未来への想いを語るオウンドメディア、ターゲットに届けるコツとは

同じような課題意識を持った企業担当者が、課題解決に向けて少人数で話し合う「テーマ別研究会」。1月24日には「BtoBマーケター」をテーマとし、デンソーでオウンドメディアの運営に携わる武政智之氏が登壇。デンソーで取り組むオウンドメディアよる効果について実例をもとに紹介した。

写真 人物 武政智之氏

過去と未来の挑戦ストーリーを語り、共感者を増やす

グローバルに事業を展開する自動車部品メーカーのデンソー。環境・安心分野で究極の『ゼロ』を目指し、CO2±ゼロ、交通事故死亡者ゼロの2つの目標を掲げている。一方、自動車業界は電動化や知能化、自動運転など、100年に一度の大変革期を迎えている。こうした大きな事業環境の変化の中で、デンソーでは事業成長の実現に向けた仲間づくりが課題となっている。そこで、デンソー広報渉外部ではデンソーの過去や未来の挑戦ストーリーを発信し、ターゲット人材の採用、ビジネスパートナーの獲得、社員エンゲージメント向上を目指している。

写真 人物 武政智之氏

「ハッとして、グッとくる」記事発信を行うために

デンソーでは2020年から生活者目線でデンソーのストーリーを伝えるために自社のオウンドメディアを開設していたが、2022年10月に「DRIVEN BASE」としてリニューアル。「ハッとして、グッとくる」記事発信を掲げ、新しい驚きや気づきを与え、なんだかワクワクするような共感につなげることをコンセプトにしている。武政氏によると、「DRIVEN」には「~に突き動かされる」という意味がある一方で、「〇〇を実現のために懸命に努力する」「○○で世の中を変えてみせる」という意味があることから自分たちにぴったりの言葉であるという。ビジョン・アイデア、技術・デザイン、キャリア・生き方の3つのカテゴリーのほか、モノづくりやスポーツ、農業、食流通などの特集ページを組み、2024年は59記事を掲載。ただし、記事の制作本数をKPIを設定すると、記事を作ること自体が目的になる恐れもある為、掲載本数には目標値を設けていない。

DRIVEN BASEはデンソーの他、協力会社2社の3社体制で制作しており、通常の制作会議を週に1回、今後の記事づくりを話し合うビジョン会議を月に1回おこなっている。記事の制作期間は平均3カ月。キャリア・生き方に焦点を当てた企画は、キャリア学習サイト「talentbook」にも掲出している。武政氏によると、DRIVEN BASEの記事制作の運営では「WILL・CAN・MUST」のバランスが大事だという。WILLは担当者の内発的な動機から生まれるチャレンジングな記事、CANは別媒体での記事や記事広告などを取り込んだ効率的な記事、MUSTは社内外のタイミングが重要な記事だ。例えば同社ではデンソーのQRコード発明30周年のタイミングに合わせた記事や、障がい者週間に合わせた社外との障がい者雇用に関するコラボ記事などを発信している。

また、記事を作るだけではなく、拡散するためにバナー広告、リスティング広告、記事広告、メルマガ、SNS、社内イントラなどを積極的に利用。「社員に伝えることが実は一番大事」と武政氏。そのほか、リアルなイベントでは特集記事で構成した紙製の「DRIVEN BASE Paper」を配布。以前はQRコードを配布し記事への誘導を図ったが予想以上に読み取る人は少なく、リアルイベントでは敢えてアナログ版を配布するようになった。

★「DRIVENBASE」についての詳細はこちら

写真 人物 武政智之氏

オウンドメディアによる効果をグループでヒアリング

DRIVEN BASEのターゲット別の最終的なゴールは、ビジネスパートナー獲得に向けてはオウンドメディアへの問い合わせ数やビジネス効果のヒアリング、採用に向けてはエントリー数、社員エンゲージメントに向けては社内での反応が挙げられる。そのために各記事の日別アクセス数、読了率、流入経路、検索キーワードなどを分析。Googleのクラウド型BIツール「Looker Studio」などを用いて、アクセス推移や読了率などを取得し、3社会議で共有している。また、そのほか、DRIVEN BASE関係者による効果ヒアリングにより、メディア取材やビジネスコンタクトの増加や、採用エントリー数向上・社内でのシナジー強化などの効果が確認されたという。

武政氏は「DRIVEN BASEはできていないことだらけだ」と話すも、ブランドメッセージの通り「できていないことだらけって、ワクワク」だと強調し、「色々な課題を持った企業の皆様と一緒にワクワクしながら前進できたらと思います」とまとめた。

質疑応答の場では、「他の部署に情報提供を依頼してもなかなか集まらないのですが、デンソーではどうしていますか」との質問があった。武政氏は「私たちも全部拾うことができていませんが、採用に困っている、ビジネスチャンスを求めているなど我々と同じ熱量を持った人を見つけて、その人たちと取り組むようにしています」と答えた。また、「グローバル展開している中で、海外の人に向けたメディア展開をしていますか」という質問に対し、「記事数は日本語版よりは少なくなるが、DRIVEN BASEの英語版も公開しています。海外拠点の広報担当者から、日本の技術は注目を集めているため技術を扱った記事が欲しいと要望があり、日本発で記事を制作しています」と回答した。

写真 人物 武政智之氏

【「BtoBマーケター研究会」~次回開催予定のイベント~】

◆第2回:2025年2月14日(金)15:45~17:00(開場 15:30)
◆カンファレンス:2025年3月25日(火)13:30~17:10(開場 13:00)
テーマ:初回利用者数が5倍に!YouTube施策で成果向上を目指す
ミスミ meviy のBtoBマーケティング戦略

 

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五十嵐 公俊 氏

株式会社ミスミ
ID企業体 IDマーケティング推進室 GoToMarketチーム
チーフディレクター

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石塚 直哉 氏

株式会社ミスミ
ID企業体 IDマーケティング推進室 GoToMarketチーム

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