内装デザインや設計・施工を手がけるユニオンテック(東京・渋谷)は、競争が激化するオフィスデザイン分野でのコンペを勝ち抜くために、書籍『競合プレゼンの教科書 勝つ環境を整えるメソッド100』を参考に“事前準備”を重視した戦略を取り入れている。
本書は、広告会社の戦略プランナーである鈴木大輔氏の経験に基づいて書かれたものだが、同社取締役の赤枝泰明氏は自社のビジネスにも通じるところが多いと感じ、鈴木氏に社内研修も依頼したという。「提案内容」だけでなく「勝つ環境」を整えることの重要性とは何か。両氏に話を聞いた。
広告業界と共通点の多い内装デザイン業界
━━まず、ユニオンテックの事業内容について教えてください。
赤枝
:2000年創業のオフィス・商業空間向けの内装デザイン会社です。代表の大川(祐介氏)がクロス職人としてスタートした会社でしたが、顧客ニーズに応える中でデザインも手がけるようになり、現在では設計・デザインから施工までワンストップで提供しています。
赤枝泰明(あかえだ・やすあき)/ユニオンテック取締役。大阪芸術大学芸術学部卒業後、ワックス・トラックスを経て、2013年ユニオンテック入社。デザイン部門シニアマネージャーを経て現職。オフィスや商空間(飲食店、物販店)のデザインを年間20件手がけている。
━━競合プレゼンは、どのようなタイミングで発生するのでしょうか。
赤枝
:オフィス移転を例に出すと、クライアント側で移転先の不動産が決まったタイミングで、オフィスの内装デザインをどの会社に依頼するかの検討が始まります。オフィス移転はデスクや椅子の増減と直結するので、従来は大手オフィス家具メーカーに見積もりを依頼するのが主流でした。
しかし近年はオフィスデザインのニーズの高まりから、私たちのようなデザイン専門会社もコンペに参加するケースが増えています。コンペにおいては、デザイン、コスト、スケジュール、会社の信用力などを総合的に判断される点などが、広告業界と共通していると感じます。
━━『競合プレゼンの教科書』を読んだ感想はいかがでしたか。
赤枝
:コンサル系の人が書かれた「商談必勝法」といった類書は難解なものが多いと感じていました。一方で、本書は非常に分かりやすく、かつ私たちのビジネス構造と似ている点も多く共感できる部分がたくさんありました。社内メンバーにもこの知見を共有しようと30冊購入し、オフィス部門のほか商業施設部門や工事部門のメンバーにも配布しました。
