『
なぜ教科書通りのマーケティングはうまくいかないのか
』の中で私が非常に重視をしているのが、マーケティングの定跡と言われるような考え方とリアルで起こる現象との間に存在しているギャップをどう把握・理解していくかというテーマです。
若い世代については特にそうしたギャップを捉えにくいところがあり、通常の調査形式では掴みきれないとも感じていました。そんな中で産業能率大学の小々馬先生とのご縁をいただき、電通社内で行っている「北村塾」の出張版として「
北村塾@SANNO UNIVERSITY
」を実施させていただく運びとなりました。
小々馬ゼミは、産学を繋ぐ「ミライ・マーケティング研究会」(後援:日本マーケティング協会)を定期的に実施しています。また雑貨の商品企画や放送局との研究会などの取り組みもあり、教室内での研究にとどまらない“世の中のリアルとの接着”が特徴的なゼミとなっています。
今回のコラムは、自分自身も非常に楽しく参加させていただき、また新たに気づきや整理が得られた3回にわたる「北村塾@SANNO UNIVERSITY」のレポートです。
「自分ごと化」・「シェア(推奨)」・「動機づけ」の3つをテーマに設定
学生の方々からご意見を伺いたいテーマはいくつかありましたが、その中から「自分ごと化」・「シェア(推奨)」・「動機づけ」の3つを設定しました。いずれも広告会社・広告主の間で実務上よく使われる言葉ですが、それらは多くの場合、「そうなってくれたらよい」という文脈であり、果たして実際にできるのか、あるいはどういう場合にはできてどういう場合にはできないのか、今ひとつ解像度が高くないと感じていました。
本レポートでは、3つのテーマの中でも特に興味深い議論となった「シェア(推奨)」について、まとめていきます。
「シェア(推奨)」を考える
モノを購入した人が周りの人にもそれをシェア(推奨)するのは実際に起きている現象だと思うのですが、
企業側がなんらかの行動をすることによってシェアの動きを増やせるのか
については、やや実感を得られないところがありました。シェアはそもそも自発的なものであり、またそれをした結果として自分に対する他者からの認識が変化する可能性もあるセンシティブな行動であることに注意する必要がありそうです。



