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タイガー魔法瓶、SNSフォロワー数を急伸させた3つの施策

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タイガー魔法瓶のTwitter公式アカウントのフォロワー数は、ここ2年間で急増し、現在は18万人を超える。2018年の開設当初は約2〜3万人だったという。

スライド タイガー魔法瓶のSNS公式アカウントのフォロワー推移
タイガー魔法瓶のSNS公式アカウントのフォロワー推移
タイガー魔法瓶でSNSを担当する林優紀氏

フォロワー数増加を後押ししたのは、さまざまな趣向を凝らして実施したキャンペーンだ。タイガー魔法瓶でSNSを担当する林優紀氏は「タイガー魔法瓶というブランドや、個々の商品の理解、好意度を高めるにしても、一定以上のフォロワー規模がなければ難しい。当初オーガニック投稿メインで運用していたところから、並行してキャンペーンも積極的に実施するようにした」と話す。

各キャンペーン施策の要点を、CARTA COMMUNICATIONS(CCI)「CCI Social AdTrim」のマネージャーでSNSコンサルタントの笹秀史氏の解説も交えて紹介する。

施策1:五黄の寅 お食い初め応援キャンペーン

スライド 寅年お食い初め Twitterキャンペーン
寅年お食い初め Twitterキャンペーン

2022年5月30日〜6月26日のおよそ1カ月間にわたり、2022年=寅年に生まれた子どもを持つ人を対象としたプレゼントキャンペーンを、TwitterとInstagramで実施した。いずれも公式アカウントをフォローの上、Twitterでは対象の投稿をリツイート、Instagramは「いいね」ボタンを押すと参加できる仕組み。抽選でそれぞれ3名に、離乳食やお食い初め、その後の成長に合わせて使ってもらえるようにと、フラッグシップモデルの炊飯器〈土鍋ご泡火炊き〉をプレゼントした。

企画の着想は言わずもがな、タイガー魔法瓶の「タイガー」と寅年がかかっている。さらにポイントになったのは、占術の「九星気学」と合わせて「五黄の寅」という運気の強い年だったこと。キャンペーンでも、「2022年生まれの最強運気ベビーの最初の一杯はタイガーで」と添えた。

写真 人物 CARTA COMMUNICATIONS 笹秀史氏
CARTA COMMUNICATIONS 笹秀史氏

CCIの笹氏は、「干支と、お食い初めという風習と、プレゼントする商品やブランドとのマッチングがとても良い企画」と評する。

「22年生まれのお子さんの保護者の方を対象としていますが、このようにターゲットを絞り込んだものがタイムラインに流れてくると、特に目が向くもの。また、生まれたばかりの大切なわが子のために、という、親ならではのインサイトもうまく捉えているように思います。当選しなかった方でも良い炊飯器が欲しいと思っていただけることや、子どもには安全でおいしいものを食べさせたいというプラスの共感が生まれたのではないでしょうか」(笹氏)

タイガー魔法瓶 寅年お食い初めキャンペーン Instagram投稿
寅年お食い初めキャンペーン Instagram投稿

ハッシュタグではTwitterとInstagramであえて違うものを添えた。

「Instagramでは、〈#2022年4月出産予定〉などといった少し詳細なハッシュタグを添えました。一方Twitterでは、〈#懸賞〉とか〈#キャンペーン〉といった、より直接的なもののほうが広がりがある印象です」(林氏)

林氏は実施前、Instagramで出産を控えていると思しきユーザーが、投稿にどんなハッシュタグを付けているのかを研究し、先のような各SNSでのハッシュタグの使い分けに至ったという。SNSに投稿する画像のほか、プレスリリースなどに使用するグラフィックは、他社が過去に実施した、新生児・乳幼児のキャンペーンやプレスリリースを調査。色合いなどを参考にした。

キャンペーン参加者数は、TwitterとInstagram合わせて約2万人。2022年上半期の出生数は約38万5000人で、5%+αほどの参加率だったと言える。Instagramでは、少額だが広告配信も実施し、期間中にフォロワー数が約5600人増加。新規フォロワーによるキャンペーン参加につなげた。

