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イベントDXの未来予測:AIとデータで進化するイベントマーケティング

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イベントDXの要点は、「体験価値向上」「効率化・自動化」「成果の最大化」だ。では、具体的にはどんな改革や強化が見込まれるか。集客や企画、運営などのステップごとに、スプラシアの中島優太社長が解説する。

イベントDXにまつわるFAQ:前回記事のまとめ


 

Q. イベントの手法としての主な特長は?

A.「接触時間の長さ」「文脈の伝達」「情報の同時伝達」「五感の刺激」など。

Q. イベントの出来は参加者にどんな態度変容を起こす?

A. 満足度の高いイベントは購買意欲を1.5倍に引き上げるとのデータがある。

Q. ハイブリッドイベントの開催における主な課題は?

A. オンラインとオフラインを両立させたハイブリッドイベントは、高度なスキルと大量の工数が必要。

Q. イベントの成果測定やノウハウの管理に関する課題は?

A. 成果を測定するための期間が必要なことや、ノウハウが個人に限定されること。

 

体験価値を高める:イベントの印象は「招待」から決まる

× 見込み客に一斉案内 自発的に参加登録してもらう

○ 招待する見込み客は主催者が代理登録 事前登録の手間省く

写真 人物 中島優太社長

招待したい見込み客/既存顧客は、リード管理ツールと連携し、主催する側が代わりに登録しましょう。案内の送り方はいくつかパターンが考えられますが、代表例としては、招待客に対してIDとその顧客の情報をパラメータとして保持した二次元コードを送付します。受け取った側が二次元コードから登録フォームにアクセスした時点で、必要な情報が入力されているのが理想的です。

スプラシアの「EXPOLINE」では、名刺管理ツールの「Sansan」や、「Marketo」や「Hubspot」といったMAツール、「Salesforce」を代表とした営業支援ツール(SFA)と連携できます。

各ツールに蓄積されたリードをEXPOLINEから呼び出して仮登録状態を作るといったことが可能です。

リード情報は常に最新の状態にしておきたいものです。イベントの副次的な効果として、データのクレンジング機会でもあることが挙げられます。終了後に「EXPOLINE」からリード管理ツールにデータを連携して更新できる機能もあります。たとえば、イベント来場履歴などをリード情報に付加することで、データベースをリッチにしたり、見込み度などのスコアリングに活用したりすることができます。

顧客への招待の送り方にはいくつかパターンがあり得るとお話ししました。たとえば、メールではなく、LINEを用いるということです。参加者にとってもLINEのほうがより簡単に登録できるので、BtoBのイベントでも今後増えていくだろうと見込んでいます。

このように、参加登録一つとっても、ほかのイベントとの差別化を図れる、体験価値の向上ポイントはあるのです。

 

体験価値を高める:登録フォームをもとにリコメンドは必須

× 参加者が能動的に情報収集をする

○ 参加者は受動的に情報が収集できる

イベントは情報収集目的での参加がメインですが、リアルイベントを回遊する時間をいかに効率的に生産性高く過ごせるか? というタイムパフォーマンスの観点もイベントの満足度を高める上で見過ごせません。

そこで重要なのが、コンテンツをいかに適切に参加者にリコメンドするか、そして適切にマッチングするか、という点です。そのための貴重なデータ収集ポイントとなるのが、実は参加登録フォームなのです。

登録フォームは、参加者のプロフィールを入力、更新してもらうだけではなく、コンテンツのパーソナライズをするためのものとしてとらえましょう。登録時にプロフィール以外の情報も取得しておくことで、その方にあった展示コンテンツや講演を精度高くマッチングさせることができ、パーソナライズされた体験の提供が可能となります。

事前アンケートをきちんと取得することで、開催日までの予習コンテンツの配信に用いたり、前回の基調講演やスポンサードコンテンツを提供したり、といったことができます。

イベントの特設Webサイトでは、参加予定者の現在の状態を把握できているかどうかが後々効いてきます。イベント自体が情報収集としての手段の側面を持ちますが、能動的な収集だけでなく、受動的に自分に合った情報が入ってくるのも、良い体験と言えます。アンケートは入力項目が多いと離脱しやすくなるというのがセオリーですが、メリットがあればきちんと入力していただきやすくなります。

写真 人物 安部健太氏

 

生産性の向上:バックオフィス業務を効率化

× 表計算ソフトで提出物を管理する

○ システム導入で一元的に解決

講演のタイトルや登壇者のプロフィール、出展社からの各種申請書類など大量の情報を管理するバックオフィス(事務局)の業務を効率化するのは、イベントDXによる工数削減の要点と言えます。

出展社や講演者の情報もフォームで受け付けたり、掲載情報をコンテンツ管理システム(CMS)で入力してもらったりということは、近年では必須のことだと思います。しかし、イベント用の管理システムのパッケージ製品はほぼなく、存在を知らない企業は多いと思われます。

