2020年の秋。投資について、1本の電話がかかってきた。
その誘いに、乗ってしまったことで、僕の人生は若干変わってしまった。と書くと、未公開株買いませんかという勧誘の電話みたいだが、そうではなく。投資教育のプロジェクトを手伝ってもらえないか、という相談の電話だった。
声の主は、藤沢久美さん。現在の肩書きはNECグループの独立シンクタンク国際社会経済研究所の理事長。でありつつ、同時にいろいろな会社の社外取締役や相談役をされていたり、スポーツの団体の理事をされていたり(一時期はJリーグとか)、講演&著作も多数で、キャスターもされていたりと、一言では何者なのか本当に説明しづらいけれど、キャリアのスタートは「投資運用会社勤務 → 95年に日本初の投資信託評価会社を起業」と、元々は投資業界の方。
電話口の藤沢さん曰く。「三菱UFJ信託銀行のとある方が『20代が投資をしないとこの国の未来はヤバい』と、20代が投資について理解を深めるプロジェクトを始めようとされていて。ただし、1社だけじゃできないことをやりたいから、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行、りそな銀行といった、同業他社、つまりライバルと一緒にコンソーシアムを立ち上げようとされています」
ちなみにこれは、新NISA開始はもちろんのこと、岸田総理がロンドンで「資産所得倍増プラン」について言及する前のこと。今はだいぶ投資界隈の風向きが違うけど、その頃はまだ全然事情が異なる頃のお話。
ふむふむ、なかなか熱い、と思って聞いていた、その次の言葉にさらに興味をそそられた。
「金融業界だけだと、今までと同じようなことになるから、そこに、住友林業とか東京ガスとか、異業種の“非金融業界”の会社も数社すでに誘っていて。
だって、どんな会社の企業活動も、投資だから」
なるほど、確かに。林業でいえば木を植えるのは投資だし、家を建てるのも投資。ファッションだって自分のイメージを作る上で投資だし、このコラムを読んでらっしゃる方の多数が広告業界やいろんな業界の宣伝部やマーケッターではないかと推測するが、広告だって投資だ。