施策2:熱中症対策プロジェクト

2022年7月15日〜9月末にかけて実施した、「#水筒にスポドリいれよう キャンペーン」と「#タイガー魔法瓶と熱中症を考えよう キャンペーン」の2本立てのプロジェクト。前者では期間中、気象庁が発表する「熱中症警戒アラート」に合わせて、熱中症リスクの高い日にプレゼントキャンペーンを展開した。

後者は断続的に5回、Twitterでクイズキャンペーンを実施。熱中症対策の一環として、水筒を持ち歩いてもらう啓発の側面と、同社のスーパークリーン(Plus)加工がされた水筒にはスポーツドリンクを入れられるという機能面のPRの側面がある。

スライド 熱中症対策Twitterキャンペーン 熱中症警戒アラート連動
熱中症対策Twitterキャンペーン 熱中症警戒アラート連動

「#水筒にスポドリいれよう キャンペーン」は、当日の午前6時に熱中症警戒アラートが出ているかを確認し、社内のチャットツールなどを用いて実施を決定。上長もすぐに承認できるような体制を整えた。

「実施の判断基準や、いつ確認するかを社内でも明確にしていたことと、おおよその投稿のひな形を用意していたので、イレギュラーな指摘などなく、社内承認から実行までスムーズにいきました。私はSNS・広報担当ですが、所属する広報宣伝チーム内に各商品のブランド担当もいて連携しやすい関係だったことも後押しとなったと思います」(林氏)

熱中症対策Twitterキャンペーン クイズ形式

後者のクイズキャンペーンは、熱中症対策に関するクイズを出題し、正解した方に抽選でボトルとスポーツドリンクをプレゼントするもの。目的は熱中症対策についての理解を深めてもらうこと。クイズは選択肢を選んで引用リツイートで答えて参加する形式。「間違った答えで引用ツイートが広まってしまうと本来の趣旨から外れてしまいます。そこで正解発表をした投稿をリツイートすると同じ商品が当たる、いわゆるダブルチャンスとしました」(林氏)

「いずれもTwitterの特性を生かした施策」と話すのは笹氏だ。

「特に熱中症警戒アラートに合わせた施策は、リアルタイム性がある。ユーザーからしても、『先ほど出たアラートに対して、もうタイガー魔法瓶が反応している』というサプライズがあります。ユーザーの生活に直結して役に立つ情報という意味でも、反応が得やすいと思われます。プレゼントもさることながら、『きょうは暑いから気をつけよう』など、シンプルな注意喚起になっていますね。また、クイズ形式にすることで、回答前に正解を調べる行動につながるなど、単に商品のPRをするだけでなく、熱中症対策についての理解を深めてもらえるよう配慮された座組になっていることも秀逸です」(笹氏)

本キャンペーンでは、自社のボトルと併せて、他社のスポーツドリンクをセットでプレゼントした。他社の商品をプレゼントすることに関しても、笹氏は「事前に許可取りの必要はあるものの、コラボ感を演出することや、相手企業から快い反応をもらえることも比較的多いです。特にBtoB企業など、自社でプレゼントを用意できずキャンペーン実施を悩んでいる方にはぜひ検討してみていただきたいです」と話す。

施策3:100周年100日連続キャンペーン

スライド タイガー魔法瓶 100日連続Twitterキャンペーン
100日連続Twitterキャンペーン

2023年はタイガー魔法瓶創立100周年の年。創業日である2月3日から100日間連続で、同社商品が当たるTwitterキャンペーンを実施した。基本的にはフォロー&リツイートキャンペーンだが、賞品が日替わりとなる点が大きな特徴だ。毎日昼12時に投稿し、その日の深夜11時59分までが一区切り。当該投稿を引用リツイートした人の中から抽選で1名にプレゼントする企画とした。

思わぬ波及効果も得た。3月20日のプレゼントに設定した「真空断熱カスタムボトル」のカラーバリエーションが、11人組の男性グループのメンバーカラーと一致していることが、ファンによって発見され、想定外の話題の広まりを見せた。

