「ブランドはメーカー(送り手)がつくるものではなく、コンシューマー(受け手)の頭の中につくられるもの。」と、よく耳にします。この定義は、ブランディングの難しさ、送り手の思い通りにならないもどかしさの一面を捉えています。もちろん、第1話でお伝えしたようにブランディングの目的は、売る前に「好き」をつくることです。
ある日、ブランドを感じる出来事がありました。会社帰りに配偶者から「牛乳買ってきて」とのメッセージが入り、「バターも切れてる」と追いメール。さらに、「バターはトラピストね」と銘柄指定がありました。彼女にとって牛乳はプロダクトで、バターはブランドなのだ!生活者からの指名はブランドの証し。価格以上の何らかの付加価値がありそうです。もはや「暖簾」と同じく資産項目としてBS表に計上すべきかもしれません。実生活の中での扱いが明らかに違っているのですから。
視点を広告に戻します。クライアントから「この広告でわが社のブランディングを」、あるいは「このブランド広告でぜひ賞を」という言葉を聞くことがあります。しかし、広告でブランドはつくれません。サポーターはプレイヤーを盛り上げることはできますが、どう頑張ってもプレイヤーにはなれません。広告というコミュニケーションは、あくまでサポート役です。但し、プロダクトというプレイヤーを上手くサポートすれば、プロダクトの価値を上げることができます。これがブランディングに成功したプロダクトで、カリスマ的プレイヤーと同じ存在です。とはいえ、広告をブランディングができる魔法のように扱うのは危険です。プロダクトをブランディングするとき、広告にはその役割を担えるポテンシャルがある、というだけです。
KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。
「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です
会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします
内田しんじ(DENTSU ONE CHINA(広州)/ ECD)
内田しんじ(DENTSU ONE CHINA(広州)/ ECD)
うちだ・しんじ/大学在学中よりコピーライター@プロダクション(1984-89)からスタートし、DY&R(1989-’99)→TBWA/JAPAN(1999-’04)ECDを経て電通へ。現在、DENTSU ONE@広州(2020-)。外資系と電通でほぼ半々(約15年ずつ)のキャリア。3つの代理店で3つのクルマ(VOLVO→NISSAN→Honda)を担当。ウイスキーやコニャックを担当するも下戸。1988年度TCC新人賞(講談社)、1994年カンヌシルバー(スーパーニッカ)、2000年朝日広告大賞(アップルコンピュータG3)、2003年カンヌファイナル(フリスク)、2004年アドフェストブロンズ(NISSANカウゾー)、2011年ギャラクシー賞(AC公共広告機構)、2013年ACC+ADCグランプリ(Honda負けるもんか)、2018年中国国際広告賞ゴールド(Acura China)など受賞多数。2013年全広連広告大学・夏期セミナー講師。
内田しんじ(DENTSU ONE CHINA(広州)/ ECD)
うちだ・しんじ/大学在学中よりコピーライター@プロダクション(1984-89)からスタートし、DY&R(1989-’99)→TBWA/JAPAN(1999-’04)ECDを経て電通へ。現在、DENTSU ONE@広州(2020-)。外資系と電通でほぼ半々(約15年ずつ)のキャリア。3つの代理店で3つのクルマ(VOLVO→NISSAN→Honda)を担当。ウイスキーやコニャックを担当するも下戸。1988年度TCC新人賞(講談社)、1994年カンヌシルバー(スーパーニッカ)、2000年朝日広告大賞(アップルコンピュータG3)、2003年カンヌファイナル(フリスク)、2004年アドフェストブロンズ(NISSANカウゾー)、2011年ギャラクシー賞(AC公共広告機構)、2013年ACC+ADCグランプリ(Honda負けるもんか)、2018年中国国際広告賞ゴールド(Acura China)など受賞多数。2013年全広連広告大学・夏期セミナー講師。
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。