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学生でも「自分のスタイル」に合う企業を選べるのがBOVAの魅力

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実写をCG加工した作品を得意とする、映像ディレクターの野村律子さん。2016年に、月刊『ブレーン』のオンライン動画のアワード「BOVA(Brain Online Video Award)」の一般公募部門で準グランプリを受賞したことが、その後の活躍のターニングポイントになったといいます。現在は多摩美術大学の講師として、授業でBOVAへの応募指導をしているという彼女に、改めてアワードの魅力を聞きました。

——野村さんは2016年のBOVAで、パイロットの課題で準グランプリを受賞されました。当時を振り返って、通常の仕事の進め方と異なる点はどこでしたか?

普段の進め方とBOVAが違うのは、途中でクライアントからのフィードバックが入らない点ですね。そういった自由度の高さは、とても面白いと思いました。ただその分、社内のいろんな人の意見に耳を傾けるようにしていましたね。

もうひとつの違いは、BOVAの場合、かなり広い選択肢から自由に課題を選べるという点です。これは、つくり手にとってもすごく楽しめる入り口だなと思いますね。私の得意なスタイルは、ミニマルで、シンプルで、強いもの。普通の仕事だと、テーマに応じてスタイルを変える必要もありますが、BOVAでは自分のスタイルに合う企業を選べるんですね。

パイロットの課題「アクロボールを使いたくてたまらなくなる動画」に対して野村さんが制作した動画「Beauty of line」。

——本作はADFESTでも受賞しました。その後仕事内容にはどんな変化がありましたか?

受賞を通じて自分の作品をたくさんの人に見てもらえたのは、とても大きかったですね。元々作家性が強い作品は拡散には不向きな傾向にあります。それがBOVAやADFESTでの受賞をきっかけに、ネット上でも多くの反響をいただきました。あの作品が代表作になったことで、監督の仕事やプランナーの仕事、演出家の仕事などが少しずつ増えていきました。ですからBOVAの受賞は大きなターニングポイントだったと言えますね。

——野村さんは現在、多摩美術大学の統合デザイン学科の講師もされており、授業ではBOVAへの応募指導もされているそうですね。

はい。私自身、応募経験があるのでよく分かるのですが、映像表現に関わりたい人間がスタートを切るのに、とてもいい機会だと思いますね。好きな課題に取り組めるので初めてでもやりやすいですし、それでいて「これを表現して欲しい」という企業側の要望もちゃんとあるので、すごくバランスのいい経験ができると思います。

指導の際に心がけているのは、「アイデア出しをたくさんする」ということですね。自分では当たり前に思うようなことも含めて、まずはバーッと全部出してみるように言っています。

その後で、出てきたアイデアを課題ごとに発表してもらう。ひとりが発表している間に残りのメンバーにコメントをもらうんです。そのスタイルを「I like&I wish」方式と呼んでいるのですが、まずは「ここが良いね」というコメントの後に、「こうだったらいいね」と付け足してもらう。そういうやり方をすると、アイデアの種も広がっていきやすくなります。

——今回はその授業の一環で、BOVA10周年のティザームービーをつくっていただきました。どんな形で進めていかれたのでしょうか。

 

ちょうど4年生の授業で「モーションコントロールカメラ」を使う機会がありました。この機材を使わないとできない表現ってなんだろう?
と考える中で、ちょうどBOVAのティザームービーの話をいただいていたこともあり、1秒ずつキッチリと撮影が進む「カウントアップムービー」が良いだろうと思い付いたんです。

生徒の皆さんには、数字にまつわる小道具を用意してもらった後、その特殊な撮影方法を見学してもらいました。アングルチェックから完成まで、3、4回ほど撮影したのですが、失敗を重ねながら動画が完成するプロセスを見てもらえたのは、とても良かったと思います。

——生徒の杉浦孝太郎さんにも、夏休みの課題としてティザームービーを制作していただきました。

 

はい。ふだんの課題の場合は、趣旨説明から始めて、オリエンをして、制作プロセスの間もフィードバックをして、と並走していきます。ですが今回は夏休みの自由課題ということもあって完全に「丸投げ」でしたね。当の杉浦さんからはこんなコメントが届いています。

「今回は、野村先生から『本当に自由につくってください」と言われていたこともあり、その通りにしてみました。10周年がテーマだったので、日常で目にするさまざまな『10』を取り上げ、見る人の意識を働かせようと考えました。意識したのは、大貫卓也さんのテレビCM『としまえん』のようなシュールさ。BGMのモーツァルト『悲愴』は、そうした効果を演出する欠かせない要素として入れてみました』。

もちろん、学生なので全てのクオリティが高いとはいえませんが、このようにさまざまな角度からたくさん作品をつくることで、実力が伸びていくと思いますね。

——BOVA事務局では、学生の皆さんからのエッジの効いた作品を大いに期待しています。野村さんからも、応募する学生さんに向けてメッセージをお願いします。

学生時代というのは、実験と失敗ができる時期です。お金をもらって仕事をするとなると、実験では終わらせられなくなりますからね(笑)。だから「これはダメかも」と思うアイデアでも、成功する確率が低そうに見えても、まずはやってみること。自由に応募できることこそが、BOVAの最大のメリットですから。ぜひ挑戦してもらいたいなと思います。

野村律子
映像作家/ディレクター

武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒。パリ国立美術大学(ボザール)修士卒。その後ニューヨークへ移住し米国の卓越能力者ビザを取得し制作活動。主に米テレビ番組や、ブランドPR/コマーシャルのCG制作を手がける。2010年より東京に拠点を移し、NHK Eテレ「デザインあ」「テクネ映像の教室」番組内映像、企業PR映像、展示用映像作品などの企画・演出・制作を手掛け、実写をCG加工した映像作品を得意として活動中。ADFEST銅賞、BOVA準グランプリ、EU-日本デザインコンペ入賞、東京国際映画祭、沖縄国際映画祭、プエルトリコ短編映画祭等国内外映画祭入選。主な展示参加に「デザインあ展」「六本木アートナイト」「ルール?展」など。多摩美術大学統合デザイン学科非常勤講師。