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危機管理広報の観点で振り返る「ビッグモーター会見」までの過程

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複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。『広報会議』の連載「リスク広報最前線」を執筆する弁護士の浅見隆行氏が、ビッグモーター会見の内容や会見に至るまでの過程について危機管理広報の観点から解説。本稿ではそのダイジェスト版をお届けする。

中古車売買大手のビッグモーターが保険金を不正に請求していたことが明らかになり、世間から批判が殺到するだけでなく、金融庁、国交省など行政までもが動く事態に発展してしまいました。2023年7月25日には兼重宏行社長(当時)が記者会見を行いましたが、かえって火に油を注ぐことにもなっています。

危機管理広報の観点からは、記者会見とそこに至るまでの過程に様々な課題(教訓とすべき点)が見られます。

 

会見を開くタイミング

第1の課題は、記者会見のタイミングが遅すぎる点です。ビッグモーターによる不正請求は、7月5日に特別調査委員会による調査報告書の概要を公表してから注目されるようになりました。そのため、このタイミングで記者会見をすべきだったと指摘する声も見られます。しかし、記者会見をすべきタイミングは、それよりもずっと前にありました。

一連の問題は、2021年秋に損害保険防犯対策協議会に内部通報があったことから動き出しました。ビッグモーターは、損保会社3社から2022年6月6日に事実確認を要請された後、社内調査を行い、10月24日から11月上旬にかけて不正請求の事実が確認できたことを回答しています。また、これらの詳細な経緯を「東洋経済オンライン」は2022年8月29日以降繰り返し報じていました。

そうだとすれば、記者会見は10月24日から11月上旬のタイミングで行うべきでした。この時点では全容が解明していなかったとしても、一部の店舗を調査したところ保険金の不正請求が確認できたことを説明し、かつ、今後全店を調査する予定であると宣言することはできたはずです。

早い段階で公表しておけば、保険金の不正請求という違法行為を許さない姿勢を対外的にアピールでき、会社に対する信頼が、これほどまでに低下することは防げたのではないでしょうか。ビッグモーターが非上場会社で、かつ株主が、ビッグモーターの資産管理会社ビッグアセット1社だけであることが、危機管理広報をしなければならないとの意識が希薄だった要因かもしれません。

 

ホームページでの印象

危機管理広報の意識が…

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