政府は3月10日、「メタバース」などでの商品販売で生じる課題などへの対応を目的とした、不正競争防止法等の一部を改正する法律案(知財一括法)を閣議決定し、今国会へ提出した。不競法や商標法、意匠法など6つの法律の改正を目指す。デジタル空間での商品形態の模倣行為の防止のほか、限定的に他社に提供するビッグデータなどの保護を強化する。
現行法では、「メタバース」などのバーチャル空間であるブランド商品を3DCG化して販売した場合、意匠権の保護や、不競法による商品形態模倣規制(他者の商品と実質的に同じ形態の商品に対する規制)が及ばない可能性が高いなどの課題があった。改正法では、デジタル空間も不競法の対象とし、デジタル化した模倣商品などに対する差し止め請求権の行使などができるようになる。
ビッグデータを他社に共有する場合の論点となっていた、「限定提供データ」の定義を一部変更し、「秘密として管理されているものを除く」を「営業秘密を除く」に改正する。
起きうる問題として、秘密保持契約などを結んだ上で他社にビッグデータを提供し、その企業による漏えいなどで公開されてしまった場合、「限定提供データ」や「営業秘密」としての保護を受けられなくなってしまうことなどが想定されていた。限定提供データは、地図情報や移動情報など限定的に他社に公開し、活用を前提とするもの。営業秘密(独占領域)とオープンデータ(協調領域)の中間に位置する。
登録可能な商標の制限を緩和する。他人がすでに登録している商標に類似したものでも、商標権者の同意があり、混同のおそれがない場合に商標登録できるようにする。氏名を含む商標も一定の場合に他人の承諾なく登録できるように条件を広げる。
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