広告業界への就職を決めた同級生の一言と「空白の1日事件」

【前回はこちら】

ビートルズになりたかった僕が東京でデザインを学んだ理由

「なんで僕が電通を受けなきゃならないんだよ!」

前回は、僕が大学でデザインを学ぶまでについて紹介しました。今から40年ほど前の話です。

同じクラスのロック仲間である中山昌士くん、小林豊くん、そして栗原正己くんと「ヘルベチカデザイングループ」というチームを作って活動していました。そんなある日、同級生のIくんがヘルベチカのアジトを訪ねてきます。

Iくん曰く「いやあぼく、電通を受けるんですけど、信也さんたちの新聞広告の作品、貸してもらえませんかねえ」。!!?? 評判が高かった僕らの作品をIくんの作品として面接に持っていこうとしてたんです。いくらなんでもそれはあかんやろ、と思いましたが、無下に断るのも角が立つんで僕はちょっとした嘘をついたんです。

「ごめんねIくん、実はね、中山くんが電通受けるんや」

さすがのIくんも「それは仕方ないですね」と諦めて帰って行きました。ただ、受ける、と言った以上は形だけでも受けとかんとかっこつきません。「ということで中山くん、形だけでええから電通受けてくれへん?」。これには普段温厚な中山くんも激昂しました。「いやだよ!なんで僕が電通を受けなきゃならないんだよ!」。僕は困ってしまって「そこをなんとか」としか言えません。

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なかじましんや(CMディレクター)
なかじましんや(CMディレクター)

1959年福岡県生まれ。1982年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業後、東北新社入社。83年CMディレクターとしてデビュー。主な仕事に、日清食品カップヌードル、ホンダステップワゴン、サントリーDAKARA/燃焼系アミノ式/伊右衛門、リクルートAirPAY/AirWORK、積水ハウス 企業CMなど。「カンヌ国際広告祭(現カンヌライオンズ)」グランプリ、「米IBA」最高賞など受賞多数。一方で東北新社の取締役、専務、副社長、社長を歴任したのち、2022年6月に退任。現職は顧問/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。東北新社のクリエイティブユニット「OND°(オンド)」を窓口に、CMディレクターとして活躍中。現在は東北新社グループ以外の制作会社の案件も受けられる体制を整えている。後進の育成にも力を入れており、宣伝会議のコピーライター養成講座やCMプランニング講座等で講師を務めている。東京ADC会員、武蔵野美術大学客員教授。

なかじましんや(CMディレクター)

1959年福岡県生まれ。1982年武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科卒業後、東北新社入社。83年CMディレクターとしてデビュー。主な仕事に、日清食品カップヌードル、ホンダステップワゴン、サントリーDAKARA/燃焼系アミノ式/伊右衛門、リクルートAirPAY/AirWORK、積水ハウス 企業CMなど。「カンヌ国際広告祭(現カンヌライオンズ)」グランプリ、「米IBA」最高賞など受賞多数。一方で東北新社の取締役、専務、副社長、社長を歴任したのち、2022年6月に退任。現職は顧問/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。東北新社のクリエイティブユニット「OND°(オンド)」を窓口に、CMディレクターとして活躍中。現在は東北新社グループ以外の制作会社の案件も受けられる体制を整えている。後進の育成にも力を入れており、宣伝会議のコピーライター養成講座やCMプランニング講座等で講師を務めている。東京ADC会員、武蔵野美術大学客員教授。

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