配車サービス「Uber(ウーバー)」とフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を展開するUberは、事業展開するモビリティ、レストラン、リテールの3領域で広告を配信している。Uber独自に直接収集したデータを活用することで、広告主はターゲットとするオーディエンスをより深く理解してリーチすることができるという。
Uber JapanでUber広告事業を統括する持田忠一郎氏が、11月28日、29日に開かれた「宣伝会議サミット2024」に登壇。日本市場で本格展開しているUber広告の概要について紹介した。
モビリティ、レストラン、リテール事業を展開
Uberは、配車サービスの「Uber」とフードデリバリーサービスの「Uber Eats」の事業を全世界72カ国1万以上の都市で展開している。日本では、Uber事業を18都道府県 、Uber Eats事業を47都道府県で行っている。
Uber Japan Uber Advertising営業本部 本部長 持田忠一郎 氏
国内における同社のビジネスは、モビリティ事業の「Uber」、デリバリー事業の「Uber Eats」の2つがある。またデリバリー事業において、OFD(オンデマンドフードデリバリー)、グロッサリー&リテール、Directの3事業がある。その中でモビリティ、レストラン事業、グロッサリー&リテール事業を広告ビジネスの柱としている。「グロッサリー&リテール事業はUber Eatsで育んだデリバリーネットワークを応用したビジネスです。利用者はコンビニエンスストアやスーパーマーケットの商品を自宅に配達してもらうことができます。このグロッサリー&リテール事業が日本でも増えてきています」と持田氏は述べる。
Uberは「移動する」、「食べる」、「食品や日常品を購入する」など、1日の複数の場面でサービスを提供している。マーケットリサーチ会社GWI社が実施した調査によると、Uberの利用者は「収入の高い若年層」だという。
「広告主が可処分所得の高いZ世代やミレニアム世代にアプローチをしたいとき、当社のプラットフォームは魅力的な選択肢となると考えています」(持田氏)
Uber独自に直接収集したデータを活用
同社はUberとUber Eatsのファーストパーティデータを使用して、利用者像を分析している。
まず、データに関しては、利用者のサービス利用履歴は1つのIDに紐づけている。そのIDに基づいて、「プロフィールとモビリティデータとデリバリーデータからなるUber独自に直接収集したデータ」を活用することで、広告主はターゲットとするオーディエンスをより深く理解してリーチすることができる。
次にUberプラットフォーム上の利用者のライフサイクルを理解することで、より効果的な意味づけをデータに付加することができる。
その上で、利用者の行動に基づく「履歴」「行動」「リアルタイム」「コンテキスト」の4つの文脈フィルターで理解することが重要だ。
「このような利用者の深い理解に加えて、適切な『ライブコンサートなどの文化的なモーメント、クリスマスなどのシーズナルモーメント、新商品発表などのブランドモーメント』の組み合わせが広告の訴求力を高めています」(持田氏)
Uber広告は3つのビジネスで展開
次に持田氏はUber広告について説明した。Uberはモビリティ、レストラン、グロッサリー&リテールのそれぞれの事業で広告を展開している。強みは利用者との接点となる「時間」とフルファネルで活用できる広告利用とデザインだと強調した。
まず強みの1つである利用者との接点となる「時間」について持田氏は、Uber Eatsのアプリで広告を視認して商品を購買するまで平均3~6分であることと、オーダーから配車・配達まで20∼30分であることを指摘した。
「3~6分の間にリスティング広告を表示すると、非常に成果の高い広告コミュニケーションを行うことができます。またオーダーから配達完了までの20~30分は、比較的長い時間なので利用者と良質なエンゲージメントが可能になります」(持田氏)
フルファネルで活用できる広告利用とデザインに関しては、「通常は広告が配信されるタイミングで利用者の気持ちと行動を想定することは難しい」と指摘する。その上で、Uber広告は「利用者の深い理解と適切なモーメントの組み合わせが可能」なので、カスタマージャーニーの設計段階から「どの段階で広告に触れると最大限の効果を得られるのか」を考えながら広告製品の開発をしているという。
続いて持田氏は、同社の広告商品の中からスポンサードリスティング、ジャーニー広告、ポストチェックアウト広告を紹介した。
スポンサードリスティングはUber Eats利用者向けの広告で、アプリを開いた瞬間から約100店舗のレコメンドが表示される。ジャーニー広告はUberの配車から乗車して目的地に到着するまでの平均20∼30分間に1社のみの広告が配信される。ポストチェックアウト広告は、注文完了後に1社のみ独占的に配信できるサービスとなっている。
「今後は、認知獲得から商品・サービス理解促進、カートへ追加をワンストップで実現できる追加機能をローンチする予定です」(持田氏)
ブランドにとって安全な環境で広告を表示
持田氏はUber広告を使った海外の事例として、Pizza Hut(ピザハット)、コカ・コーラ、ロレアルを紹介した。
英国のPizza Hutは、手作り天然酵母のピザ生地を新発売することになり、キャンペーンの立ち上がりから製品の認知と、ピザの注文数を伸ばすため、スポンサードリスティングを実施した。またUberのユーザーには、乗車終了後ピザづくりにチャレンジするプレミアムゲームを付加したジャーニー広告を配信した。このユニークな試みは注文を伸ばすことに貢献し、新たな顧客層の開発も実現した。
コカ・コーラは2022年に開催されたFIFA女子ワールドカップで、Uberを利用するスポーツファンや観光客向けに広告キャンペーンを実施。20ドル以上の注文から3ドルを割り引く特典を提供したほか、ゲームが楽しめる広告を活用しながらブランドとスポーツのつながりを強化して、コカ・コーラ商品の売上増に寄与した。
英国のロレアルは、Uberでロンドンのヒースロー空港へ向かう旅行客向け新商品広告を掲出するキャンペーンを実施した。空港内の屋外広告と連動した広告をクリックすると、スマートフォンのウォレット機能を使ったバーコードが追加される。そのバーコードを使い、空港の免税店で広告商品のサンプルをもらえる特典をつけた。
最後に持田氏は、Uberが「統合されているID」、「ブランドセーフティ」、「プレミアムな配信面」を利用者に提供することにより、「ブランドにとって安全な環境での広告表示を約束します」と述べた。
「Uberはログインをしたユーザーのみが使うサービスなので、悪影響を及ぼすボットがまず存在しません。また、サービス内にUGCはなく、ブランドにとっても安全な環境でユーザーとのエンゲージメントが可能です」と結んだ。
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