各種の制作物に同じ情報を何度も手入力したり、紙で情報を受け取って、そのたびにマスターを手動で変更したりということがなくなるだけで、デジタルの恩恵は強く感じられるはずです。

 

成果の継続的な進化:KPIはダッシュボードで管理

× 手動で入出力するアナログ作業

○ BIで各担当が必要な情報を確認

たとえば集客施策なら通常、前回の振り返りからスタートしたいものです。集客期間と集客数を見たり、それにかかった費用を確認したり。いざ集客が始まったら、現場ではリアルタイム~日別で状況を把握する必要があります。

集客に限らず、イベントに関連するKPIとして、何をどれくらいの解像度でどんなサイクルで確認していくかは、担当領域によって異なるのが一般的です。先ほど例に挙げた集客であれば、マーケティングは全体を俯瞰して見ますが、集客広報担当の方はメディアごとの集客の費用対効果だけをチェックすることになる、といったことです。

営業は自分の担当顧客が登録しているかどうか、また営業部長であれば、どの営業担当がどの程度の集客をおこなっているか、進捗が悪い担当はいないかなどを知りたいのではないでしょうか。

それを1つの管理シートで皆が見ると言う状況は、わかりにくさやデータ改竄にもつながるリスクがあります。いちいち切り分けた表を複数作成するのも、文字通り労多くして功少なしといった作業になります。

管理画面で見るデータはログインする人ごとに出し分けていくのが理想です。「EXPOLINE」で当社が目指しているのは、自社の過去イベントだけでなく、同業界の同規模イベントのデータを参考にできるようにすることです。どんな施策を行うとどう行った成果が出るか?と言う予測ができると、投資判断ができる。というビジネスサイドの実態に即したサービスに進化させたいと考えています。

さらに強化したい点として、講演タイトルのサジェスチョンがあります。過去の事例から集客効率の良いタイトルに入れるべきキーワードをAIで提案したり、講演のサムネイル画像を自動生成したりすることも、すでに夢物語ではありません。

たいていのイベントは講演者の知名度と講演タイトルで集客数が変わります。どんなタイトルを出すとどれくらいの集客ができるかは比較的容易に検証が可能だと考えています。こうしたことは、当社のようなプラットフォーム側が果たすべき使命だと考えています。個々の企業だと開催頻度が少なく、分析も難しいためです。

 

体験価値を高める:会場での手続き負担を減らす

× アナログ過ぎもデジタル過ぎも体験を損ねる

○ 自動化の勘どころと営業のアテンドをサポート

写真 人物 中島優太社長

開催当日の会場では、どのような体験を提供すべきでしょうか。私は過剰なデジタル化はすべきではないと考えています。たとえば、一昔前はイベント開催用にモバイルアプリを用意することが流行りました。しかし、ダウンロード数を追いかけるという別の目標が生じたり、利用者側もWeb上のマイページとモバイルアプリとで混乱したりと、コストをかけてまで得られるものがありません。イベントのタイムテーブルなどの案内やパンフレットはマイページ上に集約するようにしたほうが、当日も後からも見返しやすく、資料が行方不明になるといったことも避けられます。

もし、アプリで来場者とつながりたければ、LINEを用いることを推奨しています。そのためだけにダウンロードする手間がなく、拡張性も高いからです。

顔認証はどうでしょうか。これも事前に収集する手間があるほか、提供する参加者としては心理的ハードルを感じる方もいらっしゃるはずです。

能動的なアクションを増やしたいということや、イベントのガイドをしっかりとしたいということであれば、ChatGPTのプラグインを活用したイベント内検索の仕組みを作るといったことも想定されます。イベントでのデジタル活用は今後ますます拡大していく領域だと考えられます。

一方、来場者はきちんとデジタルで管理すべきです。

受付は自動プリントで受講票をその場で印刷し、お渡しできるようにすること。受講票は首から下げてもらい、二次元コードなどで認証して、スムーズな入場ができるようにすること、といった程度がちょうどいいのではないでしょうか。

受け付けしたり、講演会場に入場したりしたら、その顧客を担当している営業パーソンへ通知が届くようにし、会場案内などができるようにするのが理想的でしょう。また、言うまでもなく、オンオフ同時開催するハイブリッド型イベントであれば、一元的にデータは管理されるべきです。

開催後も常に顧客とつながっている状態を目指します。単発、単発ではなく、ほかのすべてのイベントのログも一連の流れで把握できるようにし、コンテンツを提供し続け、そのひとつの点として、イベントへの参加登録がある状態にします。

日々の顧客へのコンテンツ提供と、セミナー/イベント集客、ショールームなどリアルアセットへの送客など、一気通貫で顧客接点を見ていくことが、イベントDXが果たすべき、顧客中心の体験提供ではないかと考えています。

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写真 人物 集合


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株式会社スプラシア
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TEL:03-6820-8620