「タイパ」はどのように活用できるか?顧客の体験価値を高める5つのパフォーマンス

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タイパをきっかけに体験価値を5つの「パフォーマンス」で再考する

顧客にとっての商品の価値や満足度を示す指標のひとつに、コスパ=「コストパフォーマンス」つまり、費用対効果というものがあります。最近ではZ世代を中心にタイパ=「タイムパフォーマンス」つまり、時間対効果という言葉が流行しつつあります。こちらは別の言葉では、ファスト消費やファスト教養=映画の早送り、講義の倍速視聴といった文脈で語られるトレンドでもあり、稲田豊史氏の『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』や、レジー氏の『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』でも話題になっています。

タイパという概念自体は、YouTubeやTikTokなどデジタルの無料プラットフォームがZ世代の情報ツールとして一般的になっただけでなく、短尺動画で情報を発信するクリエイターが視聴数獲得のために様々な分野のコンテンツを数多く提供している背景によって生まれた視聴者側の視点です。これまでも時間が無視されていたわけではないのですが、Z世代にとっては膨大な情報を処理するのに、時間という資源を有効に使うことが重要という点は、改めて気が付かされるインサイトのように思います。

さて、今回のコラムでは、Z世代に固有のタイパの文化的な意味合いを考えるのではなく、タイパをきっかけに顧客体験において新しい視点をもたらす5つの「パフォーマンス」(対効果指標)について考えてみたいと思います。このコラムで解説する内容は、宣伝会議の主催する

2022年度の「CMO X」のEXPERIENCEチーム

(AKOMEYA TOKYO 柘野さん、Koala Sleep Japanの尾澤さん、I-ne 今井さん)において、実際にディスカッションしたものです。

顧客体験におけるカスタマージャーニー

5つのパフォーマンスの視点に入る前に、まずは顧客体験の接点を整理してみましょう。顧客体験のベースとなるのは、顧客のステップとなるカスタマージャーニーが元になります。カスタマージャーニーは、大きく分けて1.購入前 2.購入 3.購入後の3つのステップに分かれます。

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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