日本市場においては、消費者の飲酒シーンや嗜好を踏まえたローカライズ施策を展開しており、広告ビジュアルもグローバルと日本で異なる。グローバルでは「ハイネケンビール」と「ハイネケン 0.0」 のボトルで乾杯するシーンを用いているが、日本ではジョッキに入った生ビールやレモンサワーといったアルコール飲料と乾杯するビジュアルを採用。「アルコール飲料と並んで堂々と楽しめる本格ノンアルビール」というメッセージを強調した形だ。
グローバル広告
ハイネケン・ジャパン マーケティング部の須田伸ディレクターは「日本の消費者が持つ飲酒習慣や『カンパイ文化』に合わせた表現」と話す。日本は世界でも有数のノンアルコールビール消費国である一方、通常ビールの「代替品」のイメージも根強い。こうした背景の中、「本格的な味わい」などの特徴を生かし、「積極的に楽しむもの」としてのポジショニングを確立する狙いだ。
アルコール飲料と並んで堂々と楽しめることを訴求するローカル広告
「ハイネケン 0.0」は、2024年7月の販売量が同年1月比で約8.5倍に増加するなど、好調に推移している。須田氏は「本格的な味わいとスタイリッシュなブランドイメージが、従来の『代替品』的なノンアルコールビールと一線を画した」と手ごたえを語った。
同社は万博において「飲酒における選択肢の自由」を提供することで多様性を尊重。「持続可能な飲み方」への意識を高め、「アルコールを楽しむ自由」と「飲まない自由」の両方を提供するというメッセージを発信していく方針だ。
同社とオックスフォード大学心理学部のチャールズ・スペンス教授が2024年8月に日本や米国など5カ国で実施した調査によれば、Z世代の3分の1以上が「大勢が集まる場面でお酒を飲まなければならない」というプレッシャーを感じていることが分かった。一方で、ノンアルコール飲料に「クールな飲み物」としてのイメージを持つ人も増えているという。

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