岩手日報「バットになる新聞広告」ふたたび 子どもたちが野球に触れるきっかけに

岩手日報(岩手県盛岡市)は5月2日、朝刊に自社広告「バットになる新聞広告2025」を掲載した。5月5日の「こどもの日」に向け、新聞紙を丸めてバットに見立て、家の中で“初めて野球に触れる”きっかけをつくろうという取り組みだ。

イメージ 新聞広告 2025年5月2日朝刊掲載の「バットになる新聞広告2025」。今回、一部資金の調達はクラウドファンディングにて行われ、広告にも支援者の名前や企業ロゴが掲載された。

2025年5月2日朝刊掲載の「バットになる新聞広告2025」。今回、一部資金の調達はクラウドファンディングにて行われ、広告にも支援者の名前や企業ロゴが掲載された。

県内の野球チームは15年で4割減

本取り組みの初回は3年半前の2021年11月17日。岩手県盛岡市で開かれた「第74回新聞大会」(主催:日本新聞大会)に合わせた企画「#はじめての野球してみよう新聞」として掲載された。当時SNSでも多くの共感や応援の声が寄せられ、元プロ野球選手の古田敦也氏がテレビ番組で紹介したことでも話題になった。

企画の背景には、岩手県における子どもたちの野球離れがある。岩手県内の少年野球チームはこの15年で約4割減少(学校基本調査、スポーツ少年団都道府県競技別団員数より)。地上波テレビの野球中継が減った影響で、野球のルールを知らない子どもも増えているという。

一方で今、MLBで活躍する大谷翔平、佐々木朗希、菊池雄星といった出身選手の存在により、全国から注目されている岩手県。2025年3月の開幕戦は東京で行われ、そこにも大谷・佐々木の両選手が出場した。

岩手日報の柏山弦氏はこう語る。

「野球ファンの中でも岩手県は『聖地』になっており、岩手県内も盛り上がっているのですが、一方で、野球チームは減少の一途をたどっています。選手が活躍している“いま”こそ、岩手出身の将来の野球選手を育て、岩手県民に喜びをもたらせたら、と考えました」(柏山氏)。

新聞を丸めてバットに――タブーに挑んだクリエイティブ

前回に引き続きクリエイティブディレクターを務めたのは博報堂の河西智彦氏。

「クリエイティブにおいては、『野球離れ』と『新聞』という組み合わせを考えていくうちに、おそらく新聞社ではタブーである“新聞を丸めてバットにすれば、家の中で野球をするきっかけがつくれる”というアイデアを思いつきました。子どもは、バットを持つと打ちたくなる。打つと楽しくなる。親からルールを教えてもらえる。公園でのボール遊びが禁止される中、家の中ならできる。もし野球をやっていたら、小さい頃に野球に触れていたら、すごい選手になった子どもが野球をしてくれたら、未来の感動につながる。そう考えていくとすべてのピースがハマったので、提案しました」(河西氏)。

伝統の「背番号17」を背負って

新聞紙を切り抜いてつくるユニフォームの背番号は「17」。これは花巻東高校で“出世番号”と呼ばれており、大谷選手や菊池選手など、同校出身の著名な選手が下級生の頃にこの番号を着用していたことに由来している。「子どもたちにこの幸運の番号をつけてほしいと思いました」と河西氏は語る。

「バットの色は、子ども向けに赤や青もいいのですが、プラスチックのカラーバットっぽくなります。結局は新聞紙なので、あえて木のバットの本格感を出したいと思いました」(河西氏)。

岩手日報社総合ビジネス局の公式YouTubeアカウント「岩手日報buzz」では「作り方と使い方」動画が公開されている。

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スタッフリスト

企画制作 博報堂、中島英貴デザイン会社
CD・企画・C 河西智彦
企画・AD 竹上淳志
D 中島英貴
CPR 柏山弦、中村吉孝、外崎宏志郎




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