明日見世』は、これまでとは異なる商品のお伝えの仕方、また、出品ブランドの皆さまとのお取り組みの仕方。それに実際にご支持をいただけるかどうかのコンセプト実証(PoC)という側面が強いものとなります。出品いただく皆さまにも当初から、その点にご賛同くださっており、半ば仲間のような感覚を持たせていただいています。オープン後も状況を見ながら、より良い方法を探っていきます」(比留間氏)

来年1月には新たなテーマを立て、『明日見世』第二弾を展開する構想もある。