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牛乳って青春だった!10代のコピーから気づいたこと

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第7回「宣伝会議賞」中高生部門に協賛したよつ葉乳業では、協賛企業賞受賞作品をはじめ、複数の応募作品を活用した広告展開を実施した。協賛に期待したこと、また応募作品を見ての感想、さらに作品を活用した広告施策の反響について、よつ葉乳業の大石和恵氏に話を聞いた。
※本記事は5月1日発売の月刊『宣伝会議』2023年6月号からの転載記事です。

おしゃれさ?体に良い?若年層へのアプローチに悩み

2023年3月10日に最終審査結果を発表した第7回「宣伝会議賞」中高生部門に、初めて協賛したよつ葉乳業。課題は「中高生がもっと牛乳を飲みたくなるアイデア」で、数千を超える作品が集まった。

同社が協賛をした背景にあるのは、牛乳の飲用促進だ。コロナ禍で学校給食や外食での需要が激減。メーカー生産者団体など、業界を挙げて牛乳消費拡大施策に取り組んでいる。

また若年層の牛乳離れは、長年の業界課題でもある。飲料市場の多様化などを理由に、給食以外で「牛乳」を選び取る機会は減少する。

1967年に設立され、バターや脱脂粉乳の製造からスタートした同社。近年、牛乳やヨーグルト製品をはじめ家庭向けの商品を拡充していくなかで、首都圏においてテレビCMなどの広告出稿を強化してきた。元々業務用の売り上げ構成比が高く、家庭向け製品の売上は3割程度で、現在はその比率を高めるため様々な施策を実施しているという。比較的高価格帯の商品ということもあり、ターゲットは食にこだわりのある40~60代の女性だった。

そのため、「若年層にアプローチする際、牛乳の何を価値として、どのように打ち出せばよいのか迷っていました。“体に良い”なのか、“おしゃれさ”のある広告が良いのか…今回の応募作品を見て、“そのアプローチなんだ!”と驚いたんです」と大石氏は話す。

応募作品に多く見られたのが「好きな人と一緒に」「背が伸びるとモテる」といった、「青春」をイメージする言葉。牛乳の機能的な価値だけではなく、牛乳のそばにある日常生活や、感情が描かれていた。

出稿まで3カ月弱 車内広告や楽曲を制作

「広告展開は、応募作品を受け取ってから、企画をスタートさせました。社内、そして広告会社やメディアなど各所の皆さんに協力いただきながら、短期間での実施に至りました」と大石氏は振り返る。

まず大石氏が数千作品から50作品を選び、その後よつ葉グループの社員による投票によって選考を行った。

「広告で発信するキャッチフレーズを選ぶことを通して普段、宣伝・広告の仕事に携わらない社員にも、広報業務を自分ごととして捉えてほしいと考えていました。そして10代が牛乳にどんなイメージを抱いているか、社員に知ってもらう機会でもありました。非常に前向きな言葉が多かったので、エールにもなったのではないかと感じています」。

前述の通り、「青春」を感じられる言葉の数々は、どの年代の社員からも共感を得ていたという。

そうして選ばれた協賛企業賞「『ギリまだ伸びる』まかせた、牛乳。」をはじめ、複数の優秀作品を、様々なキャンペーンや広告で展開した。

TBSラジオ「牛乳をみんなで飲もうキャンペーン」のオリジナルキャンペーンソングは、
同局で番組を持つアンジェリーナ1/3さんが所属するガールズバンド・Gacharic Spin (ガチャリックスピン)が作詞・作曲。実に8作品がひとつの歌詞に組み込まれた。

募集開始時も含め、その取り組みは地元の新聞や業界紙に取り上げられた。各メディアに対しては、若年層の牛乳離れという社会課題を背景に、中高生自らがアイデアを考えることの意義を提示した。

「課題に関する説明文でも、『牛乳の消費量が減ると、酪農家の経営や日本の農業はどうなるでしょうか?』と問いかけるメッセージにして、社会課題であることを訴えた。当社の製品を知ってもらいたいというだけでなく、牛乳や酪農、乳業の理解を深めてもらいたいとの思いから、協賛を決めました」。

このほかにも農林水産省と一般社団法人Jミルクが主導する「牛乳でスマイルプロジェクト」の定例交流会において今回の取り組みを報告。日本乳業協会主催のイベント「おいしいミルクフェス」では、出展ブース内で作品のパネルを展示した。いずれも業界関係者からの注目度が高かったという。

「牛乳にはカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれていますが、背が伸びる要因としては、カルシウムだけではなく様々な要因が関係していると言われています。そのため、骨が強くなる、背が伸びるといった機能価値を表現することはできません。しかし、“中高生が柔軟なアイデアで考えたキャッチフレーズ”をできるだけそのまま伝えたいとの思いから一部注釈を入れた上で、実際の広告に活用しています。様々な施策が実現しましたが、『宣伝会議賞』が横串となり、全体がひとつにまとまった。中高生が自ら考えたコトバが様々な人に届いた、とても思い入れの深い施策となりました」。

【施策1】 
TBSラジオ「牛乳をみんなで飲もうキャンペーン」キャンペーンソング制作

TBSラジオの番組でパーソナリティを務める、ガールズバンド・Gacharic Spin (ガチャリックスピン)のアンジェリーナ1/3さんとバンドメンバーがキャンペーンソングを制作。その歌詞に作品が活用された(下線部)。



【施策2】
 京急電鉄トレインジャック

期間:2023年3月5日~ 26日
選定した6作品と、宣伝会議賞に課題を出した意義についての説明広告も掲載。特別塗装列車「京急イエローハッピートレイン」を活用したことで、SNSでは鉄道ファンたちからの反応もあったという。



【施策3】 
オリジナル紙コップの作成

期間:2023年3月16日~ 4月7日
直営カフェ「ミルク&パフェ よつ葉ホワイトコージ」で実施した「牛乳1杯サービス」企画の際、作品が掲載されたオリジナル紙コップ(6種)を用いて提供した。またTBSラジオでのキャンペーン期間中に、スタッフや出演者が使用する紙コップとして提供。実際に使用したスタッフやアーティストが、Twitterにて画像を投稿した。

よつ葉乳業
管理統括部 総務広報グループ
大石和恵氏