写真 商品 タイガー魔法瓶  真空断熱カスタムボトル
真空断熱カスタムボトルのカラーバリエーション

「これは全くの偶然でした。ただ、100日間キャンペーンがなければ、ファンの方との接点もなかったのではないかと思います」(林氏)

「100日間連続、というのがフォローする理由にも直結したのでは」と話すのは笹氏。

「途中でキャンペーンの存在を知っても、その後最大100日目までは施策が続くことがわかれば、よりフォローしたくなると考えられます。1回きりの単発のキャンペーンだと、実施後にすぐフォロー解除してしまうことも少なくありませんが、100日間続けてコミュニケーションし、継続的にタイムラインで接触していると、好意度も自然と上がっていきます」(笹氏)

100日間プレゼントキャンペーンを実施するとなると、いわばメインどころの商品以外にもスポットライトが当たる。

「かき氷機や餅つき機など、ふだんなかなか押し出してこなかった製品を登場させられたのは良かったと思います。また、やはり商品によって反響にも差が出ますので、週次でランキングにして、コメントなど含め社内に共有していました。お客様はもちろん、従業員の中でも面白がってもらえた周年企画になったかと思います」(林氏)

今後はECサイトとの連携を強化

Twitterだけでなく、Instagramでも断続的にキャンペーンを実施している。予め年間での計画を立て、2022年ではほぼ月1回ほどのペースで実施したという。間が空きすぎると、ユーザーがフォローを外してしまうなどをリスクとして捉えているようだ。

「キャンペーン実施のない期間も、キャンペーンをきっかけにフォローしてくださった方が参考になるような情報をオーガニックで投稿するようにしています」(林氏)

そこでハードルとなるのが「ネタ探し」。林氏は「各企業ですでにやられていると思いますが、全社で募集しています」と話す。

「社内SNSで、よい豆知識やユーザーに役立つ情報があったら教えてください、と呼びかけています。我々広報チームだけで考えるよりも、開発部などを巻き込むほうが幅の広がりが出ます。社員皆で考えてもらうほうがよいと感じています」(林氏)

「社内から収集し、かつ、それを客観的に判断するのが重要」と笹氏は指摘する。

「企業の中では当然視されていても、ユーザーからすると全く知らない意外な事実は、話題になりやすい。我々もヒアリングさせていただいてそう感じますし、拡散されるのを目の当たりにすることがあります。何気なく話に出たことが、世間から見ればすごいことなのに、知られておらず、もったいないと思わされるケースは少なくありません。主観的にネタを出していき、それを客観的に判断する、というのが有効だと思います」(笹氏)

この2月には、LINEで公式アカウントを開設した。今後はLINEやInstagramも含め、タイガー魔法瓶のオンラインストアでの販売に貢献できる施策にも挑戦したいという。

「タイガー魔法瓶さんのように、フォロワーの規模が大きくなってくれば、eコマースなどにも遷移させる施策が取りやすくなってきます。認知については公式アカウントで、キャンペーンなどを交えながらより多くの方との接点を構築していきながら、オンラインストア公式アカウントの引用リツイートや、タグ付けなどを通じて、送客、連携していくのはとてもきれいな動線だと思います。ただし、すべての機能を1アカウントにまとめて担わせてしまうと、ユーザー離れを起こす危険もあるため、目的を意識した使い分けが重要です」(笹氏)

PRやブランディングの目的で、ブランドについての理解や、好意度を高める狙いをもって開設したInstagramやTwitterの公式アカウント。もともと指名買いしてもらうことで、売上に貢献したいという考えがあった。現在ではオンラインストア公式のTwitterアカウントもあり、役割分担も重要になっていきそうだ。

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※本稿は、2023年5月23日開催の「タイガー魔法瓶に聞く、他社と差がつくTwitterキャンペーンの作り方」の内容を抜粋、再構成したものです。


お問い合わせ
株式会社CARTA COMMUNICATIONS メディアソリューション・ディビジョン Social AdTrimチーム
Email:SOCIAL-ADTRIM@cartahd.com
URL:https://www.social-adtrim.cci.co.jp/